第二節 ◇ 鳩
まっすぐのびるコンクリートの道を少し進み、右手に宇宙の『象徴』の地球が見えたあたりで、ジグザグ道路にぶつかった。
「恐れるものの『象徴』みたいな道だね。」
「あの道よりも角が尖っているな。距離はそれほど長くないようだが、歩きにくそうだ。」
「それなら、わたしに任せて。」
ヒマワリは、ボクの腕から下りた。そして、ジグザグ道路の手前まで移動すると、クルリと振り返ってボクたちにウインクした。
「歩きにくいなら、歩きやすくすればいいのよ。」
えいっ! という、ヒマワリのかけ声とともに、木の道が勢いよく伸びてジグザグ道路を覆った。
「これで、まっすぐ進めるわ。」
「なかなかに強引だな。」
「いいじゃない、『象徴』じゃないみたいだし。」
ふくれっ面をしているヒマワリを見て、トキワが笑っている。ボクは、そんなふたりを抱きしめた。
「手紙だわ。」
道を少し進んだ先の空間を、手紙がヒラヒラと舞いながら落ちてくるのが見えた。ヒマワリは全力疾走して手紙に近づくと、見事な大ジャンプでキャッチした。
「さすが! ウサギのジャンプはすごいね。」
ボクは、ヒマワリを抱きあげて手紙を受け取り、封を切った。トキワは、ボクの肩に乗って手紙をのぞきこんだ。
┏━━━━━━━━━━━┓
『審判』
次への鍵を運ぶのは、
善き知らせを伝える
平和の象徴。
┗━━━━━━━━━━━┛
「次への鍵、だって。」
ボクは、手紙をポケットにしまいながら言った。
「どうして、審判、なのかしら。」
「ふたりとも、のんびりしている場合じゃないぞ。あれを見ろ。」
トキワに言われて上を見ると、たくさんの芽が生えた雲の上に、飛行船のように丸くて、雪のように真っ白なハトがいた。
「今回は、ずいぶんと分かりやすい『象徴』じゃないか。たしかに、ハトは平和の象徴だ。」
ハトは、ゆっくりはばたき雲の上でホバリングをしている。その足で、プレゼントボックスをしっかりとつかんでいた。
「あの箱に『次への鍵』が入っているのか。」
ハトは、ボクの肩からトキワが飛び立つのを確認すると、どこかへ向かってバサバサと飛んでいった。
「大変!」
「追いかけるぞ!」
「トキワ! そのまま飛んで追いかけて!」
「分かった!」
トキワは空から、ボクとヒマワリはコンクリートの道から、全力でハトを追った。
障害物のない空間を飛ぶハトを追うのは難しいけれど、さいわい一本道だ。視界の端っこにハトをとらえながらコンクリートの道を全力疾走して、なんとかハトを追うことができた。
小さな階段を三つ越えてカーブを右に曲がると、突き当たりに古い家がポツンと建っていた。その真上でホバリングをしていたハトは、ボクたちの姿を確認すると、持っていたプレゼントボックスをポトンと落とした。
そして、たくさんの芽が生えた雲の上に戻っていった。




