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王国ルガーナの使用人

王国ルガーナは、この世で6つ目に大きな王国と呼ばれている。


それにこの王国に文句を言う者など皆無であった。


充実した生活を保証された民。


国境を越えし者たちに対する振る舞い。


不可抗力な災害から守る為の安全策。


どれをとってもこの国は、他の王国の模範になるべくした存在であったのだ。



そのルガーナの王、アドル。


そして、その妻ハミ二アの持つ秘密を除いて・・・・・・・・・



────


バタン! 彼は何も言わずにルガーナ城の小さな物置部屋を強引に閉めて出て行った。



その閉められ物置部屋の中は、窓から入って来る月の光で幾分かは明るかった。


そんな部屋の真ん中で1人残された女が膝をついている。



「・・・・・・痛いよ、スケラテス様・・・もう少し打つなら手加減してよね?


痛いなぁ・・・・・・・・・」


膝が蹴られて少し赤くなっている。おまけに口元の横も打たれたのか血が滲んで痛々しかった。


使用人メアリは、この日もここ王国の貴族スケラテスからお仕置(・・・)を受けていた。


このスケラテスのお仕置とは、城に数多く居る使用人の中でも何故かメアリに対してだけ行われ、メアリが何かミスや失言をした時だけ誰も居ない部屋に連れて行かれ打ったり、摘んだり、蹴らたりして最後にメアリの耳元に嫌味を言って出て行くのがワンセットであった。


メアリは、月の光を浴びながら色々沸き起こる感情を口にする。



「・・・・・・でも、なんでいつも私だけなの? カエラなんてもっと酷いミスをしてるのに?! ・・・それにアイクだって最低な失言もあったのに! 余りだわ! いつもいつも・・・・・・


私だけ?!


でも何故・・・いつも私だけなのかしら?」



───その時、閉められていた筈のドアがまた開く。


「うん? ・・・誰? あっ? スケラテス様?」


「ふん! 何を騒いでいる?」


「えっ? ・・・あのちょっと色々と・・・それより! スケラテス様? どうして戻って来られたのですか?」


「なーに・・・ちょっと忘れ物をな?」


「どんな忘れ物ですか? 宜しければ私も一緒に探しますよ?」


「そうか! では、メアリよ? ちょっと片耳を・・・」


「はいはい・・・片耳ですね? ・・・では右耳を・・・・・・どうぞ?」


「うん! いつ見てもいい耳だな?」


「そんな・・・やめてください? 急に褒めるのは・・・」


スケラテスの言葉に顔をうっとりさせるメアリ。


傾けた右耳にスケラテスからの吐息を感じながらメアリは、そんなスケラテスに口を開けて聞く。


「・・・スケラテス様、それで忘れ物とは・・・何ですか?」


「うん? ・・・それはだな?」


「・・・それは、何ですか・・・スケラテス様・・・・・・」


「それは・・・・・・・・・


このブス女!! いいか?! また今度、俺に隠れて内緒話しを他の使用人としていたら、膝を蹴ってお前のそのマヌケ面にビンタ一発では済まさんぞ! 分かったな!?」


「・・・・・・・・・あ、あ・・・はい・・・わ、分かりました」


バタン! スケラテスは、そう言ってからまた物置部屋のドアを乱暴に閉めて出て行った。



驚き顔のメアリを置いて・・・・・・・・・



──────しばらくキーン! ・・・っと鳴っていた耳鳴りが治まる。


その後、次第に私の気持ちがざわつく。



「・・・・・・・・・もぉぉぉう! なんで私はいつもこんな目に遭うの!? 他にも居るでしょうよ?


カエラにアイク、それにドス・サラスでしょ?


フィンカに・・・デル・ピノ!


それに・・・それに・・・使用人の中でも一番美人と言われる・・・


アリシエンヌ!


あー! ・・・なのに、どうしていつも私だけなの?」


メアリは、ありったけの胸の内を叫び、スッキリしたのを感じると物置部屋の窓から見えるお月様に願い事をして外に出る。


メアリは、ポケットからハンカチを取り出し口元に滲む血を拭って、いつもの使用人(・・・)としての表情を浮かべて次の仕事へと向かった。



"アルス・トスティア・メアリ"


彼女は7歳の時に両親を失い、さまよっているところを孤児院に引き取られる。


活発な性格が院内でも多いに受けて人気者になり、頼られる存在としてその幼少期を送った。


その後、王国ルガーナが使用人を募集している事を知って自らその役目を志願する。


そして彼女は、16歳の時に使用人として王国ルガーナにやって来た。


そこでもメアリは、沢山の自身と同じ環境で育ってこのルガーナにやって来た仲間(・・)たちと出会い、忙しくも楽しい時間を送っていた。


2年前にこの王国ルガーナにやって来た貴族スケラテス。


その彼の存在にある秘密(・・)が出来るまでは・・・・・・・・・

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