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不遇だったアラサーの俺が異世界転生させられたら  作者: 榊日 ミチル


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ー3章ー 3話 「防衛線と山の調査」

街の商人たちが帰っていった後、リュウジは次なる手を打ち始めます。

魔物たちとの軍議、そして領主の拠点の調査。

“戦わずに勝つ”ための布石が、少しずつ動き出します。


商人たちが街へ戻る前に、リュウジはふと立ち止まった。


【リュウジ】「なあ、ちょっと教えてほしい。領主の屋敷?城?って、どこにある?」


 問いかけに、商人の一人が首をかしげながら答えた。


【商人A】「ん? ああ、それなら街の北西。山の向こう側だよ。……てっきりご存知かと」


【リュウジ】「北西……って、ここから見てどのへん?」


【商人B】「ホノエ村からなら……直線距離ならかなり近いんじゃないか? ただ、あの山が邪魔でな。街へ大きく迂回して回り込まないと辿り着けないんだ」


【リュウジ】「……なるほど。ありがとう。無事に戻ってくれよ」


 そう言って見送ると、リュウジは小さく息を吐いた。

 情報が手に入った以上、次の行動は決まっている。


【リュウジ】「じゃあ、次の準備に入ろうか」


 ホノエ村の外れ――開けた丘の上に、リュウジは村に集っている魔物たちを全て呼び集めた。

 ウルフ、コボルト、ハーピー、スライム、そしてゴブリン、ロックゴーレム。

 人と魔物が集まる、まるで軍議のような雰囲気がそこにあった。


【リュウジ】「まず、ロックゴーレム。5日後、街の人たちが夜中にホノエ村へ逃げてきたら、街道の入り口を完全に封鎖してほしい。お前の岩壁なら、兵士の侵入は防げるはずだ」


 巨大な身体を揺らして、ロックゴーレムがゆっくりと頷いた。

 その姿に、周囲の空気がぐっと引き締まる。


【リュウジ】「次に、コボルトたち。その岩壁の上に展開してくれ。高所からの弓矢なら、いざという時に大きな牽制になる」


【コボルトリーダー】「了解……任されました任務、確実に遂行いたします……!」


 頼もしい返答にリュウジも軽く頷く。


【リュウジ】「ハーピーたちは、その上空。上空警戒と伝令役を頼みたい。それと……」


 リュウジは視線を上げ、羽ばたくハーピーたちを見つめた。


【リュウジ】「領主の拠点付近を隈なく調べて欲しいんだ。行ったことのない地域だから、地形なんかを把握しておきたいんだ」


【ハーピー】「任されたわ。空からなら、気づかれずに探れますわ」


【リュウジ】「ウルフとスライムは村で待機、ゴブリンたちは引き続き村の外の警戒に当たってくれ」


 ひとつひとつ、静かに、しかし確実に防衛線が築かれていく。

 魔物たちは迷いなく自らの持ち場へと散っていった。


【タケト】「リュウジ、あの人数をホノエ村だけで受け入れるのは正直キツいんじゃないか?分散させたほうがいいと思うんだが……」


【リュウジ】「ああ、もちろんさ。どう振り分けたら良いかも考えてあるから、ミズハ村とトリア村に事情を伝えて、避難民の受け入れをお願いしてくれないか?」


【タケト】「おう、任せとけ!じゃぁ早速行ってくるよ」


 二人は互いに拳を軽く合わせて、別れた。

 それぞれが、それぞれの任務に向かう。


 そして、リュウジ自身はひとり、ホノエ村の北へ向かって歩き始めた。

 街と村の間に立ちはだかる、あの“山”。

 商人の話によれば、そこが障壁となって領主の拠点へは迂回しないと辿り着けないという。


【リュウジ】「……実際どうなっているのか、調べてみる価値はあるよな」


 歩いて1時間程度で辿り着いた。

辺りは相変わらずの荒地が広がっている。

肝心の山は草木もなく、山肌がむき出しの状態だった。

しかしその存在感は、まるで人が立ち入るのを拒むかのような天然の防壁と呼ぶに相応しい姿だった。


【リュウジ】「これじゃ鎧を着てなくたって越えてくるのは無理だな………」


リュウジは商人の言葉の意味を、実際に見て改めて感じていた。


この山が、領主の勢力を阻む盾となっている。

しかし、その逆はどうだ?と今後の事を思案するリュウジ。

その計画は、静かに動き始めていくのだった。


今回は「防衛線の布陣と地形調査」のお話でした。

ホノエ村だけでなく、近隣の村々も巻き込んだ広域作戦に発展していきそうです。

山の存在が今後どう活きるのかも注目ですね。


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