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memoria  作者: mefa
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始まりの朝

主人公幸村はごくごく普通の日常を送っていた。

学校に登校し、友達とだべり、特別なんの変化もない日常だ。

だが、変わったことがひとつ。それは吸血鬼になったこと。

あるとき突然その時間は壊れ始める

その空は、ただただ赤かった。

鮮血にも似たとても透き通る真っ赤な空。

あたりの建物からは火の手が上がり、人々が逃げ惑う。

街はもう、全壊と言ってもふさわしいくらいにボロボロだった。その光景を眺めていた少女は、ただ一人、槍を構えて立ち向かっていった。


第一章 叛逆の牙


 9月25日 AM7時

「行ってきます。」

 学校に行く幸村を見届ける。さながら主婦のような気分だ。

「うん、行ってらっしゃい。」

 見届けたあとは、家に私一人になる。

暇だ。何かすることもないし、しようという気さえ起こらない。

リビングのソファに寝転がり、天井を見上げる。

やけに寝心地がよく、私はそのまま目を閉じ、浅い眠りに落ちた。


 夢を見た。

 黄昏の空、無数の雲が普通ではありえないほどの速度で流れている。

夢の中のはずなのに、まるで本当にそこに立っているかのような、とても不思議な空間だった。

私は、寝巻きの黒いネグリジェをそのまま着ており、特段変わった様子はない。

私は硬い岩の道を、あてもなくただ光に向かってまっすぐ歩き出した。


 少し歩くと、平坦な道から緩やかな上り坂へと変わっていった。進むにつれて光はだんだん強くなっていく。

ある程度登ったところで、人を見かけた。光が強く、シルエットでしか認識できないがおそらく少年だろう。

 少年に声をかけようとしたその時だった。

「ッッ!!」

あたりの光が周りを包み込んだ。眩しくて思わず目を閉じてしまった。


 目を開けるとそこはさっきまでの風景とはまるで違うものになっていた。

 あたり一面にすすきが広がっていて、ゆらゆらと風に揺れている。地面からは淡い光の玉が、1つまた1つと天に登っていく。

 目の前の少年はこちらを向いて、手をこちらに差し伸べながら何かを呟いていた。

私はその内容を聞き取ることができず、そのまま目の前が真っ暗になった。


「はっ!」

 目が覚めると、寝る前に見上げていた天井があった。

 時刻を見ると、時計の針は数字の1をさしており浅い眠りだったはずが、どうも6時間近く寝てしまったらしい。

 あの少年は誰だったのだろう。

まだ夢の中にいるような不思議な感じに包まれている時、突然お腹がグルルとなった。

無理もない。朝食もろくに食わなかったため今日になってからまだ何も口にしていないどころか、昨日から口にしてない。

台所に行き、何かあるもので昼食を作ることにした。


 一方その頃

 昼休み。退屈な4科目の授業も終わり、残り2科目となった。

今日は弁当ではなく購買部で何か買おうと思っていたが、おそらく4時限目終わりにダッシュで行かない限り、美味しいものは買えないだろう。

 仕方なく、食堂で一人飯に行くことにした。

席を立ち、教室を出ようとすると後ろから声をかけられた。

「1人で食堂か?水臭いなぁ。僕も一緒にいい?」

 こいつは幼馴染みの日下部 蓮だ。

 昔っから人をからかったり、挑発したりすることが好きな嫌な奴だが、頼りになる時は本当に頼りになるので特段嫌いではない。

背丈は僕と同じで少し小さいものの、ルックスの良さや、女性への振る舞いから、女子たちからは少し人気のある生徒だ。

「別にいいが、食堂もかなり混んでると思うぞ?」

「いやぁ?昼飯が食べられればそれで僕は満足だよ。」

 と授業疲れからか、吐き捨てるように言われた。

なるべく急いで食堂に行くと、既に食堂はほぼ満席。

券売機の前には長蛇の列だ。

 仕方なく、購買部のパンを少し買って教室で昼食を取ることにした。

「そういや次の授業は体育だな。」

 とパンを食べながら言う。

「はぁ憂鬱だねぇ。昼飯後の運動はきついモノがある。」

 呆れた形相で手を横に広げながら言った。

 僕たちの学年は体育は選択で、1学期、2学期、3学期ごとに毎回やりたいスポーツを出し合い、そこから3つ決めてその中のスポーツをやるというような方法をとっている。

「そういや今日の体育は種目が変わるな。雪村、お前は今回何をやるんだ?」

「確か、バドミントン、ハンドボール、サッカーだったよな。

ハンドボールだった気がするなぁ。」

 と、曖昧な記憶から記憶を絞り出す。

「そうかい。今日は日差しが強いからせいぜい気をつけることだね。」

 全くコイツは素直じゃない。

「はいはい。まぁ頑張るよ。」

 体育は2時間。これが終わったら即下校だ。

「それじゃあ僕は準備してくるよ。」

 と僕は言って席を立つ。

「あぁ、それじゃあな。……」

 ?今あいつが最後になにか小声で呟いたような気がしたが、

おそらく気のせいだろう。

 そうして校庭へ向かった。


 6時間目の半ば。

 チームを組んで、ローテーションで試合をしていたところだった。

久々に運動したせいで、体はもうヘトヘトになっていた。少し暑い太陽の下、ベンチに座っていたとき事は突然起こる。

 目の前で眩い光が輝き思わず目を瞑った。気がつくとあたりの景色は色を失い、まさに「灰色の世界」と言う言葉がふさわしいだろう。

 周りの時間は僕以外全て止まっているようだった。人や物に触れようとしても、すうっとすり抜けてしまう。なんとも不思議な空間だった。

「ハッハッハ!まさかお前が吸血鬼だったとはなぁ!驚いたぜ!幸村!」

 声の主はグラウンドの入口付近にいる、日下部蓮だった。

その姿は作務衣を着ており、右手には木製と思われる木の杖を持っていた。

「蓮!お前なんでここにいるんだ!それになんで俺が吸血鬼だってことを知ってやがる!」

 僕は少し焦っていた。なにか嫌な予感が…生命に危機が迫ってる。そんな気がした。

「どうせ、ここで死ぬやつだ。冥土のみやげに教えてやろう。」

 悠々と彼は語り出した。

「この空間は、現実世界とぴったりくっついているが普通では決して立ち入ることのできないいわば《裏の世界》だ。

その入口を僕がこじ開けてここにお前を閉じ込めたわけさ。殺すためにね。」

 彼の言ってることは、とても信じ難いことだった。

今から僕を殺す?そんなことできるのか?そもそもなぜそんな入口をこじ開けられる?あいつは…日下部蓮は何者なんだ?

「お前は……一体何者だ!」

 そう叫ぶと、彼はまた悠々と喋り始めた。

「私は創生神に使えし者。邪魔ものの吸血鬼を狩るハンターだ!」

 その瞬間、全身に凄まじい悪寒と、絶望が体中をかけ巡った。

久々の投稿です!はじめましての方ははじめまして!

短編よりもこちらが先にできたのでこちらを投稿しました。文化祭でゲームやら部誌やらを作ってたら書く暇が無かったんです!許してください!

今年は高校最後の文化祭で、みんなはりきってたんですが見事にこけてしまいました(笑)まぁそんなこともあり大変でしたね。

さて、今回から第一章が始まります。吸血鬼になった幸村君に襲いかかる最初の強敵。次の回では幸村君がこの状況をどう切り抜けるのかが見所になってきます!。こうご期待!

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