ー4章ー 6話「開戦の狼煙、風が矢を砕く時」
リュウジと領主グレイスト、ついに戦端が開かれる。
数百本の矢がリュウジ軍を襲う中、空ではハーピーが迎撃。
だが、グレイストも魔物を用意していた。
戦力差、数の暴力――その裏をかくリュウジの一手とは。
【グレイスト】「宣戦布告と申したな。話し合いで解決してやろうとしたのだが………。理解できなかったのか?」
領主の言葉は冷たく響いた。
対するリュウジは、肩をすくめて返す。
【リュウジ】 「いやいやいや。おたくの書簡の内容だと、とてもそんな風ではなかったぞ? むしろ、生かさず殺さずを強めますって事だろ? はい、分かりましたって奴が居たらお目にかかりたいわっ!」
このやり取りのあと、領主は顔を歪めた。
【グレイスト】「ならばここで引導を渡してやろう……。この領主に逆らった報いを受けるがいい!」
掲げた手が垂直に振り下ろされ、弓部隊に命令が飛ぶ。
次の瞬間、領主軍の弓兵たちが一斉に矢を放った。
数百本という黒い影が、空を覆い尽くす――。
しかしその矢は、リュウジ軍に届く前に、 上空に待機していたハーピー部隊が、一斉に羽ばたき突風を生み出した。
大気を揺らすほどの風が巻き起こり、無数の矢は軌道を乱され、次々に地面にパラパラと落ちていく。
【グレイスト】「えぇい! 何をしている!? 次を放て!」
領主が怒鳴り、再度矢の雨が放たれた。 が、それも同じ。
ハーピーたちの風に押し戻され、またも届かぬまま力なく落ちた。
【リュウジ】「おいおい、こういう戦いの常套手段くらい知ってるっての。マニュアル通りかよ……。まっ、読み通りだけど」
リュウジは眉一つ動かさずに呟いた。
想定どおり敵の初手を封じたことに、確かな手応えを感じていた。
【グレイスト】「くっ…! 目障りな魔物が!」
領主がハーピーを睨み上げるも、空への対抗手段を持たぬ彼にとって、もはや無力だった。
……だが。
【グレイスト】「ふっ……。魔物を従えているのはお前だけではないのだよ」
領主は再び手を振り下ろす。
その合図に応じ、彼の陣営の脇から新たな影が姿を現した。
【リュウジ】「え? ウルフか!?」
リュウジが反応する。
その声を聞き逃さなかったのは、彼の傍にいたガルーガだった。
敵陣のウルフたちを、じっと見据える。 その眼には怒りと懐かしさ、そして覚悟が混ざっていた。
【グレイスト】「矢で終わってくれれば助かったんだがな…。こうなれば実力行使だ! この数をどこまで相手できるかな?」
領主が不敵に笑う。
前衛部隊、およそ1500。
さらに脇を固めるウルフ100体ほど。
圧倒的な兵力差による突撃体制。
【グレイスト】「突撃!!」
領主の号令に合わせて、
【前衛部隊】 「オオオオォォォー!!」
兵たちが地鳴りのような声と共に走り出す。
その脇からはウルフたちが、リュウジ軍の側面を狙って走り出していた。
大地が揺れ、風が乱れ、空気が張り詰めていく。
圧倒的な力が迫り来るなか、リュウジは表情を崩さず、静かに呟く。
【リュウジ】「……さぁ、ここからが本番だ!」
遂に戦いが本格化していく中、双方の思惑は意外な展開をみせるのだった。
今回の話では、ついに領主グレイストが開戦の狼煙を上げました。
矢の雨という初手を、リュウジはハーピーたちとの連携で完全に無効化。
予想通りの動きに対して、冷静な対応を見せました。
そして次に現れたのは、敵陣営のウルフたち。
ガルーガが何かを感じ取った様子が描かれ、戦いは次の段階へと進んでいきます。
リュウジたちの「戦わずに勝つ」戦術が、少しずつその輪郭を現し始めました。
次回、いよいよ転機の瞬間が――。
ぜひ今回の展開に感じたことを、評価やレビューで教えてください!




