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転生した元勇者の物語  作者: 紅柴の月希
第1章 わたしの日常
6/9

わたしと精霊


 今回も会話が少ないです…

 次話は会話を増やしたいと思います。


 わたしが住んでる村は国境線になっている森の近くにあって、森を通る旅人の休憩所になっている。

 

 この森には名前が付いていない。昔から精霊が住む森、精霊が生まれる森と云われていて、不可侵の森としてどこの国も名前を付けることはしなかった。

 森は広大で実際精霊達が多く森の中心の泉の辺りに住んでいて、彼らは人間が中心の泉に近づかないように結界を張っている。だから、この森を挟んでいる2つの国に行くにも中心部を通らずに行く。

 いまだ嘗て、中心部に辿り行けた者はいないと伝えられている。


 ここ数十年は、《人間に裏切られ精霊に愛された勇者が眠る》森とも云われている。




 わたしはいつも森の中で遊ぶ。別に村には子供がいないわけじゃないけど、みんな年上で家の手伝いをしているから遊べないんだ。

 だから、森で精霊達と遊んでる。


 いつものように、森に入ると数分で精霊が迎えに来てくれた。


「おはよう、リーナ」

「おはよう、ディオン。久しぶりだね。最近、いなかったからどうしたんだろうって思ってたんだよ」


 今日のお迎えは水の精霊の長・ディオンだ。

 ディオンはいつものように抱きついてわたしに頬にキスをしてきて、わたしもディオンの頬にキスを返す。


 いつものことだけど、ディオンだけじゃなくて他の精霊もキスが好きだなぁ。いや別に、いいんだよ。嬉しくないわけじゃないから。


「ああ、ちょっと立て込んだ用事があったんです」

「そうなんだ。…もう、大丈夫なの?」

「ええ、粗方片づけて来たんで、もう僕がいなくても大丈夫です。なんで、本当は今日の当番はオリオンだったんですけど交代してもらったんですよ。やっぱり彼はとっても優しいですね」

「…イジメ過ぎちゃだめだよ?」

「僕は苛めたことはないですよ、一度もね……フフ…」


 わたしはディオン含みがある笑みを見て、ちょっとオリオンが可哀想に思った…

 ディオンは外見は10歳ぐらいの男の子なのに、精霊の長の中で一番年上だったりする。わたしも最初知ったときはとても驚いた。


 精霊は外見と年齢は大抵は当て嵌まらないらしい。ある程度齢を重ねると自分の好きな外見に変化させることができるらしくて、ディオンみたいに子供の姿になる精霊もいるし、老人の姿の精霊などいて様々だ。

 精霊は獣型より人型が力が強くて、その中でも自分の身体を自在に変えることができる者が強い。大抵は年を取るにつれて力が上がるので、精霊の長は精霊の中でも特に長生きの者がなってる。


 火の精霊の長・オリオンは20代後半のマッチョな男なんだけど精霊の長の中でまだまだ若いから、一番年上のディオンには頭が上がらない。

 まあでも、わたしもディオンの黒い笑みは怖いな…… いつもは爽やかな笑みなのに、偶になる黒い笑みはとてつもなく恐ろしいオーラが出ていて、最高の時は逆らうと殺されると思うぐらいすごいらしい。

 わたしはそこまでのレベルは体験したことはないけど、オリオンとか地の精霊の長・ヴァラスはよく怒らせて餌食になってるらしい。


「じゃあ、行こうか?みんな待ってますしね」

「うん」


 うなずいたわたしをディオンはそっと抱き上げた。落とされることは絶対ないんだけど、わたしは落ちないようにディオンの首に腕を回してしっかりしがみ付く。

 そんなわたしを微笑んで眺めてディオンはわたしのおでこにキスをした。


 もう一度しっかりとわたしを抱えなおすとディオンは地面を思いっきり蹴って走り出した。精霊以外には目視できない程の速さで森の中を駈ける。もし人がいたとしても風が吹いたとした感じられないと思う。

 何回も体験してるけど慣れなくて、いつもぎゅっと眼を閉じてしがみ付いている精霊の肩ら辺に顔を押し付けてる。

 

 マジでこれは怖いんだよ!

 結界張ってくれてるから風圧とか感じないけど、景色が変わるのが想像以上に速くて目が回りそうだし…っ ジェットコースターなんて目じゃないよっ、三半規管?が丈夫で良かったって思う…




 今わたし達が向かっているのは精霊が集まる泉で、この森の中心にあって人が入ることが許されていない。大昔のまだ人と精霊が交流が盛んだった頃は多くの人が訪れていみたいだけど、人の心が変わって行くにつれて精霊を迫害していったので、この泉は人が入れないように精霊の長が結界を張った。


「ほら、着きましたよ」


 わたしは首に腕を回したままそろそろとディオンの肩に押し付けていた顔を上げる。

 そこには綺麗な泉が広がっていて、泉の周りには様々な形態の精霊が沢山いる。いつもしなくていいって云ってるのに、彼らはわたしに気が付いて跪いていく。


「だからっ、そんなことしなくていいってば…っ!」

「しょうがないですよ、リーナ。僕たちにとって貴女は大切なお姫様で、尊い人なんですから」


 いやいや、わたしにそんな価値ないし。

 

 わたしはディオンの言葉に首を振って苦笑した。


「…そんな風に笑わないでください。僕たちは貴女を困らしたいわけじゃないんですよ」

「でも、ホントこんなのは困るよ… わたしはディオン達はとても大切だから対等な関係でいたい。こんな跪かれると一線を引かれた感じで嫌だ」


 わたしはやりきれなくてディオンの服をぎゅっと握る。

 どんなことがあってもわたしは彼らが大好きだ。この世界に召喚されて優しくしてくれたのは同じ人間じゃなくて種族が違う彼らで、どんな時もわたしの味方だったのは彼らだった。


 出会ったすべての人がわたしを裏切ったわけではないけど、わたしはあまりにも人に裏切られ続けた。

 だから、多分わたしは心のどこかで人を…、家族でさえも疑っている。いつかわたしを裏切るんじゃないかと……


「リーナ…っ」

「「「「姫っ」」」」


 わたしの名前を呼んで、突然ディオンが強く抱きしめてきた。その力はものすごくて、一瞬だけど三途の川が見える程でわたしを抱き潰すつもり?!、と思った。

 顔が息ができない程ディオンの胸に押し付けられてて、苦しくなって必死になんとか顔を上げたら、視界に今まで跪いていた精霊達がわたしの方に突っ込んできて、見えない壁に打つかって勢いよく吹っ飛んでいた。


 えっ?!なにこれ?!


 わたしはディオンが正気を取り戻して彼らを止めるまで唖然とその光景を見つめていた。




 昔から彼らのわたしに対する感情の起伏は激しかったけど、昔より何倍も激しくなってない…?

 えーと、これはわたしのことが大好きな証しと喜んでいいことなんでしょうか… 

 

 わたしは彼らよりすごい人がいることをこの時まだ知らなかった……





 読んで頂きありがとうございます。とても嬉しいです。


 次話は精霊のことと主人公の勇者の時を少々書きたいと思います。


 今後もどうかよろしくお願いします。

 では、また(^O^)/

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