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翔愛からメールが届くのは久しぶりだ。しかもかなり緊急のようだ。蛟龍の件でなにかわかったのかもしれない。わたしは久しぶりの集まりに少し緊張した。
「ミコト、久しぶり。元気にしてた?」
「美路、久しぶり。元気だったよ。なにかわかったの?」
「わたしもなにも知らされていなくて。今日は光夜と一緒じゃないの?」
「うん。光夜は先に来ているみたい。」
「そうなんだ。」
光夜は今日の件でなにか知っているのかもしれない。でも彼からはなにも聞いていない。でもわたしはあえて自分から尋ねることはせずにいた。光夜の考えを尊重したかったから。
美路と世間話をしていると翔愛、光夜、そして今日はソウではなく影宮さんが来た。彼の顔はとても深刻な面持ちだった。
「ミコトちゃん、美路ちゃん、こんにちは。お変わりないようで。」
翔愛はいたっていつも通りだ。光夜もわたしの顔をみて黙ってうなずいた。
「今日は大切な話があるって?」
美路が翔愛に尋ねた。
「はい。とても大切です。」
わたしたちは席にかけ、翔愛の話の続きを待った。わたしの隣には光夜が座った。彼は席につくなり、膝の上に置いたわたしの手に自分の手をそっと重ねてきた。
「蛟龍を発見しました。」
翔愛はなんの前置きもなくそう答えた。
「え!」
本当にいたんだ。美路は声を出して反応したが、わたしは驚きのあまり声も出なかった。
「じゃ、今は保護しているのね?」
美路は少し安堵するように言葉を発したが、翔愛は表情を変えずに首を横に振った。
「保護はできていません。存在は確認できたのですが、また行方知れずになってしまいました。」
「えっ、そうなの!?」
「美路ちゃん、落ち着いて。最初から話します。ミコトちゃんにはもしかしたらつらい話になるかもしれませんが。」
「えっ?」
どうしてわたしが関係しているんだろう。わたしは翔愛の言った意味がわからなかった。
「光夜くんが友人の家で蛟龍がいた形跡を発見しました。」
「どういうこと?」
先を促す美路。
「友人が飼っていた蛇が蛟龍だ。蛇がいた箱に強烈に意識がひきつけられた。中身を見た瞬間、濁龍の顔が思い浮かんだ。間違いない。」
「え!光夜、それって...。」
真っすぐに前を見、自分が感じたことを話す光夜。確信があるんだ。わたしは光夜の言葉に衝撃を受けていた。友人ってそれはレンのことで、飼っていた蛇とは白宝のこと?行方不明って...。
「その蛟龍は白宝という名だ。友人はとても大切にしていた。」
わたしは頭がパニックになっていた。光夜の声はとても落ち着いている。わたしはもしかしたら大変な過ちをおかしてしまったのではないのだろうか。光夜は白宝の状況を話し続ける。
「でも最近彼は悩み事が多くて。親ともうまくいってなかったみたいだ。それで白宝は体調を崩して。おそらく濁龍に傾いていたんだと思う。そんな時にまた親と衝突してしまって。怒った親が白宝を川に捨てたんだ。」
どうしよう!!わたしのせいだ!わたしがレンを避けたから。レンはなにも理由がわからないままでつらかったはずだ。白宝...。あんなにいい子でかわいい子が!!濁龍になってしまうなんて。
「ミコトちゃん...。」
涙を流すわたしに翔愛が気付いた。
「え?ミコト、どうして泣いているの?」
なにも知らない美路はさぞ驚いただろう。翔愛はきっと光夜から聞いたんだ。わたしの過ちを。
「ミコト。レンとなにがあった?」
ここ最近ずっと光夜がわたしにむけてきた質問だ。わたしは答えることを避けてきた。わたしは卑怯ものだ。わたしはレンの母親とのことをようやく話した。
「レンのお母さんに見つかったの。レンに会っていること。それですごく怒られて。二度と会わないように言われて...。自分たちがつらいのは全部わたしとお母さんのせいみたいに言われたの。わたし、腹が立って...。レンに八つ当たりをした。ごめんなさい、白宝がおかしくなったのはわたしのせいだ。」
涙が止まらなかった。
「あの...。意味がよくわからないんだけど?」
「美路ちゃん、詳細は後で話します。ミコトちゃん、あまり自分を責めないで。今は蛟龍の行き先を考えましょう。」
光夜はただ黙ってわたしの手を強く握っていた。
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