ー3章ー 28話 「海の先に、新たな出会い」
ついに完成した鍋を携え、リュウジたちは塩作りのために海へ――
しかしそこで出会ったのは、ワカメで遊ぶ“海の子供たち”。
ほんの小さな出会いが、また新たな繋がりを生んでいきます。
バルドンの協力により、ついに念願の鍋が完成した。これで、ようやく塩作りの準備が整った。
【リュウジ】「よし、じゃあ海に行くか!」
リュウジは、タケトと赤スライムを連れて、ロックゴーレムがいた森の奥――そこにある海を目指した。リュウジの手には、村人から借りたザルやおたま、そして水を運ぶための容器が握られていた。
【タケト】「おお!!本当に海があったんだな!」
タケトは目の前に広がる大海原に目を見開いた。この世界で海を見るのは初めてだった。感動のあまり、思わず声が漏れる。
【リュウジ】「ナツキと発見したんだけど、タケトにも見せてやりたかったからさ!やっぱ、海は良いよな!」
二人は潮風の匂いを胸いっぱいに吸い込むと、海辺へと足を進めた。海水を汲もうとしたその時だった。岩場の陰に、何やら人影のようなものが見えた。
「……子供か?」
リュウジが目を凝らすと、それは確かに小柄な子供たちのように見えた。ただ、よく見ると、人間とは少し違っていた。
【リュウジ】「おーい!君らはこの辺の子か?」
声をかけると、二人の子供は驚いた様子でこちらを見つめ、恐る恐る返事をした。
「……うん。」
「おつかいに来たんだけど、ないから遊んでるの」
どうやら何かを探しに来たものの見つからず、遊んでいるらしい。彼らが手にしているのは――ワカメ?
【タケト】「おいリュウジ!あれ、ワカメだろ!?」
驚いたタケトの声に、リュウジも目を見張る。
【リュウジ】「おいおい……!食べ物で遊んでるのか!?」
子供たちが投げて遊んでいたのは、間違いなくワカメだった。
【リュウジ】「楽しんでいるところ悪いんだけどさ。食べ物で遊ぶのは良くないんじゃないかな?」
子供たちは一瞬きょとんとした表情を見せたが、すぐに首をかしげて答えた。
「え?これ、食べ物なの?」
「人間はこれ食べてるの?」
どうやら、彼らにとってワカメは食材ではなかったようだ。
その時、子供の一人がタケトの足元を見て叫んだ。
「ねぇ!その足元にあるのちょうだい!!」
【タケト】「ん?これか?」
タケトの足元にあったのは、キラキラ光る綺麗な貝殻だった。
「うん!それ、おつかいで探してたヤツなんだ!ねぇ……良いでしょ?」
タケトは笑って頷き、手に取った貝殻を手渡そうとした。
【タケト】「わかった。ならこっちに取りにおいで」
子供たちは笑顔で泳ぎ出した――その瞬間、タケトは驚愕した。
【タケト】「え!?半魚人なのか!?」
下半身は魚の尾のようになっており、彼らは明らかに人間ではなかった。
【セリル】「半魚人?僕らはマーフォーク族のマーマンと、マーメイドだよ?僕はセリル」
【フィーラ】「私はフィーラだよ」
【タケト】「そ、そうか。悪かったな。はい、これ」
驚きながらも、タケトは貝殻を渡す。
【セリル】「ありがとう!!ねぇ、お兄さんたちコレ食べるんでしょ?お礼にあげるよ!」
彼らは手にしていたワカメを差し出した。
【タケト】「ありがとうな!」
【フィーラ】「うん!また貝殻と交換しよ?」
どうやら、この子たちは貝殻に特別な価値を感じているようだった。
【タケト】「そうだな!また海に来た時には貝殻を見つけておくよ」
【セリル】「またね!」
【フィーラ】「バイバーイ!」
元気な声とともに、二人は再び海へと戻っていった。
【リュウジ】「おいタケト。お前も魔物と仲良くなったな!」
リュウジはその様子を微笑ましく見守っていた。
【タケト】「……そうだな。それに、魚じゃないがワカメも手に入ったしな!」
こうして二人は、塩作りの準備とともに、思わぬ新たな出会いを手にして、村への帰路についたのだった。
今回は「鍋完成からの、海と出会い」回でした!
セリルとフィーラ、今後も登場するので覚えてくださいね。
少しずつ広がる魔物たちとの繋がりにご注目を!
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