25
次の集まりの日、わたしは当初の予定通り翔愛と一緒に待ち合わせをして影宮家まで向かった。光夜からメールが届いていたけれど、翔愛と行くからと返事をしたらわかったとだけ返ってきた。
現人神たちの記憶を持つ人たちに会うのも緊張するけれど、それ以上に光夜に会うことにドキドキした。どんな顔をして会えばいいのか。そんなわたしの気持ちを見越してか翔愛がわたしにそっと声をかけてきた。
「わたしのそばにいてくださいね。」
部屋に通されると既に全員が席に着いていた。新しい顔ぶれの二人はぱっと見はわたしと同じ普通の人に見える。そして強い視線、あまりそちらには目を向けないようにした。視線の主はあのキスから二週間ぶりに会う光夜だから。わたしは光夜からは離れ、翔愛の隣の席にかけた。
「みなさん、お待たせしました。ミコトちゃんです。今はおじいさまが月乃神社の神主をなさっています。」
翔愛がわたしに咲生と美路をそれぞれ紹介した。
「さて、なにか気になることはありますか?最近気づいたことでもいいのですが。」
「あの…。わたし、とっても興味があるの。聞きたくて。」
美路が我さきにと声をあげた。
「なんでしょうか?」
「ミコトはツクヨミの関係者と聞いているんだけど、それってあのきっかけになったことなの?」
場の空気が一気に固まった。こんなにあからさまに聞かれるとは思いもしなかったし、そもそもわたしにはその記憶がないから答えることができない。やっぱり場違いだったのではとわたしは来たことを後悔した。
「おまえ、とろいな。でないとこんなことに参加するか。」
美路の言葉にあきれた咲生が言い放った。
「ええっ、やっぱり!素敵。」
「素敵とか言うな。こいつは間違いを犯したんだからな。」
咲生は光夜を指さしわめき散らした。
「あぁ、せっかく落ち着いた話がまた...。」
そう言って隣にいる翔愛が頭を押えた。
「間違いだと?」
咲生の言い分に納得できない光夜が聞き返した。
「それ以外ないだろ?祈りをさぼったんだからな!」
「やめて。ツクヨミはそんなことはしていない。」
気付いたらわたしは立ちあがってそう叫んでいた。みんなの視線が一斉にわたしに向く。
「へぇ。お前は神を垂らし込んでどうなるか考えなったのか?」
咲生も立ち上がりわたしをきつくにらみ、ありたっけの憎しみをぶつけてきた。垂らし込む?わたしが...。黄花がツクヨミを...。咲生の言葉にショックを受けているわたしに光夜が歩み寄り、咲生からかばうようにした。
「ミコトは悪くない。かつての記憶もないし、それに黄花だって悪くない。全てツクヨミが選んだことだ。彼女を責めるな。」
「素敵、素敵っ!わたしは責めない。昔のことだし。」
なんとも能天気な美路のコメントにその場にいるみんなが半分あきれていた。しかし美路はぽろっと最後に呟いた。
「それに、わたしはツクヨミが羨ましい。彼は人を愛することができた。神とはなっても元は人。人が愛せなくて神がつとまるのかな。」
この言葉は重かったのか、かつて現人神であった四人はその後だまってしまった。
「俺、外の空気吸ってくる。」
咲生は一人出て行ってしまった。
「なにか飲み物用意してくるわ。」
気まずい雰囲気にソウも席を外した。
わたしを守るように前に立っていた光夜がそっと振り返り話しかけてきた。
「ミコト、気にすることはない。」
「うん。」
下を見たまま頷いた。
「せっかく来たのに嫌な気分にさせて悪かった。でもこの間の件は謝らないから。」
「え?」
思わず顔を上げまともに光夜を見てしまった。彼の瞳は優しくわたしを見ている。視線が下にいき...。光夜の口に釘付けになる。この間の件って、キスしたこと?そう理解した途端に無性に恥ずかしくなって慌てて目を逸らした。
「光夜くん、少しいいですか?」
光夜に見つめられて固まるわたしを見かねてか、翔愛が光夜と美路を連れて部屋から出て行った。
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