表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
花鳥風月の神様  作者: るち
61/107

39

 レンの母親は苛立っていた。最近息子の様子がおかしい。あれだけ真剣に取り組んでいた琴の練習を最近はしなくなった。自分がいない時に練習はしていると言っていたが、以前は時間に関わらず練習にはげんでいた。「やはり、あの子のせい?」

気になり学校に連絡し、二人の様子を伺った。担任からはレンとミコトが必要以上に接していることはないとのことだった。勘ぐりすぎかと思い、レンの部屋にそっと入る。よくできた息子の部屋は綺麗に整理整頓されている。クローゼットがすこし開いていたので、閉めに向かう。クローゼットの中には見慣れない大きな箱があった。


「なにかしら?」


箱を引き寄せ蓋を開ける。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




「光夜、それなに?」


「ん?おもちゃさ。」


 光夜が手にしているのは小さな子が喜びそうなおもちゃだった。吹き戻しというおもちゃだろう。息を吹き込むと紙でできた筒状の丸まったものがまっすぐ前に伸びるおもちゃだ。


「ははは、そっか...。」


 今日、光夜にレンを紹介する。わたしの弟を小さな男の子だと思い込んでいる光夜は弟の気を引こうとおもちゃを用意してきたみたいだ。レンを目にしたときの光夜の顔を想像すると、ふきだしそうになる。こみ上げる笑いを必死にこらえながら、待ち合わせの場所まで行く。待ち合わせ場所は蓮の池がある公園だ。レンは先に着いていたようで、ベンチに行儀よく座っていた。


「レン。」


わたしの声に反応し、レンはこちらに振り向いた。


「ミコト。」


光夜を振り返ると誰だ?と言いたげな怪訝な表情をしていた。


「光夜、弟のレン。」


「えっ?」


一瞬の間を置いて光夜が反応する。


「弟って...と、年子とか?」


「母親が違うから四カ月違いなの。」


光夜はとても気まずそうだ。


「気にしないで。わたしたちはそんなこと、もう全く気にしていないから。ね?レン。」


「うん。初めまして。」


「あ、そっか。よろしく...。」


光夜の言葉は最後は小さくなり、手にしていた吹き戻しを自分の背中にさっと隠した。


「レン、彼は光夜。レンのためにいいものを持ってきてくれたの。」


「ミコトっ。」


「え?なに?」


レンは興味深々といった感じで尋ねる。光夜は仕方なく吹き戻しをレンに見せた。


「早とちりした俺が悪い。君が...もっと幼いと思っていたから。」


「これ、好きなんだ。ありがとう。」


 レンは光夜の手から吹き戻しを受け取り「ふーっ」っと一回吹いて見せた。巻かれた紙の筒がまっすぐ綺麗に前に伸びた。そしてレンは光夜に笑いかけた。光夜もつられて笑顔になった。






 男子二人は意外なことに気が合ったらしく、その後もわたし抜きでちょくちょく連絡を取り合っているらしかった。そのせいか学校でもレンは明るくなった気がした。特定の気の合う友人ができ、レンはようやく転校してきたこの場所にもなじみ始めたようだ。わたしとレンは相変わらず学校では必要最低限の接触にとどめ、レンの母親がいない時だけ白宝の様子を見にレンの家にうかがっていた。


「白宝、大きくなったね。」


「うん、ここで飼うのは難しくなってくるかもしれない。蓮の池の公園でこいつを拾ったから、あの池で生まれたのかもしれない。」


「じゃ、あの池に返すの?」


「白宝が一番幸せになれる場所がいいな。」


「光夜には相談した?」


「まだ。今度話そうと思って。その時に白宝も紹介するよ。」


 この日がわたしが綺麗な白宝を見た最後になった。わたしはこのあと、帰り道でレンのお母さんに捕まった。

読んでくださりありがとうございます。

続きが気になる、面白かったなど思われましたら、是非是非☆評価、応援よろしくお願いいたします。

楽しんで読んでいただけるようがんばります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ