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ー3章ー 1話「策謀の序章 - 密談と支援」

ついに物語は第3章へ突入です。

街で出会ったドワーフ鍛冶師・バルドンや住民たちとの協力関係が、リュウジたちの新たな一歩となります。

閉ざされた倉庫の中で語られる“静かな反撃”。どうぞお楽しみください。



カライドの片隅、ドワーフ鍛冶職人・バルドンの工房裏にある倉庫。

扉は閉ざされ、薄暗い空間の中にリュウジ、タケト、そして街の商人代表のバルドンと住民代表数名が静かに顔を揃えていた。


【バルドン】「……よし、揃ったな。街の連中も、お前さんにかけるしかねぇって顔だぜ」


バルドンは自らこの場所を提供してくれた。表通りでは人目があり、領主側に余計な動きを察知されかねない。それを気遣っての判断だった。


【リュウジ】「バルドンさん、ありがとう。じゃあ、さっそく本題に入りますか」


リュウジは持っていた小さな布袋を開き、中から干しイモを取り出した。


【リュウジ】「と、その前にこれ、残り少ないけど皆で分けてくれ」


【住民A】「これって……あんたが……配ってくれたのか……」


【タケト】「あの状況、尋常じゃなかったからな。あんたら、干からびてて言葉も出せないくらいだったしな」


【住民B】「……すまない。本当に感謝している」


リュウジは首を横に振る。


【リュウジ】「いや、別に気にしないでくれ。それより本題に入ろう。俺たちは、一旦戻ってここから一番近いホノエ村に“食料と水”を用意する。ホノエ村で用意できれば良いんだけど、あそこは復興途中でね。だから別の……俺の村から持ってくる」


【バルドン】「……本気か? 村の物資で、街を助けるってか?」


【リュウジ】「ああ。これでも一応村長なんでね。村には備蓄のイモがあるから、それを使おうと思う」


【住民A】「そうだったのか……で、俺たちは何をすればいい?」


いまいち全貌の掴めない話に住民たちが切り出す。


【リュウジ】「まぁ、焦らず。本題はここからだ」


【タケト】「まず知りたいのは、いつ徴税の取り立てに来るか?ってことだな」


バルドンが眉をしかめて、短く答えた。


【バルドン】「恐らく5日後だ。毎月決まった日に来てるからな。急な変更はないだろう」


【リュウジ】「なるほど……じゃあ、5日だけ。街全体で“物が全く売れていない状態”を作ってくれ」


【バルドン】「具体的には?」


【リュウジ】「住民のみんなは自宅待機を。商人たちは、いつも通り営業してくれ。客足ゼロの状態を作り、徴税に来た兵に“商売になっていない”と領主に証言してもらうためだ」


【タケト】「その証言と、売上の無さで“徴収不能”と判断させる、って事だな?」


【バルドン】「……理屈は通ってる。だが、住民の支援物資はどうやってこの街に?」


【リュウジ】「そこは、この街の商人にお願いしたい。あくまで“仕入れ”という建前で、ホノエ村に物資を受け取りに来てくれればいい」


【タケト】「こっちで食料と水を大急ぎで用意しておくよ。」


【バルドン】「……なるほどな。なら、怪しまれずに街へ入れる。お前さんたち、ずいぶん策士だな」


【リュウジ】「俺たちも、その領主に疑念を抱いてるからな。村も街も関係ない。困ってるなら助け合うしかないだろ?」


【バルドン】「ふん、嫌いじゃねぇよ。分かった。物資を取りに行かすヤツは俺が選ぶ。信用できる奴を見繕っておく」


住民代表の一人が不安そうに尋ねた。


【住民A】「でも……それで終わるんですか? 領主がまた別の手で来たら……」


【リュウジ】「まぁまず終わらないだろうな、確実に。だからこそ、その時に“何ができるか”を今のうちに考える必要がある。俺は、その辺も考えてある。だからまずは第一段階を成功させよう!」


リュウジは真っすぐに全員の目を見て言い切った。


【リュウジ】「この街も、村も、誰一人見捨てない。だから全員で力を合わせよう!」


しばらくの沈黙のあと、バルドンがぐっと拳を握った。


【バルドン】「よし、やろう。俺もこの街を見捨てる気はねぇ。あんたの策に乗るぜ、リュウジ」


【リュウジ】「助かるぜ、バルドンさん!」


工房の倉庫にこだまするのは、乾いた革の音と、静かな決意の拍手。

この瞬間、街と村が手を組む“反撃の布石”が、ついに動き出した──。


ご覧いただきありがとうございます!

今回から街との本格的な連携が始まります。

ただの村長じゃないリュウジの“やり方”が、どこまで通用するのか……第3章も引き続きよろしくお願いします!


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