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長引く雨のせいでレンの母親はイライラしていた。せっかくの休みの日だが、レンと話す気にもならない。最近ものごとが悪いほうにむかっていっている気がする。口答えもなく育てやすかった息子が変わってしまった。「それも全てあの子のせい。」レンの母親の中にはミコトへの不満がまだくすぶっていた。
それに最近家の中に悪臭がただよっている。臭くてたまらない。きっとあの気持ち悪いものからにちがいない。なおさらイライラする。ますますどす黒い思いに捕らわれていった。
レンがミコトに避けられてから白宝の体調はすぐれなかった。どんどん色がくすみ、匂いもきつくなってきた。最初は脱皮でもするのかと思っていたが、そんな感じではない。
「母さん。」
「どうしたの?」
敏感なレンは最近母親が苛ついていることに気付いていた。その原因が自分にあることにも。琴の練習をさぼっているからだとわかっていたので、白宝が落ち着いたら琴の練習を真面目にやろうと思っていた。今のこんな状態で母親に頼むのは気が引けたが、ミコトに避けられているレンには頼る相手が彼女しかいなかった。叱られるのを覚悟でレンは母親に白宝のことを打ち明けた。
「飼っている蛇なんだけど…。病院に連れて行きたいんだ。」
「そんな蛇なんて飼うのやめなさい。拾ってきたところに戻すのが一番いいのよ。捨ててらっしゃい。」
「そんなことできないよっ。白宝は友達なんだ。」
「白宝?名前までつけたの?気持ち悪い。」
「そんなこと言わないで。ミコトと一緒につけた名前なんだ。」
言ってしまってレンはしまったと思った。母親の顔が般若のような顔になったのだ。
「やっぱりあの子の差し金ね。レンが捨てられないのなら、母さんが捨ててきてあげる。」
母親はそう言ってレンの部屋にガツガツ入り白宝の入った箱を持ちあげた。
「やめてっ!母さん!!」
レンは必至に母親にしがみついた。
「はなしなさいっ!」
母親はレンを振りほどき外に出て行ってしまった。降り続く雨のせいで川の水量は増していた。普段より流れが速い。彼女はマンションの近くを流れる川に白宝を捨てた。
そのすぐあとにレンが泣きながらマンションから追いかけ出てきた。レンが母親の元に来た時は白宝の入っていた箱は空で、白宝の姿は流れの速い川のどこにも見当たらなかった。
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