ー1章ー 22話 「焼き芋と赤スライムとミズハ村復興作戦!」
ウルフ車で支援物資を運び、赤スライムたちと一緒に、いよいよミズハ村の本格復興が始まります!
焼き芋しながら地面を乾かす、まさかのぷるぷる作戦、始動──!
今日も、異世界は全力でのんびりしてます。
朝日が昇り始めた頃、トリア村の広場に、見慣れない“車”が停まっていた。
それは、ウルフたちが引くように設計された特製の荷車。
名付けて──ウルフ車。
【リュウジ】「おーい、準備できてるかー?」
【村人A】「ああ。あとは積み荷を載せるだけだ」
【リュウジ】「よし、それじゃあ……イモ!薪!赤スライム!全員積めー!」
【ちびスライム(赤)】「ぷにゅー♪」
ウルフ車には、支援用の食料であるイモ、調理用の薪、そして──
炭を食べて“進化”したばかりの赤スライムが、ぷるぷると跳ねながら乗り込んだ。
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数時間後、ミズハ村。
ウルフたちが荷車を引いて村へ現れた時、村人たちは一斉に作業の手を止めて驚いた。
【村人A】「な、何だあれ!? ウルフが……荷物を運んでる!?」
【タケト】「おぉっ、来たか! リュウジ!……ってウルフ!?また魔物を仲間にしたのか!?」
【リュウジ】「ふふふ…そうなんだ。実はトリア村の隣にある森で一悶着あってな。その時に仲良くなったんだ。これで仮置きしてた残土も何とかなるだろ?」
タケトは思った…。
(何をどうしたら、魔物と仲間になるんだよ!)
【リュウジ】「そんで、今日は“支援”ってやつだよ。イモと薪を持ってきた。それと……こいつもな」
【タケト】「こいつ?」
【リュウジ】「赤スライムだ。これも初お披露目だな!すごいぜ、こいつ。火の着いた炭食べて進化したんだけど、そのままでも熱持ってるんだ。つまり、火の代わりになる」
【ガンジ】「おぉ!それはすごいのぉ!ワシらはお前さんらと、スライムに助けてもらってばかりじゃ!」
【リュウジ】「まぁ、気にしないでくれよ。それに、焼き芋ならこのスライムも炭食べられるから丁度いいだろ?」
【タケト】「そうか!炭食べて成長したら分裂して、更に作業が捗るってことか!」
【リュウジ】「その通り!赤スライムの誕生は偶然だったけど、良いアイディアだろ?」
その日、驚きと希望がミズハ村を包んだ………。
村の一角に即席の焼き芋会場が作られ、薪が焚べられ、イモが投入されていく。
その隣で赤スライムが、燃え残った炭を見つけては、ぱくっ、もぐもぐ。
【村人B】「お、おい、あいつ……炭食ってるぞ……!大丈夫なのか!?」
【リュウジ】「あー、問題ない。むしろ今からが本番だ!」
炭を食べた赤スライムの体が、ぼうっと赤く輝き──
ぷるっ、と震えたかと思えば、ぽこん!ともう一体の赤スライムが分離誕生!
【村人たち】「「ふ、増えたーーー!?」」
【タケト】「マジかよ……! これなら村中の水分飛ばすくらい余裕じゃないか!?」
【リュウジ】「あぁ。これで地面も乾く。家の修復も捗るし、衛生面も改善されるって寸法さ」
その日、ミズハ村には甘く香ばしいイモの香りと、活気が戻っていた。
そして──
村のあちこちで、ぷるぷると増え続ける赤スライムたちの姿が、確かな希望の光となっていた。
【ガンジ】「……ぷるんぷるん♪してて、ありがたいなぁ……」
【リュウジ】「ガンジさん、そのセリフ、なんか色々アウトです」
その晩、赤スライムの誕生に癒される村人の姿が後を絶たなかった……。
まさか焼き芋がここまで役立つとは……!
リュウジたちの奮闘で、ミズハ村にも笑顔が戻ってきました。
次回、さらに広がる村の未来。お楽しみに!




