黄花7
「黄花、こっちへおいで。」
わたしの手を優しくつなぎ、ツクヨミ様は社の中を移動した。ここ以外の部屋にくるのは初めてだ。連れて来られたのは桐の花が綺麗に木彫りされた大きな開き戸の部屋だった。
「ここは?」
「秘室だ。ここには神使達も来ない。」
開き戸を開けると窓一つない広い部屋が目の前に広がった。奥に大きな寝台があり、右側の壁には三日月と草花が木彫りされた綺麗な模様があった。
とても凝った部屋だ。ツクヨミ様が寝台そばの蝋燭に手をかざすと明かりが灯った。わたしは初めて見る神がっかた力に驚嘆の声を発していた。
「わぁ、すごい!初めて見た!」
わたしは興味がそそられツクヨミ様のそばまで行き蝋燭と睨めっこをしていた。視線を感じてふと顔を上げるとツクヨミ様と目があった。やさしく微笑んでわたしを見ている。
「どうしよう。」そう思った習慣、両肩を引き寄せられた。わたしはまたツクヨミ様にキスをされた。
「んっ。」
今度は違う。触れるだけじゃなくて。わたしの口の中を優しく味わうツクヨミ様にわたしは必至に抱きついていた。ツクヨミ様がわたしを求めている。嬉しい、嫌じゃない。ツクヨミ様にはもっと求めてほしい。わたしも同じようにツクヨミ様の口の中を味わう。気持ちよくてとろけてしまいそう。わたしは寝台に横にされた。
「ツクヨミって呼んでいい?」
「もちろんだ。黄花。」
ツクヨミがわたしの衣を脱がしていき、彼も身につけていた衣を脱いで。わたしの体とは全然違う。男の人の体だ。心臓がドキドキする。
桃花が言っていたことは本当だった。でもツクヨミはとても優しくて。あんなに遠かった人と今は素肌が触れ合い全てをさらけ出して求めあっている。本当に幸せ。会わなかった時間を埋めるように時間が許す限り愛を交わした。
「さすがにそろそろ祈らなければ。黄花、ここにおまえを隠しておきたいけれど、おまえの家族が心配するだろ?近くまで送る。」
わたしの顔に優しく触れながら話すツクヨミ。わたしたちはもう夫婦なんだ。
「おかえり。なんだ、かえって来たの?」
「おかえり、黄花!」
母さんの態度に疑問が生じていたわたしに桃花が急いで駆け寄ってきてひそひそ声で話し出した。
「あんた、その顔はうまくいったのね。一晩一緒にいたいんじゃないかと思って、母さんには友人の所に泊まるって言っておいたのよ。よかった、わたしがいるうちに戻ってきて。」
「そうだったんだ。ありがとう。なに?」
桃花がわたしの首元を見て目を丸くしている。わたしは桃花がこっそり用意してくれた衣に着替えて帰ってきていた。
「やだ。あんたの男、かなり独占欲強いんじゃない?」
「え?」
「ここ、キスマークつけられているわよ?気付かなかったの?」
桃花はそう言ってわたしのちょうど鎖骨の上に指をあてた。
「え、嘘っ。」
全然気づかなかった。いつの間に?
「マーキングね。俺のものだって。でもしばらくは秘密にしておいたほうがいいからなるべくここは詰めて衣着なさいよ。」
「う、うん。」
意外だった。ツクヨミがそんな。でもわたしは嬉しくて仕方がなかった。
「わたしはツクヨミのもの。」そう思うと心から安心できた。その日、大葉に襲われかけた日から初めてわたしは深い眠りについた。
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