表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/151

ー1章ー 2話 「たいまつと女王スライムと、ちょっとだけ和平交渉」

たいまつを手に、いざスライム退治へ──と思ったら、想定外の展開が待ってました。

ゲームの知識で挑んだ俺 vs スライムの勝負の行方は?

そしてついに現れる、ちょっと偉そうでかわいい(?)"アレ"。

第2話、ドタバタ&ほんのりホッコリ?の回です!


あれから、じいさんにたいまつをもらいスライムが出没するという場所に向かった。


勝算は五分五分といったところ。

何せ現代の知識で挑もうをいうのだ、異世界で通用するのかは正直不確かだ。


現地に到着してしばらくすると.....


【リュウジ】(!?出た!スライムだ!)


想像通り可愛らしい見た目をしている。

これを退治するというのはちょっと気が引ける。

とはいえ、ここの人たちが困窮する事態は黙ってやり過ごす訳にはいかない。


ゲーム的に考えれば、スライム=水属性。

なら火が効くだろう、という判断。

打撃が効かないってじいさんも言ってたし。


【リュウジ】「これが……たいまつの力だぁ!」


バチバチと燃える炎をスライムに突きつけてみる!


………が!


……ぬるっ


当たりはしたが、勢い余って俺の手に火の粉が着弾!


【リュウジ】「あっっっっっつぅ!?いや俺じゃなくてお前が熱がるターンだろ!」


スライムはぐにゅん、と嫌そうに震えるだけで、まったく焼けない。

多少のダメージは与えているようだが、決定打にはほど遠い。


【リュウジ】「なんで~!?お前、水属性じゃないの!?設定どこいった!?誰か説明してくれな~い!?」


俺がジタバタしてる間に、周囲の茂みからぞろぞろと仲間のスライムたちが集まってくる。


【リュウジ】「うおおおお、数増えてるうううう!」


合計……10匹。


【リュウジ】「まさかっ、これ、アレか!?合体してスライムなにがしになるアレか!?……」


俺が警戒する中、スライムたちは横に並んでぴょん、ぴょんと跳ねる。


【リュウジ】「……並んでるだけかーい!」


安心した次の瞬間。

ひときわ大きな、丸く透き通ったピンク色のスライムが現れた。


【???】「……人間、やっと話せるやつが現れたか」


【リュウジ】「え……今、しゃべった?誰?」


目の前の大きなスライムから声がした。

どう聞いても──女性の声。


【女王スライム】「私がこの地のスライムを束ねる存在。いわば“女王スライム”というところかしら」


【リュウジ】「女王スライムぅ!?え、魔物って喋るの!?てか女!?いや、そこじゃないな!」


俺の頭の中がパンクしかけてるのを見て、女王スライムはぷるん、と一度軽く跳ねてから言った。


【女王スライム】「あなた、火で私たちを焼こうとしたでしょ?」


【リュウジ】「いやそれは!ちょっと……ごめん。ていうか、焼けてなかったし、むしろ迷惑だったよね?反省してます」


【女王スライム】「うん、正直あれ……ちょっと熱いのよね。」


【リュウジ】「ちょっとだけかいっ!」


思わずツッコんでしまったが、女王スライムからは不思議と敵意を感じられなかった。

辺りにいたスライムたちは一斉にぴょんと跳ね上がり、何か嬉しそうにも見える。

それは……怒りでも威嚇でもなく、なんとなく、好意的なものに感じた。


【リュウジ】「えっと……共存って、できるのかな?」


あまりの敵対心のなさに、思わず口にしていた。

戦わなくていいならそれに越したことはない。

そもそも荒廃させた理由もわからないし....。


【女王スライム】「草木を食べないと生きていけない個体もいる。でも、必要なものだけ食べれば共存はできるわ」


【リュウジ】(なるほど。

生きるためにしかたなくってことか。

まぁ考えてみりゃそれは当然だよな。

しかしここまで荒廃したってことは何かスライムとは別の要因があるような気がするが......今はそれを考えてもしかたないか。)


【リュウジ】「それってつまり……例えば畑の雑草とか、作物に害のある虫とか食べてくれるのか?」


女王スライムは小さく首をかしげた。

(…ように見えた)


【女王スライム】「虫、美味しいよ。あと、たまに土から出る赤いやつも」


【リュウジ】「ミミズはダメ!それは土を良くする大事なやつだから!」


【女王スライム】「……そうなの? じゃあ、それ以外の虫で我慢するわ」


【リュウジ】「……それ、めちゃくちゃ助かるやつ!」


これで村の畑は守られる。スライムは雑草と虫で満足。

俺は、たいまつをそっと地面に置いた。


【リュウジ】「分かった……。共存できるなら攻撃もしないし、火も使わない。だから、仲良くしよう」


【女王スライム】「ふふっ。あなたって面白い人間ね、わかったわ。ぷるん♪」


【リュウジ】「しかし何で俺、魔物の声が分かるんだ?」


女王スライムが、ほんの少しだけ笑ったような気がした。

こうして、初めての「戦い?」は、ちょっとの火傷と、少しの会話で終わった。

そして俺は今、スライムと和平交渉をしている……異世界で。


【リュウジ】「……さて、この展開をどう活用するか……俺の知識、試されてるな……」


じいさん.......納得してくれるかな?


まさかの「スライムと和平交渉」という流れ、いかがでしたか?

異世界モノなのに、ちょっとシュールでちょっとほっこり、

そんなやり取りをこれからも描いていきたいと思ってます。


さて次回は、村長の反応やいかに……?

じわじわ広がる“共存の芽”をお楽しみに!


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ