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光夜と二人、別室で一時間程経った頃、ドアがノックされた。
「お待たせしました。ミコトちゃん、気分は落ち着きましたか?」
「うん。さっきは取り乱してしまってごめんなさい。」
「気にしないでください。美路ちゃんにも詳細お話したのでもう大丈夫です。それに、とてもいいニュースが入ってきましたよ!」
「え?」
翔愛はふふふと笑い、わたし達をもといた部屋へと案内した。部屋に入るとパソコンが繋がれていて、画面の向こうには咲生がいた。
「ちょうど咲生くんから連絡があって。美路ちゃんと一緒に話をしたのです。今日は雨で試合は早くに終わったようなので。オンラインでもこうして話せてよかったです。」
「ミコト、気にするなよ。ミコトのせいじゃないからな。それにもしかしたら、その白宝を俺、見つけたかもしれない。」
「え!」
「本当か?」
咲生の話にわたしも光夜も飛びついた。咲生はサッカーの帰りに見た川岸でのできごとをわたしたちに聞かせた。
「俺は白宝の姿を知らないけどあの目は特別なものを感じた。意思があるような。」
「白宝はどんな姿だった?」
光夜が確認する。
「黄ばんで汚い色をしていた。目はおそらく金色なんだろうけど濁っていて。太さもあった。子どもの胴体ぐらい。大きさは1mほどだったと思う。」
「1m!!」
わたしがレンの家で見た白宝はまだわたしが抱きかかえられるくらい、50センチほどだろうか、細く蛇のような紫に艶めく美しい白い蛇だった。わたしの驚いた様子を見て翔愛が説明する。
「少し変化しているのでしょう。でも人を積極的には襲っていません。姿を隠していたようなので。まだ間に合うかもしれません。」
「間に合うって?」
蛟龍の存在を身近に感じ、不安そうに美路が尋ねた。
「元のかわいい白宝に戻ることがです。レン君の力が必要です。蛟龍はきっと彼のことを気にしているでしょうから。」
「白宝が?」
「はい。蛟龍はそばにいる人の影響を受けます。ミコトちゃんが見た蛟龍が美しかったのは、レン君の心が清らかだからです。きっと蛟龍は彼のことを大切に思っていたはずです。まだ蛟龍が小さかったので『絆』を結ぶ前だったのでしょうが。」
「絆?」
「蛟龍はそばにいて自分が大切に思う者と『絆』を結びます。それこそ一心同体になるのです。レン君は蛟龍と意思疎通はしていましたか?」
わたしは翔愛から初めて聞く話に目を丸めていた。「意思疎通?」そんな話はレンからは聞いていないから、まだ『絆』は結ばれていなかったということなのか?
「多分まだだと思う。」
「『絆』がなくても大丈夫なの?」
美路が尋ねる。
「大丈夫です。それにその方がよかったでしょうね。先のことを考えれば。詳しくは無事に蛟龍を捕まえてからお話しましょう。」
先のこと?翔愛の含みのある言葉が気になったが、今は白宝を見つけることのほうが先決だ。
「とにかく私たちは明日、咲生君が蛟龍を見た場所へ行きましょう。早い方がいいですから。」
「レンには俺から連絡する。ミコト...。」
光夜がわたしに目線を向ける。レンと話す覚悟はいいかと確認するように。
「うん、大丈夫。」
「じゃ、明日は全員集合だな。遅れるなよ?」
咲生の言葉で会は終了した。わたし達は白宝をレンの元に返すため、明日の放課後そのまま咲生が白宝を目撃した川に集まることになった。
大昔からこの地に流れる大川だ。
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