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とても大切な話があるので、次に会う日を決めましょうと翔愛からメールが届いた。みんなそれぞれが都合のいい日時を指定し、全員が集える日を翔愛が調整してくれることになった。大切な話とはいったいなんだろう?光夜とはあれから頻繁にメールをしていた。今日はこれから光夜とまた月乃神社で会う。この間は時間も遅くゆっくり話せなかったから、会ってきちんと話そうということになった。明日の集まりの件も気にかかっていた。
「ミコトっ。」
光夜は毎回わざわざここまで足を運んでくれる。光夜にとってもこの場所はとても大切な場所なんだ。
「光夜、おはよう。」
わたし達は社の前に腰を掛けた。わたしは倒れたときにどうして光夜がここにいたのかを聞いた。
「それは...ミコトのことが気になって。」
「え?」
「あの日、シュウマといただろ?ランに二人の写真を見せられたんだ。」
「写真!?そんなのいつ撮ったんだろ?」
「多分隠し撮りだ。それでシュウマに連絡した。俺は、ミコトが他のやつがいいのなら...。」
「やめて、気持ち伝えたでしょ。そんなこと絶対にないから。」
思わず光夜の手を握りしめてしまった。しまったと思って手を放そうとしたら、その上から光夜に手を重ねられた。
「その言葉、めちゃくちゃ嬉しい。手、つないだままでいい?」
「うん。」
恥ずかしくてわたしはとても小さな声で答えた。
「ミコトに誤解されたままは嫌だったから。ミコトについて俺が知っているのはここと学校だけだ。だから、まずはここに来た。」
「そっか、ありがとう。わたし、光夜のこと避けていたのに。」
「いや。」
今までこんなに意識したことはなかった。凄く緊張する。きっとこの場所もよくないんだ。昔の思い出が多すぎて。
「ミコト、全部思いだしたのか?」
「えと...。ツクヨミと別れるところまでは。」
「そうか。ツクヨミは後悔していない、黄花と出会い愛したことを。現人神となり数百年生きたのは黄花と出会うためだった。彼はそう思っていた。ミコトが思い出したらこのことだけは伝えなければと思って。」
少し寂しく、でも優しげに微笑みツクヨミの思いをわたしに伝えてくれた光夜。
「ありがとう。黄花も後悔していないよ。ずっと一緒にいたかったって。」
悲しい二人の愛の結末に自然に涙が流れる。でもわたしは今、かつてツクヨミであった人とまた巡り会えた。ツクヨミとの約束を果たしたんだ。もう絶対に彼の手は離さない。
「ミコト。」
顔を上げ光夜の瞳を見るとツクヨミと同じ色、眼差しでわたしを見つめている。彼に逆らう事なんてできない。そっと目を閉じると光夜の唇がわたしの唇に軽く触れた。しばらくそうしてやっと離れる。わたしは俯いたまま顔を上げれない。
「ミコトが嫌なことはしない。約束する。困らせないから俺の傍にいて。」
わたしは勇気を振り絞って光夜を見た。
「嫌なことなんてないよ。わたしだってもっと光夜に触れたい。ただ、わたし達は今はまだ小学生だし、節度を...。」
わたしの発言に光夜が目を丸くして驚いている。わたしはなにかおかしなことを言ってしまったのだろうか?だってわたしたちは過去に何度もあんなことをして…。あの夢は実際に経験しているようにとてもリアルだった。というか実際に過去に経験してきたことなんだけど。あの時の満たされた思いは黄花のものだけど、わたしの中にも記憶として確かに存在している。きっと光夜にも。
「ミコト、そんなことまで考えていたのか?俺は時々こうして会ってミコトのことを知っていきたいと思っている。」
「えっ。」
わたしは一人で先走ってしまったと顔が熱くなった。先ほどから恥ずかしいことだらけだ。
「はははははっ...。」
そんなわたしの気持ちをよそに光夜が軽く笑う。ツクヨミの時も今も彼は変わらずいつも気持ちに余裕がある。
「嬉しい。いつかはミコトの全てをもらうから。待っていて。大人になるまで。」
光夜がわたしを抱きしめた。がっしりとした体。安心する。
「うん、待ってる。」
その後神社を後にし、わたしは地元で時間をつぶせそうな所に光夜を案内した。まるで普通のデートのよう。明日も光夜に会える。わたしは今まで経験したことのない充実感を味わっていた。
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