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花鳥風月の神様  作者: るち
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このエピソードからの登場人物

ソウ

影宮家の娘。ミコトたちとは同級生。

「蛟龍って?」


「今の時代ではありえないことが昔はあったんだ。」


光夜は神獣となる蛟龍にについてわたしに説明してくれた。


「蛟龍はとて(もろ)い存在なんだ。そばにいる者の影響を受やすい。心清らかで優れた者のそばなら美しい澄龍(ちょうりゅう)となり天に駆け昇り、水の恵みをもたらす。しかしその逆で(よこしま)な心の者のそばにいれば濁龍となり災いを呼び起こす。そのため蛟龍の世話をする者は訓練を受けた者でなければいけない。」


「それがその集団?今の影宮さんが子孫ならば、なにか知っているかもしれない。」


「行ってみる価値はある。」


 わたしたちは祖父に影宮さんに連絡を取ってもらい、話を聞く時間を作ってもらった。

学校が休みの土曜日に光夜と待ち合わせをし影宮家に(おもむ)く。

影宮家はこの辺りの地主と聞いていたけれど本当にすごい大邸宅だった。大きな門構えの家で敷地は公園一つ分ぐらいはありそうだ。


「ようこそ、月生さんとこのお孫さんだね。」


迎えに出てきた人は物腰の柔らかい恰幅のいい男の人だった。眼鏡の奥で優しそうな目を細めている。


「こんにちわ。今日はよろしくお願いします。あの、友だちも一緒なんですが。」


光夜は軽く会釈した。影宮さんは光夜を見て言った。


「熱心なんだね。月の神様も喜んでいるよ。」


 神社のことを知りたいと伝えていたので、影宮さんは資料室のようなところにわたしたちを連れて行った。

少し湿っぽい匂いのする薄暗い部屋には、この辺りが開発された経緯の資料や昔の写真などがあった。どれもここでしか見れないものだったけれど、わたしたちが探しているものはなかった。


「昔のこと過ぎて資料が残っていないのかもしれない。」


「うん。」


なにかわかると思っていたのに。気持ちが沈んだわたしを光夜は優しく慰めてくれた。


「神社のことについて知りたいんなんてもの好きね。」


 資料室の外から声がしてわたしと光夜は振り返った。ショートカットの凛とした顔立ちの女子が立っていた。

この子、もしかして...。


「こんにちは。」


わたしは挨拶をしたが彼女はそれには無視だった。光夜は一瞬彼女に目を向けただけで、すぐに資料室の壁にかけられた写真に目を移していた。

彼女はそんな光夜の横顔をじっと見ている。わたしは今すぐ光夜の手を取り、この部屋から出ていきたい衝動に駆られた。


「そこの男子、こっち見て。」


彼女の言葉に光夜が再度目を向ける。


「どこかで会ったことがあるような気がする。」


「は?」


彼女の言いように光夜は辛辣な態度で答えた。


「あの、ここの家の人だよね?月乃神社のことでなにか知らない?」


「そんなこと、どうして教えなきゃいけないの?」


わたしはどうやら彼女とはうまくやっていけそうにない。年が近いからなにか違うことがわかるかもと思ったのだけど。


「彼女は月乃神社の神主の孫だ。俺たちは訳あって神社について調べている。なにか知らないか?」


光夜がわたしの援護をしてくれた。


「名前を教えてくれたら協力してあげてもいいよ。」


「俺は光夜、彼女はミコト。」


「わたしはソウ。」


「付いてきて。」


 そう言ってソウはわたしたちを資料室から違う場所へと連れて行った。

そこは母屋とは別に建てられた蔵だった。今の時代でもこんなものがあるなんてと見入ってしまう。

大きなカギを外し、ソウが先に蔵の中に入っていく。蔵の中は意外に綺麗に整理されていてひんやりとしていた。


 そこには古い書物や壺など様々な骨とう品があった。光夜は手に取ってみてもいいかとソウの了解をとり、目の前にある巻物を調べ出した。わたしはキョロキョロとして、なにを調べようかと辺りを見回した。


 わたしはふと、あるものに意識が吸い寄せられる。興味を惹かれて手に取ってみた。それは古文書のようだ。パラパラとページをめくる。すると一輪の赤い押し花の跡があるページで自然と止まり...。


 わたしはこの花を知っている。わたしは、わたしはこれを彼に渡して...。

とても幸せだった...。



天井がぐるぐると回る。


「ミコトっ!」

読んでくださりありがとうございます。

続きが気になる、面白かったなど思われましたら、是非是非☆評価、応援よろしくお願いいたします。

楽しんで読んでいただけるようがんばります。

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