祈り
『ねえ里乃?お祈りってやっぱ流れ星かなぁ?月?星?』
と聞かれたので、
『私は空に祈る。』
と答えた。
『空?』
とても不思議な顔をされた。
『そう。空に。』
『空の何に?』
何と言われても…
『空自体に。』
私は空が大好きだ。大きくて、優しくて、綺麗で、でもどこか完璧じゃなくて。
空は気まぐれで、太陽や月を隠したり、出したり。
空は、毎日コロコロ表情を変える。
雨の日は空が泣いてる日。
私の心も痛くなる。
空はいつでも私を見ててくれる。
だから私は
『空に祈る。』
それを聞いていた彼が私に話しかけてきた。
『空は朝?昼?夜?いつ祈るの?』
『空はいつでもあるから、いつでも祈りを聞いてくれるけど?』
『叶うの?』
『さぁ…』
『さぁ?って…叶った事は?』
『叶えて欲しくて祈ってるんじゃないの。
これから私はがんばります、見ててください。って祈るの。』
『自分の力で頑張るって事か。俺も今日から空に祈る。』
これが彼との始まり。この会話を交わしてから三年が経った。
私は今日その彼と結婚する。
朝、彼はこんな事を言った。
『実は、最初に空に祈ったのが、里乃と仲良くなれるように頑張ります!見ててください。だった。』
『叶ったね。』
『うん。空はすごい。いつもいつでも上を見上げれば勇気をくれた。』
『今日は晴れだね。空も祝ってくれてるよ。』
『空』がなかったら私は彼とこうはならなかったかもしれない。
これから先、まだまだ長い人生が待っている。
これから先も私は
『空に祈る』