ー3章ー 12話 「作戦はまだ内緒──静かに始まる反撃の夜」
街から人々が避難してくるのを前に、リュウジは新たな指示を出す。
モグラたちへの頼みごと、スライムたちの隠蔽工作、そして三人で始める本格的な受け入れ準備。
タケトの大爆笑、その理由とは……?
今回もじわじわ進む、“戦わずして勝つ”リュウジ流作戦!
モグラとスライムたちに囲まれながら、リュウジは山の斜面を背に立っていた。
【リュウジ】「なぁモグラ、お願いがあるんだけどさ。トンネルの先、つまり山の向こう側、なるべく広くて平坦な場所に、こっそり大きな穴も作ってくれない?」
【モグラ】「……大きな穴? 何かを埋めるのですか?」
【リュウジ】「んー、埋めはしないけど人がたくさん入るかな。とにかく、たくさん入るような大きい穴をひっそり作って欲しいんだ」
モグラはぽかんと口を開けていたが、やがて小さく頷いた。
【モグラ】「リュウジさんの頼みなら……やってみる。土を掘るのは得意だから、任せてください!」
次にリュウジは、ぷるぷると揺れるスライムたちに目を向けた。
【リュウジ】「お前たちは、俺が指示したらトンネルの出口を隠す仕事だ。モグラが作ったトンネルの出口を、自然な感じに木や草で覆ってほしい。できるだけ“人間の目”にバレないようにしてくれ」
スライムたちは一斉に「ぷるん!」と元気よく跳ね、了承の意を示した。
【リュウジ】「トンネルが完成するまでは、この山と草原づくりに集中だ。頼んだぞ」
指示を出し終えたリュウジは、軽く手を振ってホノエ村へ戻った。
夕方近く、村に戻るとタケトとナツキの姿があった。
【ナツキ】「あ、リュウジ。おかえりなさい」
【タケト】「そっちの方はうまくいったのか?」
【リュウジ】「ああ、色々指示してきたから大丈夫。……で、明日、街から人が避難してくるだろ?その受け入れについて相談しようか」
三人は地図を広げ、真剣な面持ちで話し合いを始めた。
【ナツキ】「トリア村は奥まってるし、安全性が一番高そうね。小さな子供やお年寄りは、そこがいいかも」
【タケト】「ミズハ村も同様だな。温泉があるし、体力のない人の療養にも使えそうだ」
【リュウジ】「ホノエ村には、動ける男性を残してもらおう。戦うつもりはないけど、運搬や準備には男手があった方がいい」
その案に全員が頷いた。
少しして、タケトがリュウジの目を見て訊ねた。
【タケト】「なぁ、リュウジ。実際、どうやって領主軍に対抗するつもりなんだ? まさか真っ向勝負ってわけじゃないだろ?」
リュウジは少し笑ってから、タケトに耳打ちする。
【リュウジ】「(ごにょごにょ……)」
数秒の沈黙の後──
【タケト】「ぶはっ! なにそれ、面白れぇ!!」
驚きと笑いが混ざったタケトの反応に、ナツキはきょとんとした表情を浮かべた。
【ナツキ】「なになに? どういうこと?」
【リュウジ】「いや、まぁその……結果を楽しみにしててくれ!」
【ナツキ】「えぇー? なんかすごく気になるんだけど……。でも、リュウジが考えたことなら、信じるよ」
リュウジは少し照れながら、ナツキに向き直った。
【リュウジ】「ナツキには、トリア村で食料の管理と炊き出しをお願いしたい。それと、街の人たちが到着したら、できるだけ安全な場所で落ち着けるようにしてあげてほしい」
【ナツキ】「分かった。任せて!」
【リュウジ】「街の人たちの搬送はタケトとナツキにお願いする」
【タケト】「わかった!……ここからが勝負だな!」
夜の帳が村を包む頃、三人はそれぞれの役割を胸に、明日への備えを終えていった。
静かな夜。しかし、その裏で──
“リュウジの作戦”は、確かに動き始めていた。
読んでいただきありがとうございます!
今回は作戦の準備が本格化し始めた回でした。
ようやくリュウジの秘策が少しずつ形を見せ始め、次の展開に向けて動きが加速しています。
次回はいよいよ避難民たちがやってきます。
どうぞお楽しみに!
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