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不遇だったアラサーの俺が異世界転生させられたら  作者: 榊日 ミチル


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ー2章ー 26話 「風の民との誓い」

リュウジが向かったのは、空に住まう“ハーピー”たちのもと。

一方、ミズハ村ではナツキが被害を受けた畑を見て、ある提案を──。


米農家の娘の知恵が、新たな未来を切り拓くきっかけになるかもしれません。


【ナツキ】「これは……ひどいわね」


 ミズハ村の畑を見渡しながら、ナツキは泥に沈んだ長靴を引き抜いた。畑一面に広がる泥水。その光景を前にしても、彼女の目には希望の光が宿っていた。


【ナツキ】「でも、田んぼにするには悪くないわ」


【タケト】「何とかなりそうか?」


【ナツキ】「ここは水が綺麗で豊かだし、それに炭もあるみたいだしね」


 そう呟くと、ナツキは畑の所有者たちを呼び集めた。


【ナツキ】「皆さん。この畑、今は水が溜まって使えないけれど……これを“田んぼ”に変えませんか?」


【村人A】「田んぼって……米か? 育てたことなんてねぇぞ」


【村人B】「米かぁ………その発想はなかったが、本当にできるのか?野菜はどうする?」


湧き上がる村人たちの声にナツキが答える。


【ナツキ】「大丈夫。私は米農家の娘でしたから、作り方はわかってます。この畑で野菜は難しいけど、落ち着いたら別の所で畑を作っても良いですよね?ただ、今はここをどうにかする方が良いと思うんです」


 不安げな視線を向ける村人たちに、ナツキはひとつずつ手順を説明していく。


【ナツキ】「まずは溝を掘って、水を川に流します。そのあと土を乾かして、さらに深く掘るんです。そして、赤スライムたちにお願いして炭に栄養を付けてもらって――」


説明を聞いていた村人から、ぽつぽつと意見が出始める。


【村人C】「なるほど……何かできそうな気がしてきたな!」


【村人D】「長年使ってきた畑を無駄にする訳にはいかないしな。よし、俺はやるぞ!」


 その後も不安に感じていた村人が、次第にやる気を見せだした。そして彼女の手際よい指導で、畑の水抜き、乾燥、炭の処理と作業は着々と進められていく。


【ナツキ】「赤スライムちゃんたち、お願い。これにくっついてね」


 ぬちゃぬちゃと音を立てながら、赤スライムたちは炭に群がり栄養分を吸着していく。やがて土に混ぜ込まれたそれは、田んぼとしての第一歩となった。



---


 一方その頃、リュウジは手土産の新鮮な野菜を背負い、険しい崖道を登っていた。目指すは、空の民・ハーピーの住処。


【リュウジ】「ふぅ……コボルトの次はハーピーか。しかしスゴい所に住んでるんだな」


 崖の上から鋭い声が飛んだ。


【ハーピー兵】「そこにいる人間! これ以上近づけば攻撃するぞ!」


【リュウジ】「待ってくれ! 敵意はない。ただ、話がしたいだけなんだ」


 ハーピーたちは警戒したままだったが、リュウジの首元で光る“竜涙石”を見た瞬間、その態度が一変した。


【ハーピー兵】「そ、その秘石……あなたは……す、少々お待ちください!」


 羽音を響かせ、ハーピーの兵が飛び去った。そして間もなく、翼を広げた長老らしきハーピーが現れた。


【ハーピー長】「……これはこれは、“竜の同胞”の方。ようこそお越しくださいました」


【リュウジ】「あ、えっと……突然でごめん。実はちょっと、お願いがあってさ」


【ハーピー長】「どういったことでしょうか?」


【リュウジ】「魔物には直接関係はない話なんだけど、最近この辺りで不審な人間がいるんだ。勝手なお願いではあるんだけど、力を貸してもらえないかなと。」


【ハーピー長】「…なるほど。確証はありませんが、我らも不穏な噂は耳にしております。……この地域に悪影響があるのであれば見過ごすことはできませんね。分かりました!微力ながら尽力いたします」


【リュウジ】「本当か!?突然のお願いで申し訳ないけど、よろしく頼む!」


【ハーピー長】「いえいえ、ご気遣いは無用です。人間と再び手を取り合えるのです、こんな喜ばしい事はありません」


そして新鮮な野菜を手渡す。


【リュウジ】「これ、近くの村で採れた野菜。少しだけど、よかったら」


【ハーピー長】「これは……ありがたい。このような新鮮な野菜、久しく見ておりません!実に良いできですね!」


 握手を交わすふたり。その瞬間、信頼が生まれた。


【ハーピー長】「それと……お伝えすべきことがあります。先ほど話した不穏な噂ですが……実は上空からの偵察で、街の様子が少し……おかしいのです」


【リュウジ】「おかしい?」


【ハーピー長】「はい。普段から活気のある街なのですが、最近は人が少ないと言いますか……まるで別の街の様な雰囲気のようで……どうも妙なのです」


【リュウジ】「そっか……やっぱり、何かあるな」


 この情報により、リュウジの中である決意が固まる。


【リュウジ】「ありがとう、ハーピー長。もし街に何か起きてるとしたら、放ってはおけない。俺、行ってみるよ」


【ハーピー長】「お気をつけて、“竜の同胞”よ」


 再び崖を下るリュウジの背に、追い風のような温かな風が吹いていた――。


ナツキの「田んぼ化計画」、リュウジの「空の民との会談」。

それぞれの場面で、新たな繋がりと伏線が展開しました。


特に街の異変に関する情報は、今後の行動の重要な鍵となる予感……。

次回もどうぞお楽しみに!


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