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翔愛は俺と美路を影宮家の裏庭に連れだした。そこには立派な桃の木が植えられていた。ここからは俺たちがさっきまで話し合いをしていた部屋が見える。今はカーテンが閉じられているが。一人でミコトは大丈夫だろうかと気を揉んでいると翔愛が話し始めた。
「光夜くん。ミコトちゃんへの態度を改めた方がいいと思います。」
唐突に翔愛からミコトのことを言われ俺は頭にきた。
「翔愛には関係ない。」
「関係大ありです。ミコトちゃんが困っています。」
「ミコトがそう言ったのか?」
「見ていればわかります。ミコトちゃんは過去の記憶がないのですよ。光夜くんの接し方に戸惑っています。」
「接し方?」
「かなり強引です。ミコトちゃんはツクヨミと愛し合った黄花ではないのです。」
「ミコトは黄花の生まれ変わりだ。」
「そうだとしても、ミコトちゃんはミコトちゃんです。ミコトちゃんが誰を好きになるかは彼女が決めることです。ミコトちゃんは光夜くんのものではありません。」
「ミコトは俺のものだ。誰にも渡さない。」
「光夜くんっ!美路ちゃん、どう思いますか。今の光夜くんの発言は。女の子からするととても困ってしまうと思いませんか?」
なるほど。俺を孤立させるために女の美路を一緒に連れだしたのか。油断のならないやつだ。急に話を振られた美路は戸惑っている。
「わたしは、わたしはミコトが羨ましい。そんなに思ってもらえて。でも、好きでもない相手からだったらきついかなぁ。」
こいつはぬけているふうでいてたまにグサッとくる強烈な一言を発言する。ミコトが俺を好きでないだと?
「光夜くん、思い込みは禁物です。ミコトちゃんの気持ちを確認もせずにグイグイいきすぎです。ね、美路ちゃん。」
「がっつきすぎは良くないんじゃない?」
「がっ...」
そんなふうにミコトが感じているのか。俺の今までの接し方にミコトが戸惑うことはあったが、そんなに迷惑に思っているとは感じなかった。俺は間違っていたのか。
「面白い話してるじゃん。」
さっき先に外に行くと言っていた咲生が建物の裏から出てきた。どうやら立ち聞きをされていたらしい。
「俺も思った。完全にお前の片恋だ。むこうはお前に興味なんてないぜ。お前がかばった時だって困った顔してた。」
「咲生くん、もうそこまでで。光夜くん、少しは理解してくれましたか?」
「ああ。」
ここまで言われては同意するしかない。俺はミコトを困らせたいわけではないのだから。ミコトへの接し方を考えなければいけない。
「では戻りましょうか。あまり待たせては悪いので。」
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みんなが居なくなってわたしはしばらく一人で部屋にいた。わたしは光夜のことばかり考えていた。
あんなに会うことをためらっていたのにやっぱり彼の顔を見れてよかった。今日はまだ少ししか話せていなかったけど、光夜との会話を思い出していた。そこへソウがみんなの飲み物をもって戻ってきた。
「みんなは?」
「なんか話し合いに外に。」
ソウがわたしのことをじっと見てくる。なんだか気まずい。
「そっか。ね、光夜となにかあったの?」
「え?別に。」
ソウはまだ私から視線を離さない。まだなにかあるのだろうか。
「この際だから言っておくね。わたし光夜が好きなの。ミコト、彼にその気がないのなら応援してよ。」
「え!」
なんとなくは気付いていた、ソウの気持ちに。でも今こうして率直に気持ちを打ち明けられて、その上うまくいくよう手伝いを頼まれて、わたしの心は素直に反応した。絶対にいや。
「いいでしょ?」
「それは...。」
ソウがきつい視線をむけてくる。わたしに頷かせようといている。
「ごめん、できない。」
わたしの返事にソウは目を大きく見開いた。ソウがなにか言おうとした瞬間ドアが開き、外で合流したのかかつての現人神四人が部屋に戻って来た。
それからはこの間の話し合いの内容を欠席したわたしのために説明してくれた。翔愛が言っていたように大した進展はないようだ。
とりあえず今日の集まりは終了ということになり、わたしは光夜の様子をそっと伺った。
光夜はわたしのことを見ずにさっさと帰ってしまった。さっきまでは今までと変わらなかったのに急にどうして。なにか急ぎの用事でもあったんだろうか。わたしはどうしても光夜のことが気になって仕方がなかった。
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