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花鳥風月の神様  作者: るち
93/107

真実1

今回はいつもの夢と違う。これは...。これは私の過去?悲しみと喜びを味わったあの時の...。










そっと目を開ける。わたしのことを心配そうな顔で覗いているのは...。


「桃花?」


「黄花、大丈夫?ここに来る途中で倒れたのよ。顔見知りの人が私のところまで運んでくれたの。よかった。」


「わたし...?わたし…。あっ、あああぁぁ、嫌っ、嫌っ嫌だぁぁぁ..!」


 わたしは思い出した。跡形もなく無くなったツクヨミの神社。あの人は命を懸けてわたしたちの土地を守った。わたしの最愛の人。「あなたがいなくなって、わたしはもう生きてはいけない。」激しく泣きじゃくるわたしを見て桃花もなにか悟ったようだ。月の神社のことはみんなの話に上がっているのかもしれない。


「黄花、雨はすっかり止んだよ。嘘みたいな晴天。大川は氾濫しなかった。みんな月の神様が守ってくれたんだって口々に言ってる。そうなの?」


桃花の話を聞いてわたしは腫らした目で桃花を見、黙ってうなずいた。


「そう。立派な人だったんだね。月の神様はあんたのために命はったんだよ。前向いて生きていかないと、神様が報われないよ。」


 桃花の言葉は胸にささった。わたしだって頭ではわかっている。でも心がついていけない。なにもかもが億劫で生きるということが面倒に感じた。桃花は今すぐには無理だろうとわたしに無理強いはしなっかった。

寝返ると胸のあたりに固いものがあたった。手を入れて確認すると、ツクヨミから受け取った彼の耳飾りがあった。その耳飾りがわたしに語りかけていた。「生きろ」と。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 あれから何日経ったのか、わたしは村の人たちと一緒に村の再建に携わっていた。ツクヨミの耳飾りを彼の代わりに肌身離さず持ちながら。

わたしはツクヨミがわたし達のためにしてくれたことを村の人々やよそから移住してきた人たちに話して聞かせた。彼が命を懸けた功績をなにか残したかった。


 その日、人々がなにやら騒いでいるのを耳にしわたしも取り巻きに加わった。そこにはツクヨミと似た空気を持つ一人の少女がいた。


「あなた、もしかして現人神様?」


 驚いた。ツクヨミと同じ現人神が存在するなんて。どこかしら人間離れしている。見た目は少女だがわたしたちとは違い全てにおいて達観しているように感じた。

トリゴエと名乗った彼女は一緒に月乃神社の再建を手伝ってくれた。彼女は神社の建築に詳しい人や再建に必要となるであろう人手をあらゆる方法でかき集めてくれた。

しかしトリゴエは自分の守る土地にも目を見張らなければならず、ほどなくしてわたしたちの土地を離れた。落ち着いたらまた再会しようと約束を交わし、わたしたちは別れた。


 ツクヨミの消滅から一月経った頃、桃花の容態が急変した。出産の時期が過ぎているにも関わらず、なかなか産気づかない状態を危惧している最中のことだった。桃香はわたしのことを気にかけ、身重にも関わらず一緒に月乃神社の再建を手伝ってくれていた。無理がたたったのではとわたしは急ぎ桃花の元に駆けつけた。


「桃花、赤ちゃんは?」


「黄花、ほら男前でしょ?あんたの甥っ子よ。でも生まれてくるのが少し遅すぎたのね。」


桃花は涙を流しながら話した。桃花の子供は死産だった。

読んでくださりありがとうございます。

続きが気になる、面白かったなど思われましたら、是非是非☆評価、応援よろしくお願いいたします。

楽しんで読んでいただけるようがんばります。

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