ー2章ー 22話 「甘味と疑念と、旅人の足音」
スライムたちの活躍で畑が整い、ホノエ村には様々な作物が実りました。
その収穫を使って、ナツキたちが作るのは……なんと“イモようかん”!?
村中に笑顔が広がる中、突然現れた旅人の一言が、リュウジに違和感をもたらします。
少しずつ、物語の歯車が動き出す――そんな22話です。
数日後、タケトが舗装工事を終えてホノエ村に戻ってきた。
村は見違えるほど整っていた。スライムのぬちゃ効果により、畑の作物もぐんぐん成長し、いくつかの野菜や果実が収穫可能な状態になっていた。
そんな中、リュウジ・ナツキ・タケトの3人は、収穫した食材を活かしてスイーツやお菓子を作る計画を練っていた。
【ナツキ】「やっぱり、お菓子って小麦粉がないと始まらないよね」
【リュウジ】「小麦ならトリア村で作ってる。イモもあるし、素材には困らないな」
次々と案が飛び出していく。イモようかん、スイートポテト、まんじゅう、ホノエ村の卵を使ったフレンチトーストなど、夢のようなメニューが広がる。
【ナツキ】「寒天があれば完璧なんだけど……まぁいいか。イモようかん、今すぐ作ってみようよ!」
ナツキはさっそく調理に取りかかる。手慣れた手つきでイモを蒸して潰し、砂糖を加え、成形して冷やす。
完成したイモようかんを、まずは3人で試食。
【リュウジ】「うっまっ!!」
【タケト】「おお!これ、店出せるレベルだぞ……!」
【ナツキ】「えへへ……ありがと。でも、せっかくだから村の皆にも食べてもらおうよ」
簡易な屋台を用意して、試食用に一口サイズに切ったイモようかんを並べる。
【リュウジ】「おーい、みんなー!こっちに集まってくれ! イモようかんの試食やってるぞー!」
イモようかんってなんだ?と聞きなれない名前の食べ物の試食会に、疑問を持ちながらも群がる村人たち。
集まってきた村人たちは、ひと口食べては目を見開き、次々と絶賛の声をあげた。
【村人A】「う、うめぇ……!」
【村人B】「なんだこれ!? 甘いのに重くない!」
【村人C】「イモってこんな顔もあったのか……!」
まさに歓喜の嵐。活気づく村の様子に、リュウジたちも思わず笑顔を浮かべる。
その時だった。
【???】「すみません、それは……何ですか?」
突然声をかけてきたのは、見慣れない旅人風の青年だった。肩には布の袋、腰には短剣。身なりは質素ながらも、目は鋭く、なにかを見定めるような視線をしている。
【ナツキ】「あ、これはイモようかんです。よかったら、どうぞ?」
旅人は一瞬戸惑った後、軽く会釈してそれを受け取る。
【旅人】「……いただきます」
ぱくりと一口。すると旅人の目が一瞬だけ見開かれ、やがて驚きが笑みに変わった。
【旅人】「これは……すごい。甘くて優しい味だ。どこか懐かしい……。ありがとうございます、これは……旅の”良い土産話”になります」
【ナツキ】「良かった。お気をつけて、旅の無事を祈ってます」
旅人は軽く会釈し、再び道へと戻っていった。
その様子を見ていた村人のひとりが、ふと漏らす。
【村人D】「旅人なんて……珍しいな。街道がロックゴーレムに襲われるって噂が出てから、もう誰も通らなくなったはずなのに……」
その言葉に、リュウジの表情が曇った。
(あの森のロックゴーレム問題を解決した事は、俺たちとホノエ村の人しか知らないはず……。あの旅人、どこから来た? なんでここへ?)
リュウジの胸に、ふと湧き上がる疑念。
それは不安というよりも、違和感に近い。
【リュウジ】「……ナツキ、タケト。ちょっと、例の街道の様子を見に行ってみないか?」
【タケト】「……了解。気になることがあるって顔してるな?」
【ナツキ】「わかった。私も行く」
芋ようかんの甘い余韻を残しながら、3人は静かに歩き出す。
……嫌な予感でなければいいのだが。
今回はほのぼのした村の時間と、ほんの少しの“違和感”を混ぜ込んだ回でした。
甘いイモようかんから、ほんのり漂う次の波乱の予感。
この旅人は一体何者なのか……?
次回もどうぞお楽しみに!




