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不遇だったアラサーの俺が異世界転生させられたら  作者: 榊日 ミチル


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ー6章ー 23話 「子供たちの描く未来」

子供たちの絵のコンテストがいよいよ始まります。

未来のウルフバスを想像しながら描くという課題に、子供たちはどんな作品を仕上げるのでしょうか。

緊張と期待が入り混じる広場の空気をお楽しみください。

コンテスト開始を今か今かと待ち受ける子供たちの目は、期待と緊張に輝いていた。


席に座りながら、横や後ろの子供同士で小声を交わし、笑ったり、不安そうにうなずき合ったり。

広場の空気には、普段の遊び場とは違う熱気が漂っている。


その中心に立ったのは、まだ幼いながらも子供ギルドのマスターを務めるカリムだった。


胸の奥がドクドクと波打つ。

喉が渇き、手のひらには汗が滲む。

それでも彼は一歩前に進み、精一杯声を張り上げた。


【カリム】「き…今日は集まってくれてありがとうございます!このコンテストで優秀だと判断された作品は、これから運用させるウルフバスという皆が使える乗り物の目印として採用されます」


どよめきが広場を包む。

子供たちは「本当に?」と顔を見合わせ、保護者たちも興味深そうに耳を傾けた。


最初こそ声が震えていたカリムだったが、続けるうちに自然と調子を取り戻していく。


【カリム】「実際のウルフバスはまだ完成していません。だから、皆にはミリューさんをモデルにして、こんな乗り物かなって想像して描いて欲しいです!」


想像する力こそが未来を作る――その言葉は、子供たちの胸に強く響いた。


【ミリュー】「ウルフバスは、私が任させている輸送ギルドで運用する乗り物です。荷車に十数名程度は乗れるようになると思います。実物がなくて残念ですが、皆さんのユニークな発想を期待しています……ひょっとしたら、あなたの描いた絵が将来バスになるかもしれませんよ?」


その説明に、子供たちは一斉に歓声を上げる。


【子供A】「本当に!?」


【子供B】「私が描いた絵が………可愛いのにしよっと!」


【子供C】「すっげーヤツを描いてやるぜ!」


【じいさん】「うむ!素晴らしかった子には、ワシから村一番の甘いイモをやるぞい!」


笑い声とやる気が渦を巻き、場は一気に盛り上がった。


【カリム】「それでは始めます!出来た人から順番に絵を持ってきてください!」


いよいよ、コンテストが幕を開ける。


子供たちは目の前の紙に向かい、ペンを握りしめた。


ミリューをじっと観察しながら丁寧に線を引く子。

想像力に任せて豪快に描き出す子。

中にはカリムやリオンと張り合うように、真剣な表情で絵を仕上げていく子供たちの姿もあった。


大人たちは後ろから覗き込み、まるで授業参観のように我が子の奮闘を見守っていた。


【村人A】「中々頑張って描いてるじゃねぇか!」


【村人B】「……あれじゃウルフじゃなくて、ネコだろ!?」


笑いと突っ込みが飛び交い、広場は明るい雰囲気に包まれた。


一時間ほどが過ぎ、ぽつりぽつりと仕上げた子供たちが絵を提出し始める。


【子供D】「は~何とか仕上げたぜ!」


【子供E】「思ったよりも可愛く仕上がったわ!」

【子供F】「フフフ……優勝は頂いた……!」


やがて20人全員の作品が集まり、一旦休憩の時間となった。


そこへ、爽やかな香りを漂わせながらナツキが現れる。


【ナツキ】「みんなー!よく頑張りました!ご褒美に特製のメロンジュースを飲んでね!……って試作品なんだけど、感想を貰えると嬉しいな」


農業ギルドの活動と並行して、商業ギルドの試作品づくりも担っているナツキ。

温泉で提供する飲み物の一案を、子供たちに試してもらおうと考えたのだ。


配られたメロンジュースを一口飲んだ子供たちは、一斉に歓声を上げた。


【子供G】「う……美味い!」


【子供H】「甘くておいしい~」


【子供I】「芳醇な香りがたまりません!」


どうやら大成功のようだ。

ナツキの顔にも自然と笑みがこぼれる。


一方その頃、少し離れた場所でミリューとじいさんが子供たちの絵を広げ、真剣に見比べていた。


【じいさん】「……して、この絵のどれを採用するのかの?どれも独創的で素晴らしい仕上がりの物ばかりじゃ!」


【ミリュー】「私が採用したいのは、この絵です」


指さしたのは、女の子が描いた可愛らしいウルフバスの絵。

バスらしさがあり、一目で乗り物と分かる。


【ミリュー】「……しかし、どれも素晴らしいのでこの絵を先行で採用という形にしようかと思います」


【じいさん】「どういう事じゃ?」


【ミリュー】「バス停は初め、試験運用の場所に設置します。ですが、運用に問題がなければ他の路線も増えていきます。従って、全ての絵を採用し、路線ごとに使いたいのです」


【じいさん】「おぉ、それは名案じゃな!字が読めなくても絵を見れば分かると言う事か……」


ミリューの案は、子供たちの努力を無駄にせず、さらに領民にとって実用的でもある。

子供たちが描いた未来は、確かに村の役に立つものとなるだろう。


こうして、残るは結果発表のみ。

果たして優秀作品は誰の手に渡るのか。

そして、この経験を通じて子供ギルドに新たな仲間は加わるのか。


村中が見守る中、「未来への新たな第一歩」が静かに形を成そうとしていた。


子供たちが力いっぱい描いた絵は、どれも独創的で温かみのあるものでした。

賑やかで和やかな時間が流れる中、それぞれの努力が光ったと思います。

気に入って頂けたら、評価やレビュー・一言コメントなど、お気軽にお寄せください!お待ちしております!

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