ー2章ー 18話 「畑に希望の種を――ナツキ、村を動かす」
森で出会った作物の恵みを村へ持ち帰ったリュウジたち。
しかし、ホノエ村はもともと酪農中心の村。畑に対する不安と戸惑いが広がる中、
一人の村人が踏み出した。そして、ナツキが声を上げた――。
村に、新しい希望が芽を出します。
森でサトウキビのような植物を見つけた俺たちは、そのまま村へと戻った。
【リュウジ】「……まさか海があるなんて思わなかったな」
【ナツキ】「うん……すごかった……!」
思い返すと、まるで絵に描いたような青い海と白い砂浜だった。 潮の香りを感じながら、ナツキは目を輝かせていた。
【リュウジ】「なぁ……釣りってやったことある?」
【ナツキ】「数回だけ、子供の頃に。リュウジは?」
【リュウジ】「ない。でも……いつか船作って、海で魚釣ったりできたらいいな」
そんな未来を夢見ながら、俺たちは収穫してきた野菜や果物を抱え、村にたどり着いた。
さっそく村のみんなを集め、森で見つけたものを見せる。
【リュウジ】「これ、森に自生してたんだ。種類もたくさんあるし、美味い物ばかりなんだ……だから村で育てられないかな? 」
【村人A】「すげぇ……でも、俺たち畑ってのは……」
【村人B】「家畜の世話は得意だが、畑はなぁ……」
ホノエ村は、もともと酪農中心の村だった。畑を持っている家は、ほんの二軒ほどしかないという。 村長も不在だったため、みんながためらっていた。
【リュウジ】「……やっぱり難しいか」
諦めかけたそのとき──
一人の村人が、静かに手を挙げた。
【村人C】「……俺、やらせてほしい」
みんなの視線が集まる。
【村人C】「家畜をやられて、もう酪農もできねぇ。最初は立ち直ろうと考えたが……正直、無理だった。
でも、畑なら……何か変えられるかもしれねぇ。教えてもらえるなら、俺、やりたい」
それを皮切りに、同じ境遇の村人たちが次々と声を上げ始めた。
【村人D】「俺もだ!」
【村人E】「オレも……畑、やってみたい!」
小さな波紋が、確かなうねりへと変わっていくのを感じた。
【ナツキ】「……っ!」
胸いっぱいに感情を湛えたナツキが、強く一歩前に出る。
【ナツキ】「私、農家の娘です! 小さい頃から畑のこと、いっぱい学んできました!
だから──教えます! みんなで、やりましょう!」
ナツキの声が、村人たちの胸に力強く響いた。
彼女は、誰よりもこの村に寄り添う覚悟を持っていた。
【リュウジ】「ナツキ……」
俺は、はっきりと確信した。
ナツキこそが、この新しいプロジェクトのリーダーだ。
【リュウジ】「……ナツキ。村の畑づくりのリーダー、頼んでもいいか?」
【ナツキ】「うん!」
力強く頷くナツキに、村中から歓声が上がった。
──こうして、ホノエ村に
「酪農」「畑」「田んぼ」「そして、スイーツ」
たくさんの未来への種が撒かれたのだった。
今回は“村の変化”がテーマでした。
ナツキの想い、村人の一歩、そして畑という新たな選択肢。
これまでスライムで土地を整えてきたからこそ、ようやく生まれた農業への意志。
リュウジが蒔いた種が、確かに芽を出し始めています。次回もお楽しみに!




