ー4章ー 11話 「ロックゴーレムとの出会いと進路の選択」
逃げるために開けた隠し通路の先にいたのは、まさかの巨大な魔物。
ユウは咄嗟の判断を迫られます。
一方カリムの無邪気な問いかけが、状況を大きく動かすことに──。
出口の外に立っていたのは、三メートルはあろうかという巨体の魔物だった。全身が岩でできていて、ただ立っているだけで周囲の空気が張りつめるような圧を放っていた。
【ユウ】「……っ!」
ユウは思わずカリムの手を引き、咄嗟に自分の背後へと庇うように立った。恐怖に身体が震えるのを必死に堪えながらも、目の前の魔物と向き合う。
だがその時、カリムがユウの影からぴょこっと顔を覗かせ、魔物に声をかけた。
【カリム】「ねぇ!あなたはお話できるの?」
子供らしい無邪気さと好奇心に満ちた声。その問いに魔物は低く、しかしはっきりと答えた。
【ロックゴーレム】「話、できる。お前、誰だ?」
その返答に、カリムの目がぱっと輝く。
【カリム】「僕はカリム!この人はユウ!あなたは?」
まるで友だちに挨拶するような明るい声色に、魔物は一瞬戸惑いながらも答える。
【ロックゴーレム】「俺、ロックゴーレム。ここ封鎖する」
その一言に、ユウの表情がこわばる。
【ユウ】「ちょっと待って!私たちはここから出たいの!なんで封鎖しようとしてるの!?」
【ロックゴーレム】「リュウジ様、出口封鎖しろって言った。だから封鎖する」
その名前に、ユウの心に電撃のような衝撃が走った。
【ユウ】(リュウジ……日本の名前……まさか、転生者!?)
ユウはその可能性に賭けることにした。
【ユウ】「ねぇ、私たちはそのリュウジさんに会いたいの!連れていってもらえない?」
【カリム】「え?別荘に行くんじゃないの?」
当然の疑問に、ユウは決意を込めて答える。
【ユウ】「カリム様、リュウジという人は私の故郷の人なんです。だから会ってお話がしたいのです。それに、この魔物もそうですが他にも魔物と仲良くしているかもしれませんよ?」
【カリム】「そっか!ユウの故郷の人は魔物と仲良くしてるんだね!僕、行ってみたい!」
ユウは罪悪感を胸に抱きながらも、今は進むしかないと決意する。
【ユウ】「聞いたでしょ?あなた、リュウジさんの所へ案内してくれない?」
【ロックゴーレム】「俺、やることある。リュウジ様、あっちにいる」
そう言って、ロックゴーレムはリュウジの居場所を指差す。
【ロックゴーレム】「ここ、封鎖する。お前たち、早く出ろ」
二人は急ぎ足で出口を抜ける。
その直後――ゴゴゴッという音と共に、ロックゴーレムの巨体が動いたかと思うと、後方の通路が一瞬で岩壁に変わった。
【カリム】「……す、スゴい!」
その魔法のような光景に、カリムの目は輝き、胸が高鳴った。城の外には、未知の世界とロマンが広がっている。
【カリム】「ありがとう!ロックゴーレムさん!またね!」
二人はそのまま、リュウジの元へと向かって駆け出していった――。
リュウジという名前に、ユウの心が大きく揺れました。
今後の再会に向けて、物語は動き始めます。
カリムの好奇心とユウの決断が、転機を呼び込む予感です。
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