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memoria  作者: mefa
3/6

決断

正体不明の魔物と出くわした彼女と主人公幸村。早速やってきたこの魔物達に対して彼女は吸血鬼としての能力を開放する!

そして、彼女のある提案に対する幸村の決断とは……

記憶を探し求めて戦う少年と、吸血鬼と名乗る少女との学園ストーリー

 現れたその影のような者たちは、彼女を見ながら構えていた。

「あれは…一体……!?」

 突然の出来事に、僕は呆然としていた。

「なにボーッとしてるの!早く奥へ行って!」

 その声でハッとなり、台所隠れた。僕は彼女の姿を影から見ていた。

 落ち着いてみて初めて気づく。

まるで獲物を狙う肉食動物のような彼女から発せられる殺気に。

10秒ほどの静寂、動き出したのは向こうの方からだった。

2匹の黒い狐が彼女を襲う。

だが彼女はまるで身構える体制を取らなかった。

取る必要がなかったのだ。左右から飛びつくように噛み付いてきた狐は、空中でバラバラに引き裂かれた。

そして黒い粒子になって消える。

 彼女の手元は赤黒い爪が10cmほど伸び、透き通るような白い肌は手の部分だけ黒く染まっていた。

正真正銘の化け物である。

 ゆっくりと影に近づいていく。

襲ってくる残り2匹の黒い狐も引き裂かれ、浮遊生物と1対1になった。

浮遊生物が攻撃の体制をとった瞬間ものすごいスピートでその赤黒い爪が浮遊生物をバラバラに引き裂いてしまった。

 その時僕は、何が起こったのかよく分からなかったが、とりあえずこれで身の危険はないだろうと感じ、台所から出た。

彼女がこちらに気づく。役目を終えた彼女がこちらに戻ってくる。

「いまのはなんだったんだ?突然現れて人の家壊して。」

 ほんとにいい迷惑だ。

「今のが吸血鬼を狙う輩。わたし達は《神の使い》と呼んでいるよ。

 いまのはそいつらが生み出した眷属に過ぎないと思うけど。」

「なんで神の使いと呼んでいるんだ?」

 神の使いであるならば、少なくとも僕のイメージではこんな人の家なんて荒らしたりしないはずだ。

「それがわからないんだよ。私が初めてあいつらを見た瞬間、その言葉が頭をよぎったんだ。

 不思議なものね。」

「いまあいつらのことでわかっているのは《神の使い》と呼ばれているのは4人だけ。

 そしてそいつらは一人ひとりが自由自在に魔法のような攻撃ができるらしいわ。

 この街にいる奴は火を自由自在に扱える。」

 吸血鬼といいかなりぶっ飛んだ話。これは信じて大丈夫なのか?

「なぜそんな確証が持てるんだ?」

「私は倒れるまで仲間が他に3人いた。だけど、そいつらに襲われて私だけ生き延びてあとは全員……」

 彼女の体は震えていた。きっと相当辛いことだったのだろう。

「ごめん。辛いことを思い出させてしまって。」

「いいわよ、過ぎたことなんだから。」

 悲しさを隠しきれてないせいか少し声が震えていた。

「それに今回ここが襲われたということは敵にここがバレてるということだよ。

 何はともあれ敵は、じきに準備をしてここに攻めに来るだろうね。

 そうすれば周りはどんな被害を受けるかわからない。となると私もあなたを守れるかわからない。

 早急にここを離れることをおすすめしたいわね。」

 確かに、彼女が言ってることはとても妥当な判断だと思う。

しかし移ったとしてもそこがバレないという確証がない。

「だけど移り住んだ先でもいずれはばれる。

 ならいっそここにいてこちらも準備しとけばいいんじゃないか?」

 彼女は少し頭を抱えて考えた。

「そうね。でもここにいても被害が出ることは間違いないわよね。

 それと準備と言っても何をすればいいのかしら?」

「それは……」

 準備。確かに何をどう準備すればいいかわからない。

「あっ私いいこと思いついた。あなたが強くなればいいのよ。」

「え?」

 確かに強くなれれば被害も少なくできるし足を引っ張らずに済むだろう。

しかしそんなことが可能なのか?

「そんなことできるのか?」

 というと彼女は重苦しく答えた

「できるけど、それは同時にあなたが吸血鬼…私とおんなじ存在になるということだよ。

 力を使えば血が欲しくなるだろうし、日中は長い時間外出するとすぐバテちゃうだろうね。

 それでも君は大丈夫ってゆう覚悟があるなら私はそれでいいけど。」

「なるほど。つかやっぱりバレてた?」

「フフッ。だって胡散臭いし、吸血鬼ならさっきみたいに力を使えるはずだしね。」

 と、鼻で笑いながら彼女は言った。

「で?あなたはどうするの?」

 再び、彼女の表情は険しくなる。

吸血鬼がどんなものなのかは、正直興味があった。

でもなってしまえば生活に多少なりとも影響が出てくるはずだ。

彼女の表情から察するに人間には戻れないだろう。

しかしこのままでも襲われる危険性がない訳ではない。

なんだ、答えなんて最初から決まっていたじゃないか。

「わかった。その提案受けよう。」

 そうすると、彼女は笑顔を見せ

「ありがとう!」

 と言った。

 そうだ。助けた時点でもう後戻りなんてできなかったんだ。


「じゃあ私の血をあげるから少し横になってね。」

 言われるがままに横になる。

「じゃあ始めるね。」

 そう言うと、彼女は横になった僕に寄り添い体に抱きつくように手を回して首筋に噛み付いた。

血を吸われるような感覚だった。

いやこれはもう吸われているのか?時間が経つにつれて僕は頭がボーッとしてそのまま意識は闇に落ちた。


 声が聞こえた。

 目の前を見るとそこは限りなく広がっている草原だった。

その地表からは何かとても優しい光が、ひとつまた一つと浮き上がっては空へと消えていく。

見たこともない筈なのにどこか懐かしい光景だった。

何も考えずに僕はまっすぐ歩き出した。

 少し歩いたところに金色の髪の毛がすらりとのびた美しい少女がいた。

その少女が振り向いたところで意識は途切れてしまった。


「!?」

 不思議な夢から目覚めると、目の前には彼女の姿があった。

「おはよう。よく眠れた?」

「あぁおかげですっかり。でこの状況は何かな?」

 僕は彼女に膝枕された状態だった。これはこれでこの上なく幸せだがなんとなく気まずい。

「いやなんとなくこうしてみたかっただけ。それにしてもすごく幸せそうに寝るわね。」

 僕はハハッと愛想笑いした。

「そろそろ頭起こしていいか?」

「どうぞ。」

 重い頭をゆっくりと起こすと眩しい朝日が差し込んでくる。

 今日が土曜日でよかった。休日は素晴らしい。

 心から満たされると同時に肝心なことを思い出した。

「そう言えば名前を聞いてなかったな。」

 そう、出会って一番最初にすべきことを忘れていた。

「私は、黒崎アリア。これから宜しくね。」

 と、黒崎は拳を突き出す。

「僕は白崎幸村だ。こちらこそよろしく。」

 と言って拳を合わせる。これが共闘の証なのだろう。

 この先どんなことが待っているかはわからない。そう、物語は始まったばかりなのだから。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

今回も早めに投稿するといいながら、完成した小説を放置しっぱなしにした僕です。楽しみにしていた方々申し訳ございません。


さて、今回の内容ですが、この話にギュッと凝縮しすぎてしまいました汗。

なので、ぶっ飛び展開などに読者の皆さんがついていけるかが心配で、手直ししようと思ったんですが、先に小説を読んでもらった友達に「これでよくね?」と言われたのでそのまま投稿しました。

それでも楽しめたなら幸いです。そしてこんな感じでプロローグが終わると思いきや、あと1話重要な回を挟んでプロローグ終了となります。ここまで長かった。

今後とも応援してくださると、作者は泣いて喜びます!次回作も張り切って制作しているので、是非読んでみてください!

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