表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
花鳥風月の神様  作者: るち
2/107

2

このエピソードからの登場人物

★ホシカ

ミコトのクラスメイト。誰とでも仲良くなれる明るい性格。

★ハナ

ミコトのクラスメイト。ホシカの相棒。ロングヘアでクールな女子。

 夜眠りに着く前にベッドの中で拾った耳飾りを見ていた。とても綺麗な耳飾り。片方しかないのが残念だけど。

誰かの落とし物ではないはず。あの時、最初から大木の下にこの耳飾りはなかった。普通なら不気味に思える現象だけど、わたしは運命めいたものを感じたせいか、耳飾りを興味深く観察していた。


 耳飾りは2つの飾りが縦にぶら下がってついている。一つ目の飾りは白い石のような宝石で、二つ目は黄金色の輪の中に水晶だろうか、透明な宝石で三日月が型取られている。わたしはこの耳飾りに魅了されたようにずっと眺めていた。

なんだかとても懐かしいような嬉しようなそして悲しいような。なぜか気持ちを揺さぶられていた。

明日の学校が憂鬱だったのに、耳飾りを見ているうちに学校での心配事はすっかり頭から消えていた。わたしはいつの間にか眠りについていた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「ユイカ、おはよう。」


「おはよう。わたし、日直だから。」


 翌朝、登校したわたしは頑張ってユイカに声を掛けたけど逃げられてしまった。途端に気持ちがふさぎトボトボと一人教室に向かった。


 教室ではマリとユイカが一緒に話していた。わたしが席に着いたことに気付くと二人はひそひそ話し、クスクスと笑い始めた。

わたしは自分のことを言われているんじゃないかと思ってしまう。でもだからと言って何かできるわけじゃない。いまさら他のグループの友達の所に行く気はしなかったし、予鈴が鳴るまでただ席に掛けていることしかできなかった。

 わたしはそっとポケットに忍ばせたあの耳飾りを握る。不思議と気持ちが落ち着くから、お守り代わりに持ってきていた。


「おはよう。ミコトちゃん、今日放課後って暇?」


「え?」


 わたしに声をかけてきたのはクラスメイトのホシカだった。

彼女は誰とでも仲良くなれる子で、女子から人気があった。わたしは六年になるまで同じクラスになったことがなかったから、彼女は遠い存在だった。そのホシカからいきなり話しかけられ、焦ってしまった。


「あ、うん。別に予定ないけど。」


「じゃ、今日わたしにつき合ってくれない?約束していたのにハナが裏切るんだもん。」


ホシカの言葉を聞いていた彼女の相棒のハナが「人を悪者にするなー」と怒っていた。


「わたいは別にいいけど。」


「じゃ、きまりね。」


 不思議なことにそれをきっかけにその後学校でホシカがわたしに声を掛けに来てくれた。わたしは自然とホシカとハナと一緒に過ごすことになった。二人とも優しくて一緒にいるととても楽しかった。

ホシカはわたしに話しかけるタイミングを見計らっていたと教えてくれた。


「だっていつもユイカといるでしょ?声かけづらくって。」


「この子、ああいう子苦手なの。」


ホシカの言葉を受け、ハナが付け足した。


「ちょっと、ハナ。誤解されちゃう。あのね。前にレンにノート見せてもらったんだけど、その時にすごく睨まれたの。びっくりしちゃった。あの二人、つき合ってるわけじゃないんでしょ?」


その後もホシカとハナはああでもない、こうでもないとユイカとレンについての話を続けていた。


 わたしは自分が知らないユイカの一面を見たような気がした。ユイカがわたしだけでなく、他の人にもそんな態度をとっていたことに言葉を失った。

わたしも人を好きになったらそうなるのだろうか。自分のことだけど全く想像がつかなかった。


 学校も放課後もホシカのおかげでとても楽しかった。ホシカと話した、たったそれだけのことなのにこんなに状況が変わるなんてと少し驚いていた。


 その夜、わたしはとても不思議な夢を見た。遠くで誰かがわたしの名前を呼んでいる。


「誰?」


直接脳内に響く声。いったい誰がわたしの名を呼んでいるの?


『ミコト、ミコト...。』


「誰なの?」


わたしは声の主がすごく気になる。わたしは彼に会いたい。彼?でも確信があった。わたしは彼を探さないと。


 朝、目が覚めると夢の内容はすっかり消えてしまっていた。何か大切なことだったような気がするけど全く思い出せない。

 時計を見るともう準備しなければいけない時間をとっくに過ぎていた。次の瞬間には夢のことなどすっかり忘れ学校へ行く用意をした。

読んでくださりありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ