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不遇だったアラサーの俺が異世界転生させられたら  作者: 榊日 ミチル


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ー4章ー 19話 「ぬちゃぬちゃ平和会議と、じいさんの相談事」

領主城を包囲して二日目。

城側からは一切の反撃もなく、ただにらみ合いが続く中、

リュウジたちは、まさかのバーベキュータイム。

仲間たちとの語らい、笑い、未来への希望。

そして、じいさんが語る「次なる願い」とは──。


城の包囲から二日が経過した。

 だが、領主軍は相変わらず沈黙を貫いていた。

攻撃してくる素振りもなく、ただ城壁の上からこちらの様子を伺うだけ。

 一方、リュウジたちはというと、バーベキューと称した宴会をのんびりと楽しんでいた。戦場とは思えないのどかさだ。


【リュウジ】「ナツキ、塩作ったからこれが終わったらあげるよ。良かったらユイナさんの店で使ってくれ!あと、にがりもあるからな!」


【ナツキ】「ありがとう!にがりも取ってくれたんだね。なら、豆腐が作れるかな!今度作ってみるね!」


 楽しげに話す二人の隣に、タケトが割って入ってくる。


【タケト】「そう言えば、女王スライムに屋台を増やせって頼まれててさ。リュウジから木材もらっただろ?でも、そこら辺の木を切り倒してたら、せっかく作った景観が壊れると思ったさ。建築用の森を作ってもらってるんだ」


【リュウジ】「いつの間に!?さすがタケトだな。やっぱ、建築の事はタケトに任せておけば安心だな!」


 互いを信頼し合う仲間の言葉が自然と交わされていく。

 その様子を少し離れた場所から見ていたユウが、ぽつりと口を開いた。


【ユウ】「これが終わったらリュウジさんたちが手がけた村を案内してもらえない?見てみたいの……。誰からも指図されずに作った功績を」


【リュウジ】「そうなのか?なら、まずはアレだな!」


 リュウジが指さしたのは、丘に停められているウルフ車だった。


【タケト】「あのウルフ車はリュウジがウルフと仲良くなって、川の工事の時に思いついたヤツだったよな!今じゃ色々なことで助かってるよ」


【ユウ】「フフフッ!何でウルフなの?」


【リュウジ】「いやぁ、馬がいないんだよ。で、ウルフの長に頼んでみたら、まぁ最初は嫌そうだったけど……。実際スゴいんだぜ?馬以上かもしれないな!」


 ユウはその様子に自然と笑みをこぼした。


【ユウ】「でも、そういう発想から少しずつ築き上げてるんだね?……本当に楽しそう!」


 その時。

 じいさんがシュワット片手に現れた。


【じいさん】「おお、リュウジよ。実はおぬしに相談があってな」


【リュウジ】「どうしたんだ?」


【じいさん】「うむ。村の衆がせっかく豊かになったのだから、畑を増やしてはどうか?と言っておってな。人手の問題はあるのじゃが……ここは村長の決断を仰ぎたくてな。どうじゃ?」


リュウジは驚いた。

トリア村は以前、痩せた土地に苦しみ続けていた。

それが今や、畑を拡大するという話が出るほどに豊かになっているとは。


【リュウジ】「そうなのか。備蓄も結構使っちゃったしな……。ひとまず了解だ!今はできる人だけでやってみたら良いと思う。これが終わったら、何か考えてみるよ」


【じいさん】「うむ、では皆に伝えよう。これでまた村がイモで潤うわい!」


【リュウジ】「いや、イモ以外も考えろよ!」


 リュウジのツッコミを華麗に受け流し、じいさんはシュワット片手に去っていく。    戦場の空気を忘れるような、穏やかなひととき。

 このぬちゃぬちゃの平和が、長く続きますようにと、リュウジは空を見上げた。


最後までお読みいただきありがとうございます!


今回は、包囲戦の最中とは思えないほど穏やかで賑やかな陣営の様子を描きました。

豆腐の話、ウルフ車、森の建材、そしてイモ畑の拡張――

一つひとつの会話が、リュウジたちの積み上げてきた信頼と成果を物語っていると思います。


そして何より、かつて痩せた土地に苦しんでいたトリア村が、

今では「畑を増やそうか」という提案が出るまでになったことに、

リュウジもじいさんも読者の皆さんも、しみじみと感じていただけたら嬉しいです。


このぬちゃぬちゃの平和が続くのか、それとも……?


次回もお楽しみに!


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