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花鳥風月の神様  作者: るち
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 久しぶりの集まりだった。みんな心なしか緊張しているように感じる。わたしは心配してくれた翔愛には先に昔のことを夢に見、光夜とのことも今は落ち着いていると伝えておいた。そんなわけで、わたしは光夜の隣の席で話し合いが始まるのを待っていた。


「みんなお久しぶりです。お忙しい中、足を運んでくれてありがとうございます。さて、今日は新しくわかったことを報告できそうなのでこの場を設けました。」


「進展があったのか?」


翔愛の隣に席についた咲生が尋ねた。みんなが聞きたかったことだ。


「はい。」


翔愛はにっこりと笑った。


「それをお伝えする前に少し説明が必要となります。影宮さん、よろしいでしょうか?」


 翔愛が私たちの後ろに静かに腰をかけていたソウの父である影宮さんに声をかけた。影宮さんは一旦部屋を出、すぐに戻ってきた。彼は両手で布に巻かれた長い棒のようなものを大切に持っていた。それをわたしたちの目の前のテーブルにそっと置いた。影宮さんは手を合わせ目を閉じ一瞬祈り、その巻物を取っていく。そこには、あの剣が!ツクヨミが毎夜祈る時に手にしていた剣が姿を現した。


「これは...月鏡(つきかがみ)。」


光夜が驚きの声を発した。


「そうです。ツクヨミの剣、『月鏡』です。」


かつて月の光を受けキラキラと輝いていた剣は今では錆びつき変わり果てた姿となっていた。


「どういうことだ?どうしてそんな大昔の剣があるんだ?」


わけがわからないと咲生が説明を求める。光夜とわたし以外はこの剣を見たことはないだろう。咲生同様ソウも美路も不思議なものを見る目で剣を見ていた。


「ツクヨミ消滅後、わたしが彼の地に赴いた時に見つけたのです。その時には邪気が強すぎてわたしは触れることができませんでした。」


一同話がつかめず黙っていると影宮さんが補足した。


「翔愛さんは。トリゴエはかつての私の先祖に助けを求められたのです。」


まさかここでかつての影宮家がでてくるとは思いもしなった。影宮さんの言葉を翔愛が引き継ぐ。


「剣は現人神であるわたしは触れることができませんでしたが、普通の人なら触れることはできたのです。ただし、すぐに浄化しなければいけませんが。」


「浄化って。」


咲生が疑問を投げかける。錆びついてはいても神の剣だ。浄化の必要があるのかと。


「この剣で命を絶った者がいるのです。浄化をしなければその者の怨念に体を乗っ取られてしまいます。」


翔愛が語った話にみんな衝撃を受けた。一番驚いたのは光夜だろう。この剣はツクヨミの剣で清廉だったツクヨミと同じく輝いていた。その剣で、神の剣で命を絶った者がいたなんて。


「これ、今は大丈夫なの?父さん持っていたけど。」


ソウはその剣を手にしてきた自分の父親を心配した。


「今は大丈夫です。長い年月をかけてようやく浄化が完成したのです。わたしも触れることができます。」


「ほら。」という感じで翔愛がツクヨミの剣に触れた。


「どういう方法で剣を浄化した?」


光夜がようやく口を開いた。


「あの桃の木です。」


翔愛が窓の向こうに生える大きな桃の木に視線を移した。


「あれはカナウ様の桃の木なのです。」


みんながが息を呑む音がした。


「とても大切な木だって小さいころから言われてきたけど...。」


「かつてトリゴエが守護する地はカナウ様の生まれた地でした。わたしは秘室から出るときに手に桃の木の種を手にしていたのです。何故かわからないけれどこれは困ったときに使うものなのだと感じました。その後それを長らく使うことはなかったのですが、ツクヨミの剣を目にしたときにこの種を使おうと思い立ったのです。剣はこの種と一緒に地中に埋められました。桃の木は数年後には立派に育ちましたが、決して実は実りませんでした。わたしはこの木に秘められた神の力が剣を浄化しているのだと考えました。」


「今は桃の実が成っているわ。」


ソウは食い入るように自分の家の庭になる桃の木を見つめた。


「そうです。わたしはこのタイミングで桃の実が成ったことに意味を感じました。わたしたち現人神がそろったこの時代にです。もしかしたら剣が浄化されているのではと思い影宮さんに剣を掘り出してもらったのです。」


 翔愛の話は予想外のことでわたしたち全員が口を閉ざしてしまった。今目の前にあるのはツクヨミが実際に手にしていた剣。わたしは...黄花は何度も目にしている。光夜に視線を移すと彼がわたしの視線に気づきこちらを見た。そっとわたしに手を添える。わたしたちは手を握り合った。

翔愛の話はまだ終わってはいない。

読んでくださりありがとうございます。

続きが気になる、面白かったなど思われましたら、是非是非☆評価、応援よろしくお願いいたします。

楽しんで読んでいただけるようがんばります。

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