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花鳥風月の神様  作者: るち
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蓮の池公園

 ある公園の一角に趣のある池があった。蓮の花が所狭しと咲き誇り、公園に足を踏みいれると蓮の花のほのかな香りが風にのって運ばれてやってくる。


 ここはかつて水の神様が住んでいた神殿があったといい伝えのある場所だ。蓮の花から生まれると言われた水の神様の存在を信じていた昔の人々がここにその(ゆかり)の公園を造った。

今では散策がてらに楽しめる場所の一つとなっており、池とは反対側には子供たちが遊べるように遊具が設置されていた。





ツクヨミの記憶が戻ったあの日。


 ひと際立派な一輪の蓮の花から小さな生き物がはい出てきた。それは白いうろこをしており、光があたると蓮の花と同じ紫の艶をみせる。およそ大人の肘ぐらいまでの長さで、細くぱっと見は蛇のような形をしたものだ。しかしよく目を凝らしてみると、それの腹の付け根には小さな手のようなものが見える。


 それは花から抜け出し、池の中をゆっくりと泳いでいく。

公園では数人の小さな子供たちの声がする。


【タノシソウ。】


それは好奇心旺盛で池から上がると、子供たちの声のする方向へと移動して行った。



スルスルスルスル...

まるで蛇が這うように体をくねらせて子供たちの方に向かっていく。




「あっ、なにあれ?」


「えっ?」


それの存在に気付き、子供たちが近づいてくる。


「蛇じゃん!」


「えーっ!」


こんな所で蛇を見ることのない子供たちはそれをおもちゃとして遊びだした。一人がそれを手に取り叫ぶ。


「きもちわりぃ。」


「捨てろ、捨てろ!」


乱暴に地面に落とされたそれはわけがわからなかった。


【ドウシテ。イッショニアソビタイダケナノニ。】


「わぁぁっ、こっちに来んな!」


一人の子供がそれを足で蹴った。子供たちは楽しくなってきたのか、一人目に倣ってみんなでそれを足で蹴り始めた。


【イタイ、イタイ、タスケテ。】


それの白いうろこの艶めいていた紫が薄くなってゆく。



 レンはこの公園が好きだった。蓮の香りがするこの場所はレンの秘密のお気に入りの場所で、学校帰りにはいつも遠回りして家まで帰っていた。

今日は小さな子供たちが騒いでいるのか公園が騒がしかった。声がする方に目を向けると、三人の子供たちがなにかを蹴っている。最初はサッカーでもしているのかと思ったが、よく目を凝らして見てみると、なにか小さな生き物を足蹴にしているようだ。レンはたまらなくなり、気付いた瞬間には子供たちの元にかけていた。


「おい、なにやってんだ!」


 レンが声を張り上げ駆けてきたので、深い意味はなくただ楽しいというだけでそれをいじめていた子供たちは「逃げるぞっ。」と言って走って駆けて行った。そこにはそれがぐったりとしていた。


「かわいそうに。」


レンはそれを優しく抱え上げ様子を伺った。蛇の子供だろうか?


「大丈夫か?」


そっと声を掛けると、それはゆっくりと首を上げレンを見た。


「お前、かわいいな。俺のところにくるか?」


 レンに優しく声を掛けてもらって、それは少し元気になった。消えかけていた紫の艶がうっすらと蘇る。


【コノヒト、スキ。ヤサシイニオイガスル。ナツカシイニオイ。イッショニイタイ。】


それは二つの金色の目を瞬かせた。


「決まりだ。」


レンはそう言ってそれを着ているパーカーのすそに包んで家へと連れて帰った。

読んでくださりありがとうございます。

続きが気になる、面白かったなど思われましたら、是非是非☆評価、応援よろしくお願いいたします。

楽しんで読んでいただけるようがんばります。

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