13
「ミコト?大丈夫か?」
心配そうにわたしを見つめる光夜。彼の瞳はツクヨミと同じ。わたしが愛した人。
「わたしっ!」
やだっ、わたし、今なにを考えてた?恥ずかしさのあまりがばっと起き上がって両手で顔を押えた。とても恥ずかしくて光夜の顔を直視できない。
わたしは意識を失っている間見た夢では黄花という人だった。ツクヨミの姿はかつて夢で見たときと同じ姿で。ツクヨミと光夜がダブって見えた。姿、そんなに変わってないよ、ツクヨミ...。光夜を横目で見ながらそんな風に思ってしまった。
「気がついたの?」
周りを見るとリビングのソファの上にいた。え?誰がここまで運んだの?
「彼にお礼言うのね。ここまで運んだんだから。」
「光夜、重かったでしょ?ありがとう。」
ここまで運んだって...とても重かったんじゃ。恥ずかしくて最近気にせず食べていたことを後悔した。
「平気だ。ミコトは?」
光夜はそう言ってわたしの顔にかかった前髪を優しくかきあげた。あまりにも自然にされて普通に受け入れてしまった。それとも夢でみた黄花の気持ちが残っているのか。
「二人はつき合ってるの?」
わたしは黙ってしまった。光夜もわたしの様子をさぐるためか黙っていた。
「ま、いいや。さっきの話の続きなんだけど。」
話が見えないという様子でいると光夜が説明してくれた。
「月乃神社の他に、花、鳥、風の神社があったんだ。今はもう廃神社になってしまってないらしいけど。なにせ大昔のことだから。」
「そうなのっ?」
これは初耳のことだった。だったらツクヨミと同じように現人神があと三人いるということ?
「廃社にはなってしまったが、ソウの家で場所はわかるということだから。また日を改めて行ってみないか?」
「そっか。そうだね。」
帰り道、光夜は何故か嬉しそうだった。彼から話す気がなさそうなので、わたしから話をふった。
「なにかいいことでもあった?」
「ん?まあな。」
「もったいぶらないで教えてよ?」
「ミコト、あの花はなんなんだ?」
光夜が立ち止まり、真っすぐこちらを見て言った。
「花?」
「古文書にあった赤い押し花の跡だ。ミコトはあれを見て気絶した。俺にも覚えがある花だ。なにか思い出したんだろ?」
「あれは...。」
ツクヨミはあのまじない花を黄花から受け取っていた。花の意味は知らないの?
「秘密。今はまだ。」
急に恥ずかしくなって光夜を追い抜かしてすたすたと歩き始めた。
「いつか教えてくれ。」
光夜はわたしの背中に声を掛けた。
「いつかね。」
「そっと振り向くと彼に手を握られる。」
「行こうか。」
「うん。」
不思議な気持ちだった。光夜に手を握られるのが嬉しい。わたしたちは次に会う約束をしてその日は別れた。
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「ミコトっ!最近あのイケメンの彼とはどうなってるの?」
先日光夜が学校までわたしを迎えに来たことで、わたしはホシカとハナからしばらく質問責めにあっていた。この日までそれとなくごまかし続けていたが、今日こそは本当のことを聞くと二人から尋問を受ける。
光夜が失くしたものを拾って届けてくれたと作り話をしたが、学校では謎のイケメンの噂が広がっていて、その相手がわたしだと聞きつけたマリがものすごい顔で睨んできた。
「彼じゃないから。つき合っているわけじゃないし。」
「向こうはミコトに気があると見たけど?」
いつもは冷静なハナまで面白がって言ってくる。
その時、ふと視線を感じその先を見るとレンと目があった。目が合った瞬間ぱっと目を逸らされた。
なんなの、いったい?
光夜の噂が途絶えるまでしばらく時間がかかりそうだった。
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