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不遇だったアラサーの俺が異世界転生させられたら  作者: 榊日 ミチル


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ー5章ー 3話 「材木とオークと、荷車の限界」

オークたちと共に材木の森へ。

建築ギルドの初仕事として、元領主一家の家を建てるべくタケトが動きます。


今回も「チートなし」の力で、一歩一歩進んでいく回です。


タケトはオークと共に、材木専用の森へとやって来ていた。

 急ぎで作らなければならないグレイストたちの家。

その材料となる木を切るためだ。


【タケト】「よし!じゃぁ、建築ギルドの初仕事を始めるぞ!」


 タケトの掛け声に、オークたちは気合いを入れるように木の前へと向かう。

 とはいえ、現在確認できるオークの数はたったの6体だけ。


【タケト】「なぁ、お前らは200体くらい居るんだろ?他の奴らは森の奥に居るのか?」


 当然の疑問だった。

初めて出会った時に姿を見せたのはこの6体だけなのだ。


【バスク】「ん?居るぞ。今は森の奥で俺たちの家を作ってる!」


 どうやら、森に移り住んだばかりらしい。

 オークたちの住処を作ることは重要だが、グレイストたちの家も急ぎで建てる必要がある。


【タケト】「そうか。それも大事だからな!なら挨拶がてら、様子を見させてもらえるか?」


 今後の仲間になるオークたちの作業姿を、タケトはこの目で見ておきたかった。


【バスク】「おう!構わないぞ?最初に出会った場所より、もう少し奥だ!」


 タケトはオークの案内で森の奥へと進んでいく。


 やがて、カーンッ、カーンッという作業音が響いてきた。

 姿を現したのは建設中とはいえ、あまりに立派なログハウスだった。


【タケト】「おいおい……本気でスゴいじゃねぇか………!」


 疑っていたわけではないが、実際に目の当たりにすると圧巻だった。

 家を建てるオーク、加工するオーク、運搬するオーク、木を切り倒すオーク――

 まさに役割分担され、無駄のない動きで作業が進んでいる。


【タケト】「お前たちが建築ギルドに加わってくれて心強いよ!」


 タケトは素直にそう伝えた。


【バスク】「こっちの方に少し人数を割いてもらう様に話してくるぞ!ちょっと待っててくれ!」


 そう言ってオークは仲間の元へ走っていった。

 しばらくして、ゾロゾロと50体ほどのオークたちがタケトの元に集まってくる。


【タケト】「こんなに人数割いて大丈夫なのか!?」


 自分たちの家を建てている最中に人員を割いてくれることに、申し訳なさを感じた。


【バスク】「問題ないぞ!少し遅れるだけだ。それよりも元領主の家を立てないとな!」


 そう言ってオークは快く人員を派遣してくれた。

 これで本格的に作業が始められる――そう思った、が。


【バスク】「タケト、あの荷車じゃ小さすぎて木材が運べないぞ?」


 ――盲点だった。

 イモや残土程度ならあの荷車でも問題はなかったが、材木となると話は別だ。

 長さも重さも桁違い。到底、今の荷車では対応できない。


【タケト】「そうだった……!完全に見落としてたよ……」


 前途多難な幕開けだったが、立ち止まってはいられない。

 タケトはすぐに気持ちを切り替える。


【タケト】「仕方ない……材木運搬専用の荷車を作るぞ!」


【バスク】「分かった!じゃ、早速俺たちで作るぞ!タケトはウルフに引けるかどうか、聞いてきてくれ!」


【タケト】「分かった!そっちは任せたぞ!」


 そう言って、タケトは森の外へと走り出す。

果たして材木の運搬は上手くいくのか?

新たな荷車の完成に期待がかかる――。


まさかの材木運搬に大問題……

どこか抜けているけど誠実なタケトと、頼もしすぎるオークたちの連携が、ちょっとずつ形になってきました。


彼らの建築ギルドが、今後どう広がっていくのか。

その始まりとなる回でした。


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