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花鳥風月の神様  作者: るち
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8

「やっと会えた」と言ったの?


「もしかして...。ツクヨミ?」


光夜くんがベッドから出てわたしのそばまで来た。彼は小柄なわたしより頭一つ分背が高い。


「ありがとう、見つけてくれて。」


「ううん。だって...。」


 わたしは言葉に詰まる。なぜなら突然光夜くんに抱きしめられたから。男子らしい固い筋肉が病着の上からも感じ取ることができる。彼の中にすっぽりと包み込まれてしまったわたしは突然のことにパニックになった。


「ずっと、ずっと会いたかった。お前はなにも変わっていない。最初はやっぱり変なやつだった。」


わたしを抱きしめる光夜くんの腕に力が入り、もっと強く抱きしめられる。ようやく解放されたと思ったら、今度は頬を両手で包み込まれじっと顔を見つめられた。


「あの、どうしたの、光夜くん?」


わたしは恥ずかしさのあまりしどろもどろになる。


「光夜でいいよ。ミコトは俺の特別だから。」


「え?」と思った瞬間、光夜くんは目を閉じ...。噓でしょっ、キスされるっ!!


「待って待ってっ!!」


慌てて両手で光夜の口を押えこみそう叫んでいた。


「ミコト、お前記憶がないのか?」


「記憶がなかったのはそっちでしょっ!」と突っ込みたくなるのを我慢して、冷静に話し合おうと光夜に提案した。


「ツクヨミなんでしょ?わたしに夢で話しかけた。」


 光夜は再びベッドへ、わたしは彼のそばの椅子にかけ話をすることにした。


「正確には違う。今まで光夜として生きてきたから。ツクヨミの記憶を持つ光夜が正しいかも。」


「よくわからないの。ツクヨミは何者なの?」


「そんなことまで忘れているのか。」


「覚えている方がすごいと思うけど。」


「ツクヨミは神の眷属(けんぞく)だ。もとは人だったが神から選ばれ現人神となった。」


()()()?聞きなれない言葉に疑問が生じたが、今はもっと気になることがあるので、そちらをまず解消するために光夜に疑問をぶつけた。


「あの、わたしとツクヨミの関係って?」


光夜はわたしをまっすぐと見た。彼の瞳は吸い込まれそうになるほどとても綺麗だ。かつて神だったという神々しい面影が感じられた。


「かつて夫婦(めおと)だった。」


「えええーっ!」


光夜の告白にわたしはお驚きつい大きな声を出してしまった。


「そんなに驚くことか?」


「だって、だって、まだ小学生だよ?」


「黄花が...。お前が俺と契った時は14になっていた。昔は婚儀の年齢が早かったのは知っているだろう?」


ち、契ったって!!光夜はあっさりと言ってのける。胡坐をかき片肘をついて寛いだ様子で話す彼はそのルックスも相まって確かにかっこよかった。

しかしこの内容はかなり恥ずかしい。なので、もう一つ気になっていることを聞いた。


「耳飾りは?どうしてなにも反応を示さなかったの?」


「おそらく第三者の手が介入したからだろう。ランに触れられてしまった。耳飾りが自らを封じたんだ。少なからずかつてのツクヨミの意思がはたらいている。」


()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()光夜は心の中でそう確信していた。


「封じたのにどうして記憶が戻ったの?」


「耳飾りが壊れたのが幸いしたな。耳飾りの力が解き放たれた。全ては運命だ。」


光夜はわたしの質問に一つずつ丁寧に答えてくれた。


「あの耳飾りはツクヨミがわたしに持たせたの?」


「そうだ。でもそれがその後どうなったのか俺は知らない。なぜミコトの元に届いたのかも。」


きっと最後の願いに神の力がはたらいたのだ。光夜は願いが通じたことを神に感謝した。今目の前には再会を誓った愛しい者がいる。


「俺と黄花は。かつてのミコトはある事件で離れ離れになったんだ。でも必ずお互いを見つけ、その時はもう離れないと誓い合った。」


あの、まるでプロポーズなんですけど...。恥ずかしいことを簡単に言ってのける光夜についていけない。でも彼はただ過去にあった事実を話しているに過ぎない。


 光夜がかつての自分たちの話を隠すことなく語ってくれているけど、わたしには記憶がないので実感がわかない。光夜のような男子にここまで言われて悪い気はしないけど。でも今は頭の許容範囲をとっくに超えていた。

ちょうどその時、シュウマくんたちが戻って来た。


「悪い、お待たせ。向こうのコンビニまで行っていたからさ。」


「バカでしょ。すぐ近くに店があるのにあっちの店にしかないからって。」


買い物につき合わされたランはふてくされている。


「シュウマ、サンキュ。」


タイミングよく面会時間の終了を告げるアナウンスが流れた。


「じゃ、お暇するわ。光夜、いつから学校?」


「明後日には行ける。」


「じゃ光夜、明日また来るから。」


ランは甘えるような声を出した。勝ち誇った目でわたしを見ながら。


「うん。ミコト。」


「はいっ。」


光夜は手を差し出している。手を握れという事?彼の瞳には力がある。逆らうことができずに二人の視線を感じながらわたしは光夜の手の平に自分の手を重ねる。


「連絡先、教えてくれる?」

読んでくださりありがとうございます。

続きが気になる、面白かったなど思われましたら、是非是非☆評価、応援よろしくお願いいたします。

楽しんで読んでいただけるようがんばります。

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