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魔物で始まる異世界ライフ  作者: 鳥野 肉巻
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過去編:旧友達



 山岳地帯の中腹部。スケルトン達の住む辺りにやってきていた。とは言っても、骨達が多いと言うだけで、この山岳知多の主要三種族は仲が良く、種族入り交じって暮らしているが。


 そして、私とツバキは「お疲れでしょうから、」などと言われ、風呂に入ることになってしまった。


「ツバキだけ入ってきなよ。私はいいや」


「え?アイリス何言ってるの?」


 まぁ、普通そんな反応だろうな。


 恥ずかしい話だが、私はどうも風呂が好きになれないのだ。 汚れなんて勝手に崩壊していくから、私の体も服も常に清潔なんだ。風呂に入らなくても問題ないのでは?


 と言うか、水があまり好きではないのだ。 なんだか体が消えてしまいそうで怖い。不死鳥の体の炎は消えないのだが、火に水をかけたら消えるのは一般的なことであって…、まぁ、その、なんだ。怖いんだ。


「私は…ほら。後で入るからさ。ツバキ先入りなよ」


「いや、こんなに広いんだよ?一緒にはいれば手早く済むじゃん。」


 クッソ、あの有能な連中め。大浴場なんて用意してくれやがって…。 そういえば、あいつらは私が水嫌いなの知らないのか。言ったこと無かったからな…。



「まさか…。アイリス、お風呂嫌いなの?」


「………」


 私は無言で頷くしかなかった。よく分からないが、何かに負けたような気分だ。


「でもダメだよ。ちゃんと入らないと。 清潔が一番だからね。」


「いや、私は常に……「ほら、早く!」


 ……ツバキが…強い…。 今回はどうにもならなそうだ…。




「はふぅ~。いやぁ、お風呂って素晴らしいね!」


「そうですね」


「アイリスもそう思うでしょ?」


「そうですね」


 ……思うわけがなかろう。 何が肩まで浸かれだ。 巫山戯るんじゃねぇ。



「アイリス…なんか生まれたての子鹿みたいだよ?」


「いくら暖かくても水は水でしょ?」


「はぁ…。それって結構大きな弱点じゃない?」


 まぁ、そうだろうね。 でもどうしようもないじゃ無いか。苦手な物は苦手なんだ。


「……ツバキって着やせするのかと思ってたけど、まんまなんだね」


 反撃である。 まぁ、何がとは言わないが。


「……そのうち大きくなるし」


「いいや。私から言わせてもらうと、多分それはどんなに未来になっても大きくならないよ。で、いつか同類と嘆く日が来るんだろうね」


「……なんでそんな具体的なの?」


「いいや?別に当てずっぽうで言っただけ。でもなんとなくそんな感じがする」


 どうやら思いのほか効いたようだ。そろそろ止めてあげよう。



 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 



 そんなこんなで風呂上がり。 着替えを済ませてエーデルト達の元へ向かう。


 そこにいたのは三人。そして、その全員を私は知っていた。


「アイリス!久しぶりね!私と刺激的な一夜を過ごす気になったのかしら?」


 目にも留まらぬ早さで私に抱きついてきたその人物。


 出来れば会いたくはなかったが、一応サキュバス族のリーダーのユリアである。


「ユリアはいつになっても変わらんねぇ…。暑苦しいから離れてくれない?」


「いいや、もう少し抱きついてるわ。アイリスのお風呂あがりなんて激レアだもの。もう少しクンクンしてるわ。」


「早急に離れろ」


「その辛辣なところもたまらないわ!もっと罵っても良いのよ?」



 もういやだ…。 このガチレズもといユリアは、なぜか私にべったりなのだ。 どちらかというと私は親とかそんな類いなのだが。


 というのも、昔ここに住んでいた頃に、捨て子だった三人、エーデルトとレイガルト、そしてユリアを拾って育てていた事があった。


 しかし、親という立場関係は作らなかったため、三人との関係は今もこんな感じになっている。 ユリアだけ少しおかしい気もするが、気にしてはいけないだろう。



「……そろそろ良いですかな?」


「そうだぜ。アイリス様とツバキさんは、俺らに話があって来たんだろ?」


 やっと本題に戻れそうだな。


「まぁ、このメンバーだと隠しても仕方ないからすっぱり言わせて貰うけど、私達は今、全種族を騙す計画を進めている。これはトップシークレットだからね?」


「ちょ、アイリス!そんなに正直に言っていいの!? 盗聴とかされてたら…。」


「いいのさ」


 それに、盗聴器なんか、魔力を使って動いてたら私に近づいただけでブッ壊れるし、生物なら私の生命感知スキルに引っかかる。何の問題もない。



「…それは一体何の意味があるのです?」


「全種族で連合を作るのさ。そして、皆で仲良くする。それだけ。 そのために今は仮想敵を作って吹聴して回ってるのさ」


「ほう!なんだか大規模なモノじゃねぇですか!」


「それで、もし良かったら形だけでも参加して貰えないかなって思って来たんだけど…」


 ちらりと三人の表情を伺う。 幸か不幸か、三人とも、あまり曲がったことが好きではないタチなのだ。



「アイリス、それを私達が断るとでも思ってるの?」


「ええ。その通りです。最終的に目指すモノは我々も同じですから、断る理由などありませんよ」


「そうそう。それ以前に、俺たちだけじゃなく、この三種族の全員がアイリス様を尊敬してる。誰だってついていくさ」


 おやおや。なんだか交渉以前に結果が出てしまったようだ。


 尊敬されているのは感じていたが、まさかここまでとは思わなかったな。


「みんな、ありがとね。これは結構大きな一歩かも」



 そして、少し気になるのは、視界の端で空気にになっているツバキだ。


「ツバキさん?今回、君の出番はなかったね」


「いやぁ、僕もアイリスへの認識を改めるべきなのかなぁ…。」


 …私としては今のままが良いが、もし変わってしまうとしても、ユリアのようにはならないことを願う。




以前から気になっていたのですが、改稿作業を行った日か、その翌日はPVが急激に増えるんですよね。なんでなんでしょうか。


そういえば、私の住んでいるところではもうガッツリ雪がつもっています。皆さんの所はどうでしょうか。雪が降ったりすると、事故なんかも増えますし、気をつけて下さいね。


次回更新は12月8日(金)の20:00予定です。

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