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不遇だったアラサーの俺が異世界転生させられたら  作者: 榊日 ミチル


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第1部完結 ー6章ー 30話 「霊鳥が告げるフェンリス王国の危機」

【リュウジ】「……おいおい、そんなデカさのオオワシ……聞いた事ないぞ!」


フォレストドラゴンの一言に、リュウジとエルノアは驚きを隠せなかった。


確かに、雪山をウルフ車で駆け上がるのは無理があるとは思っていた。

もし鳥の背に乗って山頂を目指せるのなら、これほどありがたい話はない。


しかし問題は、その相手だ。


ドラゴン並みの大きさを持つ魔物と、果たしてまともに交渉が成り立つのか。

そこに大きな不安があった。


【フォレストドラゴン】「驚くのも無理はない。ヤツは霊鳥と呼ばれる存在。我と似た役割りを果たしているのだ。そのため、普段姿を現すことはないからな」


霊鳥――ドラゴンと似た役割り。


つまり、ドラゴンが国を守護する存在であるように、そのオオワシもまた何かを守護している存在なのだろう。


だが、そんな滅多に姿を現さない存在と、どうやって交渉するのか。

リュウジにはまったく見当がつかなかった。


【リュウジ】「そのオオワシにはどうやったら会えるんだ?」


率直な疑問だった。


他国に入る以上、あまりうろつくこともできない。

下手に侵入したと見なされれば、どんな扱いを受けるかも分からないのだ。


【フォレストドラゴン】「……案ずるな。実はな、既に呼んである」


【リュウジ】【エルノア】「えっ……!?」


その瞬間だった。


いつの間にか、フォレストドラゴンのいる場所の左側に、大きな影が落ちていた。

洞窟の入口に差し込む光を遮るほどの巨大な影だ。


二人がゆっくりと顔を上げる。


そこには、見たこともないほど巨大なオオワシが、洞窟の隣にそびえる大樹の枝にとまり、静かに羽を休めていた。


【リュウジ】「うおぉ!!?」


まるで、そこにいるはずのない存在が突然現れたかのような感覚だった。


リュウジは思わず声を上げてしまう。


【オオワシ】「ほほぅ。この者がフォレストドラゴン様の仰っていた、リュウジという人間ですか」


どうやらフォレストドラゴンが、既にリュウジのことを話してくれていたらしい。


怪鳥と言えば失礼なのだが、それほどまでに巨大で、強烈な威圧感を放っている。

その存在感は、フォレストドラゴンと並んでも見劣りしないほどだった。


【フォレストドラゴン】「オオワシよ。このリュウジもまた、我らの同胞。お主の悩みを聞いてくれるだろう」


(……どういう事だ?)


リュウジは心の中で首をかしげた。

話を聞くべき相手は、雪山のドラゴンではなかったのか。


【リュウジ】「雪山のドラゴンの話を聞くんじゃないのか?」


【フォレストドラゴン】「うむ、それが本題で間違いはない。だがオオワシの話は、その根本……それをまずは解決せねば本題には進めぬのだ」


なるほど、とリュウジは軽く頷いた。

つまり、この問題の奥には別の原因があるということらしい。


【オオワシ】「雪山中腹には、我の住処があるのだが、そこに負傷した若き兵士がおるのだ。その者が助けを乞うておってな……」


どうやら、その兵士の事情がすべての発端らしい。

リュウジとエルノアは、静かに耳を傾けた。


【オオワシ】「雪山がある地は、フェンリス王国と呼ばれていてな。今はお主くらいの若い娘が女王として国を束ねておるのだが、この女王が問題でな……」


リュウジは思わず考える。


王の問題――よくある話だ。

無茶な訓練なのか。

兵士への任務が過酷なのか。

だが、どうやら話はそうではなさそうだった。


【エルノア】「その女王様が何をしたのですか?」


【オオワシ】「何をしたのか……いや、むしろ何もしないのだ」


リュウジとエルノアは顔を見合わせる。

まったく話が掴めなかった。


【オオワシ】「女王は政に向いていないと言い出し、何もしないせいで国が干上がり、それに怒りを顕にされたスノウドラゴン様は冷気を強め、今や国全体が雪と氷に支配されてしまっているのだ」


なるほど、何となく事情は理解できた。

政に不向きな女王が国の頂点に立ってしまい、国政が機能していない。


その結果、国を守護するスノウドラゴンの怒りを買い、大地は凍りついてしまったというわけだ。


【リュウジ】「そのスノウドラゴンは、何で国の政をしないって事で怒ってるんだ?何か理由でもあるのか?」


【オオワシ】「先代の王までは、月に一度、国を守護しているスノウドラゴン様に国で採れた作物を供物として捧げていたのだ。ここと同じく豊かな大地を保っていたのは、スノウドラゴン様のお陰である事を理解していたからな」


【エルノア】「先代の王がどのような国政を担っていたかは存じ上げませんが、少なくともドラゴン様に対しては、敬意を持っていたのですね」


【オオワシ】「そうだな。しかし、今の女王に代わり、その慣習は絶たれた。次第にスノウドラゴン様も人間の非礼を嘆き、大地を守護する気持ちが薄れ、今のような状態になってしまったのだ」


そして、オオワシは続けた。


【オオワシ】「それを何とかしようと、僅かしかないであろう供物を携えた若き兵士は、雪山を登っていた。だが途中で崖から転落し、一命は取り留めたものの、今も我の住処で休んでおるのだ」


話はようやく繋がった。


どうやら雪山のドラゴンに会う前に、まずはフェンリス王国の問題を何とかしなければならないらしい。


リュウジはエルノアと顔を見合わせる。

そして二人は、静かに頷き合った。


まずは――

その女王に会わなければならない。

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