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逆さまの迷宮  作者: 福子
第五章 ◆ 本道
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第二節 ◇ 鳩


 まっすぐのびるコンクリートの道を少し進み、右手に宇宙の『象徴(シンボル)』の地球が見えたあたりで、ジグザグ道路にぶつかった。


「恐れるものの『象徴(シンボル)』みたいな道だね。」


「あの道よりも(かど)(とが)っているな。距離はそれほど長くないようだが、歩きにくそうだ。」


「それなら、わたしに任せて。」


 ヒマワリは、ボクの腕から下りた。そして、ジグザグ道路の手前まで移動すると、クルリと振り返ってボクたちにウインクした。


「歩きにくいなら、歩きやすくすればいいのよ。」


 えいっ! という、ヒマワリのかけ声とともに、木の道が勢いよく伸びてジグザグ道路を覆った。


「これで、まっすぐ進めるわ。」


「なかなかに強引だな。」


「いいじゃない、『象徴(シンボル)』じゃないみたいだし。」


 ふくれっ面をしているヒマワリを見て、トキワが笑っている。ボクは、そんなふたりを抱きしめた。


「手紙だわ。」


 道を少し進んだ先の空間を、手紙がヒラヒラと舞いながら落ちてくるのが見えた。ヒマワリは全力疾走して手紙に近づくと、見事な大ジャンプでキャッチした。


「さすが! ウサギのジャンプはすごいね。」


 ボクは、ヒマワリを抱きあげて手紙を受け取り、封を切った。トキワは、ボクの肩に乗って手紙をのぞきこんだ。



 ┏━━━━━━━━━━━┓


     『審判』


   次への鍵を運ぶのは、

   善き知らせを伝える

     平和の象徴。


 ┗━━━━━━━━━━━┛



「次への鍵、だって。」


 ボクは、手紙をポケットにしまいながら言った。


「どうして、審判、なのかしら。」


「ふたりとも、のんびりしている場合じゃないぞ。あれを見ろ。」


 トキワに言われて上を見ると、たくさんの芽が生えた雲の上に、飛行船のように丸くて、雪のように真っ白なハトがいた。


「今回は、ずいぶんと分かりやすい『象徴(シンボル)』じゃないか。たしかに、ハトは平和の象徴だ。」


 ハトは、ゆっくりはばたき雲の上でホバリングをしている。その足で、プレゼントボックスをしっかりとつかんでいた。


「あの箱に『次への鍵』が入っているのか。」


 ハトは、ボクの肩からトキワが飛び立つのを確認すると、どこかへ向かってバサバサと飛んでいった。


「大変!」

「追いかけるぞ!」

「トキワ! そのまま飛んで追いかけて!」

「分かった!」


 トキワは空から、ボクとヒマワリはコンクリートの道から、全力でハトを追った。

 障害物のない空間を飛ぶハトを追うのは難しいけれど、さいわい一本道だ。視界の端っこにハトをとらえながらコンクリートの道を全力疾走して、なんとかハトを追うことができた。


 小さな階段を三つ越えてカーブを右に曲がると、突き当たりに古い家がポツンと建っていた。その真上でホバリングをしていたハトは、ボクたちの姿を確認すると、持っていたプレゼントボックスをポトンと落とした。

 そして、たくさんの芽が生えた雲の上に戻っていった。



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