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このエピソードからの登場人物
★翔愛
鳥の現人神、トリゴエの記憶を持つ。ロングヘア、眼鏡の奥には知的な瞳。
★影宮家当主
ソウの父。恰幅が良い。包容力があり優しい雰囲気。
「どういうこと?いったいなんなの?話が見えないんだけど?」
翔愛と名乗った女子と光夜の話についていけていないソウが意見を述べた。ソウは光夜がツクヨミであったことを知らない。二人のやり取りに戸惑うのも当然だ。
「ええと。お話してもよろしいのでしょうか?彼女は部外者ではないですし。」
「どうしてそんなことまで知っている?」
光夜は彼女が名乗ったにも関わらず、まだ疑っているのか口調は厳しかった。
「そうですねぇ。きちんとお話をした方がよろしいですね。では、今から影宮家に参りましょう。」
「え?どうしてうちなの?」
ソウは展開の速さに驚いているようだ。
「お父様、現影宮家当主にはよくしてもらっているのです。」
「父さんが?」
トリゴエの記憶を持つ翔愛がぴぃと口笛を吹くとどこからか小さな鳥が一羽彼女のもとへ飛んできた。そしてその鳥になにやら小声で話しかけ、彼女が手を伸ばすと鳥はまた羽ばたいていった。
「今の時代ですから携帯が一番速いのですが、少しわたしの力を見てもらった方がいいと思うので。」
彼女はそう言ってにっこり笑った。
「参りましょうか。」
わたしたち四人はこうしてソウの家、影宮家に向かうことになった。影宮家に到着するとソウの父である影宮さんが私たちを出迎えてくれた。
「こんにちわ、影宮さん。無事に連絡がいったようですね。」
「翔愛さん、ようこそ。無事に連絡が来ましたよ。ようやく巡り合えましたか。」
「父さん、いったいどういうこと?」
ソウは父親と翔愛のやり取りを見て開口一番に聞いた。彼女としては気になることだろう。
わたしと光夜を最初に出迎えてくれた人がソウの父であり現、影宮家当主なのだ。当主ときくとなぜか厳しそうな人のイメージをわたしは抱いてたので意外に思った。
「ここではなんだから。」
影宮さんはそう言ってわたしたちを応接間へと案内した。
「では、なにから話しましょうか。もし聞きたいことがあるのならどうぞ。答えられることならお答えしますよ。」
翔愛は余裕のある雰囲気でそう持ち出した。やはりさっきから一人蚊帳の外のソウが質問した。
「あなたたちいったい何者なの?現人神とかってなんのこと?」
「かつてこの地を守っていた神の眷属です。もとは人でした」
「もとは人って。わからないことだらけなんだけど?」
「説明が必要ですね。」
翔愛は一息つき、話し始めた。
「現人神になるのはまだ汚れた心のない子供であるべきとされていました。具体的には十五になるまでの清らかな体の子供です。選ばれた子供は社の中に作られた秘室に入ります。秘室は神の力が宿る部屋です。子供の秘室入室と同時に社の前には代々受け継がれてきた神から賜った木が植樹されるのです。木がなにごともなく育っていれば、秘室に入った子供は人としても神としても成長を遂げている。しかし、木が枯れれば人選ミスです。固く閉ざされた秘室は開放されますが、入った子供の姿はありません。天に召されたということです。」
これは驚愕の事実だった。わたしも光夜から詳しい説明は受けていない。秘室に入る子供もその親も命がけということか。
「あなたは鳥の現人神の記憶を持つって...。」
ソウがなんとか理解しようと質問をする。
「はい。かつてそうでした。つまり前世の記憶があるのです。」
「待って!じゃぁ他の現人神も存在していて転生しているということ?」
「飲み込みが早いですね、優秀さんです。」
翔愛は両手の先を軽く合わせ朗らかに笑った。
「月の現人神もいるということ?」
「はい。あなたのお隣に座ってらっしゃいます。」
「え?」
ソウが微かな驚きの声を出し、彼女の隣にかけている光夜に視線を移した。
「光夜が?」
「どうしてそんなことまで知っている?俺は自分がツクヨミの記憶があることはミコト以外には話していない。」
「そうですね。わたしは少しだけ特殊なのです。」
「特殊?」
光夜は納得していないようだ。
「待って。ミコトはなんの現人神なの?」
ソウが大切なことだというふうに割り込んできた。
「えっ、わたしは。」
「彼女はツクヨミのお友達です。とても大切な。」
ツクヨミと黄花のことまで知っているなんて。翔愛はわたしたちのことは全てお見通しのようだ。
「友達ってなによそれ。」
ソウは翔愛の説明になぜか不機嫌になった。
「昔話をいたしましょう。」
翔愛はにっこり笑って静かに語りだした。
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