天候を操る事など誰にも不可能な業である……姉ちゃん目ェ覚ませ頼む……!
「雨を降らせるために必要なもの? 慣例に倣うならイケニエ?」
「言い出しっぺの法則って知ってる?」
「冗談だって! 真面目に答える、前言撤回するからその手に持ったモノ置こうか、姉ちゃん……ええと、確か空気中の水蒸気が冷やされてホコリなんかのチリと結合して雲が出来るんだろ? 塩かなんかを空に打ち上げた話なら聞いた事あるけど」
「雨女と雨男の婚活パーティーとかどうかしら。子供はきっと雨を喚ぶサラブレッドよ」
「雨女? プッ……や、偶発的に雨に降られた事象の積み重ねが雨女雨男の由縁な訳だろ? 雨を喚ぶわけじゃないじゃないか」
「事象の積み重ねは則ち実績よ。望むか否かとは関係なく、むしろ能動的でなく受動的であるあたりが素晴らしい特技なのよ。コマンドを選択して発動するノーマルスキルではなく、特殊且つ先天的な常時発動型のパッシブスキル。選ばれし者にしか与えられていない、生まれ持った才能!」
「……姉ちゃん? ええと、どこから突っ込んだら……」
「大丈夫、豪雨が降らない様に一定の場所にとどまらないで干ばつ地域に派遣すれば良いわ。雪女なんかの品揃えも豊富に取り揃えて、ギルドを立ち上げるのよ」
「姉ちゃんがまさかの厨二病……突っ込みが追い付かないって言うか、どうしてこんなになるまで放って置いたんだ……誰も気付かないとか嘘だろ?」
「そしていずれは全世界をこの手中に……フフフフフ……」
「え!? どうしてそうなった?! 待って、俺ちょー置いてけぼりなんだけど!」
「うふふ、私と世界を半分こする?」
「しないよ!? ダメだ、追い付ける気がしない!」