ー3章ー 8話 「笑って、驚いて、スライム300匹」
青スライムを連れて、リュウジとナツキはトリア村へ。
途中、女王スライムとのほのぼの温泉トークを経て、たどり着いたのは――スライムだらけの村!?
久々の再会、そして予想外の“修羅場”も交えつつ、笑いあり驚きありの展開です!
朝の空気はひんやりとしながらも、どこか心地よい湿り気を帯びていた。
リュウジとナツキは青スライムを荷台に乗せ、ウルフ車でトリア村へ向かっていた。荷台にはまだ余裕があったが、ナツキは少し顔を強張らせていた。
【ナツキ】「ねぇ、トリア村って、最初にスライム増やした場所なんだよね?」
【リュウジ】「ああ。あの頃は、数匹だったけどな。今は……何匹いることやら」
【ナツキ】「……なんか、怖い」
そう言って小さく震えるナツキに、リュウジは苦笑するしかなかった。
途中、回復温泉の前を通ると、白く立ち上る湯けむりの中に、女王スライムのふわりとした姿があった。
【リュウジ】「よし、ちょっと寄って挨拶していくか」
【ナツキ】「うん、女王さんにも会ってみたかったし」
ふたりが声をかけると、女王スライムはころころと丸みを強調しながら近づいてきた。
【女王スライム】「あらあら、リュウジじゃない。今日はいい日ね~ぷるん♪…あら?そちらのお嬢さんは?」
【ナツキ】「初めまして!ナツキです」
【女王スライム】「新しいお仲間かしら?ヨロシクね」
【リュウジ】「女王も元気そうで何よりだ。温泉は快適か?」
【女王スライム】「とっても快調よ~。最近はお肌がつるつるになるって評判なのよ~ぷるん♪ それでね、タケトにお願いして屋台を作ってもらうの♪」
【ナツキ】「屋台!? 何を売るの?」
【女王スライム】「まだ決めてないの~。でもね、想像するだけで楽しくて……ワクワクしちゃうのよ~ぷるん♪」
嬉しそうにぷるぷると震える女王スライムの様子に、ナツキがぽんと手を打った。
【ナツキ】「温泉まんじゅうなんてどう? 今イモや小豆が採れるから、材料もあるし」
【リュウジ】「あと、ホノエ村には乳牛もいるから、お風呂あがりの牛乳とかもいいかもな」
【女王スライム】「まあ~素敵ね~ぷるん♪ お風呂あがりにまんじゅうと牛乳なんて……もう最高じゃないの~♪」
【ナツキ】「料理は任せて! ここ、絶対観光地になるよ!」
【リュウジ】「よし、じゃあタケトにも話しておくよ。期待しててな!」
【女王スライム】「楽しみにしてるわ~ぷるん♪」
そうしてふたりは女王スライムと別れ、再びトリア村へ向かう。
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昼前、トリア村の広場に到着すると、目に飛び込んできたのは――
一面の緑と、豊かな自然。
【ナツキ】「え……すごい……ここ、本当に荒地だったの?」
【リュウジ】「ああ。ここで俺、最初にスライムと出会って……水路掘って、畑耕して……」
【ナツキ】「たった一人で……本当に、すごいよ。リュウジって……」
その言葉に、リュウジはこそばゆいような、照れくさいような気持ちで頭をかいた。
そして、広場の隅にある木陰。そこには、いつものように胡坐をかいて座るじいさんの姿があった。
【リュウジ】「じいさん、久しぶり!」
【じいさん】「おぉリュウジ!……って、なんじゃ、その娘は!?いつの間に嫁さんをこさえおったんじゃ!?」
【ナツキ】「えっ……!?」
突然の言葉にナツキの顔が真っ赤になる。
【リュウジ】「違う違う!仲間だって!」
そこへタイミングよく乱入してきたのは、例の酒場の看板娘、ユイナだった。
【ユイナ】「リュウジさん!久々に来たと思ったらお嫁さん作ってたの!?酒場と私と復興とその子と、どれが大事なのよ!!」
【リュウジ】「いや、順番とか比べる話じゃなくてだな……!」
広場にいた村人たちからも、「リュウジ村長が困ってるぞ!」と笑い声が上がる。
【ナツキ】「ふふっ……リュウジって、みんなに愛されてるんだね」
リュウジはため息混じりに笑って、ふたりに言った。
【リュウジ】「さて、本題だ。スライムたち、呼び出すぞ」
彼が口笛を吹くと――
ザワザワッ……ポコポコッ……ぼよよんっ……
村のあちこちから、スライムたちが次々に現れた。その数、まさに圧巻。
【リュウジ】「……うわっ!お前ら……いくらなんでも…………!」
【ナツキ】「え……ま、待って、なにこれ……」
気づけば広場は、大小さまざまなスライムたちで埋め尽くされていた。青、赤、緑、透明まで混じっている。
【リュウジ】「ざっと……三百匹はいるぞ……!?」
【ナツキ】「……これ、荷台に乗り切る……?」
【リュウジ】「……無理だな」
だが、そこでリュウジの脳裏にふとアイデアが閃いた。
【リュウジ】「いや、待てよ……もしかしたら……いけるかも!」
その目がきらりと光った瞬間、周囲の空気がほんの少しだけ動いた。
笑いと驚きの中に、次の作戦の予感が――静かに、芽を出した。
最後までお読みいただき、ありがとうございます!
まさかの300匹スライム地獄、そしてユイナの修羅場(笑)
とはいえ、温泉観光地構想やナツキの感動など、ほんのり心あたたまる回でもありました。
次回はこの大量スライムたちをどう運ぶか――リュウジのひらめきにご期待ください!
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