40
台所で洗い物をしながらレンの母親は物思いにふけっていた。
最近息子のことが分からない。以前は手に取るようにわかったのに。しかも雰囲気が変わった。もっと大人びて落ち着いた子だった。私に隠してあんな蛇まで飼って。絶対におかしい。誰かとよく電話しているし。友達だと言うけれど。
レンの母親はレンが最近仲良くなったという友人がいったい誰なのか探ってやろうと思い、今日はレンに自分は遅番だと伝え家を出た。
夕方ごろ、早く仕事を終え家の向かいの喫茶店に入り出てくる人物を観察する。すると信じられない人物がマンションから出てきた。急ぎその人物にかけより声をかける。
「ちょっと待ちなさいっ!」
背後からいきなりきつい声で呼び止められ、わたしは振り向いた。そこにはとても怖い顔をした女の人が立っていた。
「あの...?」
「あなたいったいどういうつもり?どうしてうちのレンに近づくの!」
わたしはこの怖い顔をして怒っている人がレンの母親なのだと気づいた。わたしとレンが会っているのを知って激怒しているんだ。
「えっと...。」
「なにを企んでいるのか知らないけど、今後一切レンに関わらないでちょうだい。」
「え...。」
「あなたのせいで、わたしとレンはみじめな思いをしてきたの。そんなこともわからないの?」
頭ごなしにレンの母親から言われた言葉がつきささる。「わたしとお母さんもつらい思いはしたのに。どうして?」一方的に悪者扱いされて納得できない。でも彼女の剣幕はすさまじく、子供のわたしが言い返せるはずもなかった。
「わかったの?返事してちょうだい。」
「はい、あの...すみませんでした。」
「電話も許しません。いいわね!」
「はい...。」
レンとは電話で話したことはない。でもわたしは早くこの場を立ち去りたくて、いいわけをせずに素直に返事をしていた。レンの母親はわたしがそう言ったことに納得したのかくるりと向きを変え元来た道を帰っていった。わたしは涙をこらえて帰路をトボトボと歩いた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「ミコト、最近全然家に来ないじゃないか?メールも素っ気無いし。忙しいのか?」
めずらしくレンが学校で話しかけてきた。わたしはあれからレンのことを避けている。メールには返事をするけれど会う約束はしない。レンの家には行かない。レンが悪くないのはわかっているけれど、時間が経つにつれてレンの母親に言われたことに頭にきていた。
「別に...。関係ないでしょ。あの、話しかけないでくれる?迷惑だから。」
わたしはレンの顔を見ずにそそくさとその場を立ち去った。
きっとレンが光夜に相談したんだろう。その夜、光夜からもレンのことについて聞かれた。光夜に話せばレンに話が伝わってしまうと思い、わたしは光夜にもレンの母親とのことは話さなかった。
今思えばあの日から梅雨でもないのに雨がしとしとと降り続いていた。
読んでくださりありがとうございます。
続きが気になる、面白かったなど思われましたら、是非是非☆評価、応援よろしくお願いいたします。
楽しんで読んでいただけるようがんばります。




