ー3章ー 15話 「侵食する影と、膨らむ夢」
村が豊かになる一方で、領主グレイスト・バルゼンが動き出します。
今回、ついに“旅人”からの報告を受けた彼は、ある決断を下します。
そして、女王スライムとの“夢の屋台計画”もついに始動──!
領主グレイスト・バルゼンは、豪華な朝食を取りながら分厚い帳簿に目を通していた。 表には領主城内の畑で採れた収穫量が記されている。だが、その数字に眉をひそめた次の瞬間——
【グレイスト】「なんだこの数字は!? 前回より減っているではないか!」
朝の空気が怒号で張り詰める。
【兵士】「申し訳ありません! ここ最近は、農地を拡大して倍の収穫を目指しておりますが……土地が痩せ始めておりまして……」
【グレイスト】「何のために雇っていると思っているのだ! ……おい、次回もこんな数字なら、お前らの食いぶちを減らすと農民どもに伝えておけ!」
【兵士】「は、はいっ!」
【グレイスト】「全く……使えん農民どもが!」
城内の畑には、腕の立つ農民を専属として配置していたが、年々収穫量は落ち込んでいた。 そんな時、慌てた兵士たちが領主の居る広間へ駆け込んでくる。
【兵士】「た、たたた……大変です!!!」
【グレイスト】「何事だ! 騒がしい!」
【兵士】「街へ徴税に向かったところ……カライド街が………もぬけの殻だったのです!!」
フォークを手から落とすグレイスト。しばし言葉を失い、ついには怒りを爆発させた。
【グレイスト】「次から次へと……即座に調査隊を編成し、領土内をくまなく調べさせろ! それと……隠密兵は戻ったのか!?」
【側近ロット】「はい、つい今しがた戻ってまいりました」
【グレイスト】「よし、通せ。報告を聞こう」
現れたのは、ホノエ村を含む三つの村を巡っていた“旅人”だった。
【旅人】「報告いたします。三つの村は壊滅状態にはなく、むしろ豊かな土壌と緑に包まれ、農作物も多岐にわたり生産されています」
【グレイスト】「……ほう、そうであったか」
グレイストの口元がゆっくりと吊り上がる。
【グレイスト】「ご苦労だった。下がれ」
報告を受けたグレイスト・バルゼンの胸には新たな“計画”が芽吹いていた——。
【グレイスト】「……その村々の“豊かさ”……どうやら、刈り取るには頃合いのようだな…」
一方その頃、タケトは女王スライムとの約束を果たすため、温泉に到着していた。
【タケト】「すまん、待たせたな」
【女王スライム】「楽しみに待っていたわ♪ やっと夢が叶うのね、ぷるるん」
タケトはウルフ車から木材を降ろし、屋台づくりを始める。
【タケト】「まずは基本の形を作ってみる。後で不便な点があれば教えてくれ」
女王スライムはぷるぷると身体を震わせながら頷く。
徐々に屋台の形が徐々にできあがっていく。
いままで簡易的な脱衣所と間仕切りだけだった温泉は、屋台作りによって次の段階へと進もうとしていた。
【タケト】「よし!今日中に完成させるぞ!」
領主の思惑をよそに、村の憩いの場ではカンカンッと心地よい音が響いていた。
領主グレイストはこれまでの静観から一転、明確な「刈り取り」の意思を見せ始めました。
今後、村々との衝突が避けられない気配です……。
一方で、温泉街の屋台構想は着実に進行中!次回もどうぞお楽しみに。
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