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花鳥風月の神様  作者: るち
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「白宝っ!」


 レンは止めるわたしの声を無視して川岸まで下りていってしまった。姿は変わっているけど、レンだから心配はいらない??様子を伺っているとレンが白宝らしきものにそっと近づいていっている。その先のものを見てわたしはおののいた。


 とても大きい。わたしにはワニに見えた。目は溝色(どぶいろ)にくすみ、草から垣間見える色も黄ばんだ汚い色だった。「あれが白宝?」レンはそんなことは気にせずに優しく声をかけそれに近づいていく。


「白宝だろ?迎えにきたんだ。怖かったよな?もう大丈夫だから。」


レンは一歩ずつそっと近づいていく。わたしはただただ見守ることしかできなかった。


「ギ、ギ、ギ、ギ」


 耳にしたことのないようなおぞましい鳴き声がした。ガチガチと牙をこすり合わせるような音。わたしは途端に不安になった。「本当に白宝なの?」こちらに戻るようにレンの名前を呼ぼうとした瞬間、それが脳裏に響いた。


 『レ...ン?』


「え?」


今のは白宝?わたしが声に戸惑っているとレンは構わずそれに話しかけた。


「白宝!そうだ、レンだよ。おいで。」


レンの言葉を聞いたあと、それがものすごい速さでレンにむかってきた。全ての姿を見てわたしはぞっとした。うろこがささくれ、牙がのぞいている口からは汚いよだれが溢れていた。


『レン、レン、レン!!』


「レン!!逃げてーっ!!」


わたしのなにかがやばいと感じ取る。咄嗟に叫んだがレンはむかってくるそれを愛おしそうに抱きしめた。 


噓でしょ..?それはレンと接触した瞬間、透明になり消えた。まるでレンの中に入っていくように。咲生が言っていた鱗の話を思い出す。わたしはその場に腰がぬけたようにしゃがみこんだ。








「ミコト?ミコト、どうした?」


あれからどれくらい時間がたったのか、わたしは自分の名を呼ぶ咲生の声で我にかえった。


「どうしよう...。レンが、レンが。」


「え?なにかあったのか?」


「下、下に...。」


ダメ、伝えないといけないのに言葉にならない、息が...、息が苦しい。わたしは興奮のあまり呼吸が上手くできなくなっていた。咲生はとても落ち着いていて「大丈夫だ、もうみんな来る。」とわたしに声をかけ続けた。彼の声は不思議だ。まるで催眠術にかかったようにわたしはそのまま意識を失った。





《大丈夫。あなたがいるから大丈夫。必ず救えるわ。》


だれ?わたしに話しかけるのは?目を覚ますとわたしは美路の膝の上にいた。まだあの橋の上だ。


「ミコト!大丈夫?」


「わたし...。どれくらいこうしていたの?」


「わたしたち、今さっき着いたの。びっくりした。ミコトが橋の上で倒れてるんだもん。レン君だっけ?咲生が川岸で倒れているのを見つけて。今、光夜と一緒に連れてあがるところだよ。」


光夜、光夜に早く言わないと。気持ちは焦るが体がいうことを聞かない。すると通りからワゴン車が一台来、目の前で停まった。中からは翔愛と影宮さんが出てきた。


「ミコトちゃん、よかった。目を覚まして。今からレン君を病院に連れて行きます。ミコトちゃんも行きますか?」


「わたし、わたしも行く。」


「車の中で詳しく話を聞かせてください。」


みんなで車に乗り込み病院へむかう。わたしは見たままのことを翔愛に話した。

読んでくださりありがとうございます。

続きが気になる、面白かったなど思われましたら、是非是非☆評価、応援よろしくお願いいたします。

楽しんで読んでいただけるようがんばります。

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