ー3章ー 22話 「夜陰にまぎれて仕掛けろ!地下作戦始動」
ホノエ村の広場から少し離れた場所にある小屋で、タケトは静かに炉作りに励んでいた。
その元へやってきたリュウジが語るのは、村を守るための大胆な地下作戦。
今回はその準備が進行する様子を描きます。
ホノエ村の広場から少し離れた小屋。タケトは炉の制作作業をしていた。岩ブロックを繊細な手つきで積み上げていく。そこへ、リュウジがやってきた。
【リュウジ】「作業中に悪いな。この前話した作戦、いよいよ下準備が終わりそうなんだ。だから、次のステップについて話しておきたくてさ」
声をかけられたタケトは顔を上げ、手を止めた。
【タケト】「おお、いよいよか。で、どんな内容なんだ?」
【リュウジ】「説明するより、見てもらった方がはやいかな。悪いんだけど、ついてきてくれないか?」
そう言って、リュウジはタケトをモグラと出会った山の麓まで連れていった。そこには、すでに土が積み上げられた小道が続いており、その奥には人がすっぽり入れるような穴が口を開けていた。
【タケト】「……おい。なんだこのトンネルは!?まさか……お前が掘ったのか?」
【リュウジ】「いやいや、俺じゃないよ。ここでモグラと知り合ってさ。そいつらに頼んで掘ってもらったんだ」
【タケト】「リュウジ、お前また魔物と仲良くなったのか……いや、もう驚かねぇぞ!毎度のことだ!」
タケトは少し呆れたように笑った。
【リュウジ】「で、このトンネルは山の向こう側まで繋がってる。目的地は、山の向こう側。つまり領主の拠点側の荒野だ。領主の城から南にある、かつてのモグラたちの住処だった場所な」
【タケト】「ふむ……で、何をする気なんだ?」
【リュウジ】「ほら、みんなで作った板があるだろ?あれをこのトンネル通して運ぶんだよ」
【タケト】「あぁ、あれか。……それを運んで、何を?」
【リュウジ】「荒野のど真ん中に穴を掘ってもらってるんだ。そこに板を敷き詰めて、上から土を被せてカモフラージュする。近づいても絶対に分からないように細工するんだ」
【タケト】「なるほどな。でも、そんなことして領主に見つかったらどうすんだ?真っ昼間じゃ目立つぞ」
【リュウジ】「そこは抜かりない。作業は夜中にやる。実際に敷くのはゴブリンたちに任せるつもりだ。小柄だし、肌の色も暗いから、夜に紛れて作業するにはうってつけだろ?」
【タケト】「あいつら、舗装工事の時に見たけど意外と器用なんだよな……それなら上手くいきそうだな!」
【リュウジ】「そうなんだよ。アイツらタケトの指導もあるだろうけど、こういうの上手くやりそうだろ?期待しかないぜ!」
【タケト】「なるほど……そういうことか。領主の動きも、そろそろ来そうだしな」
ちょうどそのとき、地面の下からもぞもぞと現れたモグラが顔を出した。
【モグラ】「リュウジさん、報告です。荒野の掘削作業、明日には完了するそうですよ」
【リュウジ】「おお、ナイス!ありがとう!……じゃあ、明後日の夜中に板の設置を始めよう」
【タケト】「了解だ。ゴブリンたちには俺が話を通しておくよ。奴らも喜んで協力してくれるさ」
【リュウジ】「任せた。俺も色々と準備を進めておくよ」
二人は互いにうなずき合うと、それぞれの持ち場へ戻っていった。トンネルの奥に続く未来の光景を想像しながら。
夜陰に紛れて仕掛ける、地下からの静かな反撃。その準備が、今まさに動き始めていた。
地下からの反撃が、いよいよ本格始動。
ゴブリンたちによる夜間作業、モグラたちの協力、そしてリュウジの先を読む計画力――。
誰かを傷つけることなく、理不尽な支配を覆すために動くこの村の面々が、本当に頼もしくなってきました。
この物語は、“戦わずして勝つ”ことの意味を追い続けています。
そしてそれを支えるのは、ただの知恵や技術ではなく、「信頼」と「行動力」なんですよね。
リュウジと共に、一歩一歩前進していく村人たちの姿を、今後も描いていけたらと思います。
ここまで読んでいただき、ありがとうございます!
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