ー1章ー 4話「村の再興と、イモと、ぷるぷる会議」
村の畑を甦らせるため、ちょっと変わった作戦が始まりました。
鍵を握るのは、ぷるぷる震える“あの存在”。
最初は不安と混乱ばかりですが、少しずつ変化の兆しが……?
村が騒然とするドタバタぷるぷる劇のスタートです。
【リュウジ】「よし、ここにスライムの養分を撒くぞー!」
女王スライムがぷるんと跳ねる。
【女王スライム】「ちょっとだけ出すからね?」
【リュウジ】「うん、様子見で“ちょっと”だけな」
【女王スライム】「はい、ぷるぷる注入〜♪」
ドバッ…
……。
【リュウジ】「ちょっとじゃない! ちょっとって言ったよね!?」
ぬちゃぬちゃと地面を濡らす養分の量が、明らかに“ちょっと”の域を超えている。
【女王スライム】「だって、溜まってたから……」
【リュウジ】「スライムって、どこに貯蔵してんだよ!」
その様子を遠巻きに見ていた村人たちが、ざわざわとざわめく。
【村人A】「お、おい、これ大丈夫か……?」
【村人B】「何かぬちゃぬちゃしてるぞ……」
【村人C】「……あのピンクの、意外とでかい……」
【リュウジ】(なんか、違う意味で話題になってないか!?)
【村人D】「村長ぉ、これ本当に効くんですかぁ?」
【じいさん】「うむ。わしも見たのは初めてじゃが、信じようではないか……ぷるぷるを」
──ぷるぷるを信じる会、ここに爆誕である。
【リュウジ】「とはいえ、やせ細った土地を甦させるなんて、この案以外ないしな…。信じるしかないか。」
【じいさん】「そうじゃ。ちょっとぬちゃぬちゃしてはおるが、効きそうな感じがどことなくしておらんこともないわい。」
【リュウジ】「どっちだよっ!」
手探りでの共同作業と、養分と称する謎のぬちゃぬちゃが、この村を救うんだろう…
…多分。
しかし、数日後──
【村人A】「おい、芽が出てる!」
【村人B】「ここにも!」
【村人C】「すごい、緑が戻ってきた……!」
村の畑に、確かな変化が現れた。
荒れ果てた大地に、瑞々しい緑が芽吹き始めたのだ。
スライム養分、まさかの大勝利である。
【村人D】「まさか、本当に……こんなことが……」
村人たちの表情にも、少しずつ笑顔が戻っていく。
【じいさん】「これなら……イモ以外も育つかもしれんのう!」
【リュウジ】「おいおいおい!スライムさん!やるじゃねーか!これなら夢にまで見た葉物野菜も、そう遠くない所まで来たんじゃないの!?」
【女王スライム】「私たちの養分は色々混ざってるから、たくさん野菜が育つわよ~ぷるん♪」
【リュウジ】「…色々が気になるが、問題なし!畑の復活だーー!!」
村人の言葉に思わず歓喜してしまった。
だって……イモしか食べてないんですもの。
希望という言葉が、ようやくこの土地に根を張り始めた瞬間だった。
その一方で、スライムたちはと言えば──
【スライムA】「わたしは葉っぱ系がいい!」
【スライムB】「いや、虫だろ、虫が最高!」
【スライムC】「そっちは豆系でしょ!? 臭いのよ!」
【スライムD】「そっちだって、ぷにぷにしてるくせに!」
ぷるぷる震えながら口論を始めていた。
【リュウジ】「……ぷるぷるしながらケンカするな! かわいいけど!」
畑を見てみれば、さっそくスライムが雑草をモグモグと食べている。
【リュウジ】「んー。なんかカワイイ」
穏やかで、笑いが飛び交う村の光景。
転生したことに少しだけ幸せを感じていた。
村人も、スライムとの共存に戸惑いながらも、笑顔を見せている。
そして今日も俺は、イモをほお張る。
──たとえ、口の中の水分が全部なくなろうとも。
まさかのスライム養分、大勝利!
イモしかなかった村に、ようやく“緑”が戻ってきました。
そしてスライムたちは、今日も元気にぷるぷる議論中。
次回、また新たな展開が巻き起こる!?
お楽しみに!




