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037話 コンビ(ネーション)

『【感情】を理解出来るかもしれない』

 少年ルカ・ローハートはミュウ・クリスタリアとの激戦の後、天空図書館にてサキノとの対談でそう思った。

 己の強固な殻を破るサキノと同様に、ルカも一つずつ殻を破っていた。

【嫌悪】【信頼】そして。


【期待】。


 まだ見ぬ、人との繋がりの原点を理解出来るかもしれないと宿した感情はルカに新たな能力を与えていた。

【期待】を孕んだルカの瞳は橙黄色。

 魔界幸樹下で行われたミュウとの対談で、罪悪感を覚えながらも確証がないために隠秘していた能力。



『視野広角』。



 消費する魔力量に比例し、視野の広角の調整が可能。

 それは時の前後――未来と過去を見通すことが可能な、未来予知の能力だ。


 ガルーダの決め手に対して視野広角を発動させたルカは、大爆発、ビル群の倒壊地帯の中で回避出来る唯一の場所を未来視で探り当てたのだ。一歩間違えれば命を落とすことも必定な行動に、不思議と焦りはなかった。

 結界で防ぐことも可能ではあったが、防いだ後に生き埋めになったのでは話にならない。

 己の目的は生存ではなく、幻獣の討伐なのだから。



「ふっ!」



 やや濃さを失った黒煙の中から飛び出す一条の(やじり)。不意を衝くように放たれた黒線は勝利を確信していたガルーダの出足を鈍らせた。



『ガアァッッ!?』



 翼をはためかせ回避を図るも、鏃が翼先を掠め何枚かの紅緋色の羽が墜落する。

 視野広角によってガルーダの位置は特定出来ていたものの、やはり直接視認出来ない中で穿つには至らない。


 確保できない視界の中から追撃が放たれるがあくまで牽制、不発に終わる。しかし瓦礫で埋め尽くされた一帯の中をすり抜け、飛び越え、崩落都市の中から脱出に成功する。

 黒霧の範囲外へと脱したルカへ、策が決まらなかった苛立ちと思わぬ反撃に返報の突進を敢行するガルーダ。



「!」



 早すぎる対応に地面を横っ飛びに転がり回避、翠眼を再度解放し更にその場から退避。少々規模が衰えた爆発が直線に轍を刻んでいく中、ガルーダはUターンでルカを執拗に狙う。



「タイミングを見計らって武器巨大化で仕留めるか?」



 ガルーダの猛攻を黒剣で受け止めながら決定打を模索するが、魔力の浪費速度が速いことがどうにも踏み切れない。というのも、攻撃、防御の後には必ずと言っていいほど強要される身体強化での回避。加えて反撃の武器創造、結界や視野広角といった無駄な切替を強いられているのが原因であった。



「いや、巨大化は魔力をごっそり持っていかれる……確実に仕留めきれる場面じゃないと流石にリスキーか……」



 しかしこのままでは堂々巡りであるのは間違いない。一進一退であるのならば攻め落とすことも攻略プランに考慮出来るが、一進三退では話にならない。



「でもこのままやられっぱなしで魔力が尽きる方が危ういな。やるしか――」



 盤面を覆すため、決定打への一欠片を解き放とうとしたその時。

 ルカの背後から一陣の風が吹き抜け、驀進を執行するガルーダと純白の象徴が激突する。



「はああああッッ!」

『ガルァッ!?』



 ギィンと鉤爪から音を発したガルーダは、突風による加速を吸収しきれずに吹き飛んだ。

 周囲に撒かれる爆粉を一早く察したサキノは跳躍でその場から離脱しルカの隣へと着地する。



秘境(ゼロ)とはいえ、ここまで派手に都市を壊す幻獣も初めてだよ……ルカ大丈夫?」

「ああ、なんとかな。それにナイスタイミングだサキノ。一か八かの大勝負を仕掛けようとしてたところだった」



 サキノが周囲の惨劇を目撃して尚冷静にいられるのは、服に汚れは見られるがルカに目立った外傷がないこと。そしてルカを信頼した結果であった。



「……まさか肉を切らせて骨を断つ、みたいなことじゃないでしょうね?」



 じっとりとした半眼で詰問してくるサキノにルカはあっけらかんと答える。



「骨を断とうとして身を穿たれることはあったかもしれん」

「完全敗北だよ!? 気をしっかり持って!?」



 確実に決まる保証などどこにもないのがまともな意見ではあるのだが、長引く戦闘に気が大きくなっていたのはあったかもしれない。他にも方法があったかもしれないと、少し反省をする――反省を促される――ルカへ、サキノが情報を確認する。



「遅くなってごめんね。多分ラヴィ達が私の存在を認知していたみたいで中々転移出来なかったの。秘境(ゼロ)に来た途端、学園は滅茶苦茶だし、大爆発は起こるしですぐに場所はわかったよ。ルカが攻めあぐねている理由はあの爆発ね?」

「そう、奴が通る道は時間差で爆撃が自動(オート)で引き起こるらしい。防御は得策じゃないし、決めきれなければ常に回避を選択させられる」

「爆発の能力持ちかぁ……相当厄介だね」

「爆紛を散布してまとめて大爆発させることも出来るみたいだけど、基本的には自動(オート)が常にオンみたいだ。知能もそこそこ高い」



 体勢を整え上空を旋回したガルーダは人数差不利を警戒しているのか、高速で縦横無尽に飛び交い早速ルカの逆手を行く。



「これだ、爆粉を撒き始めた。離れよう」



 二人はその場から駆け出し、降りくる爆撃を躱しながら移動を続ける。

 人数差で劣ると判断するや否や、安全な上空を確保しながら爆撃の散布を始める当たり、ガルーダの行動があまりにも慎重だった。

 一対一の時とは打って変わった戦術に、ルカはサキノへこれまでの経験を尋ねる。



「幻獣ってこれだけ知能ある奴も珍しくないのか? さっきまでは接近戦が主だったんだが、サキノが来た瞬間戦法を変えてきてるんだが」

「個体によって知能や力はまちまちだけれど、中には知能が凄く高い敵がいるのも確かだよ」



 警戒心や好戦的など幻獣の性格によっては戦い辛くも、能力の割に弱体であったりするとサキノは論ずる。

 三頭狼ケルベロスに続き、厄介な能力と知能を掛け合わせた上空を飛ぶ幻獣を、二人は走りながら見据える。各地で空襲が降り続ける何一つ好転しない現状に、サキノは納刀して深慮する。



「ルカの言う通り、こっちが何かアクションを起こさない限り相手は自分に有利な立場から攻撃を続けてくるみたいね。決定打にはならなくても、疲弊させてから狩ろうってことかな」



 ガルーダの計略を推理し、敵の知能の高さを認める。一切接近してこなくなったガルーダを討伐するためには遠距離で仕留めるか、接近するしか方法がないサキノは決意を瞳に込める。



「キリがないね。初めてだけれどやってみようか……ルカ、援護をお願いしてもいい?」

「あぁいいぞ。サキノの思うようにやってくれ」



 ルカの相槌にサキノはやんわり微笑むと数瞬脚を止めた。瞳を閉じて深く長く息を吐き、豊満な胸に両手を添える。

 秘境(ゼロ)で沸々と湧き出る泡沫がまるでサキノに誘われるように、喜ぶように魔力がサキノの周囲を漂い出す。

 白光を始めるサキノの身体。以前見たエルフの力だろうかとルカがその変化を見守る中。


 ぽわっ、と一段と煌びやかな白紫色の光がサキノを覆い身体を震わせた。

 次の瞬間、突如としてサキノの背中に現れる大きな異物。



「翼……」



 美しき長髪と同様に先端が若紫色に染まった純白の翼。

 書物で見るような巨大で神々しいその一対二枚の翼は、天使の翼と形容するに相応しいだろう。

 ミュウ・クリスタリアの悪魔の翼とは対極をいく姿形の翼がサキノの美貌に負けず劣らず生え揃っていた。



「出来た……セリンちゃんのアニメの見様見真似でやってみたけれど、うん、ちゃんと飛べるみたいね」

「まさかの影響セリンちゃんかよ!」



 依然と鳴り止まぬ爆轟地帯でサキノはふわっと宙に浮くと、優しく翼を羽ばたかせて可動性を確認する。落下する光の羽が泡沫になって秘境(ゼロ)に還元されていく神聖さを見て、よもや参考にしたものが熱愛しているアニメだと知ったルカはツッこまずにはいられなかった。



「それじゃ、行ってくるね」



 少々羞恥を抱いていたサキノだったが、凛然とした顔つきを取り戻すと決然と中空へと飛翔していった。


 地上から飛び出てきた純白の天使に、爆紛を散布していたガルーダは驚愕を露わにする。一段速度のギアを上げ、人間離れした純白の少女と空中の鬼ごっこが幕を上げた。


 超速で飛び回るガルーダは爆破を全自動に切り替え、後方を追尾するサキノを撃ち落とそうと目論む。

 当然サキノもその策略は予期しており、爆発を掻い潜り、時には迂回しながらガルーダの首を狙う。

 サキノを援護しようとルカも漆黒の弓矢を構え何度も射るが、精彩な空中戦を展開するガルーダにその攻撃は当たらない。



(どうする? 俺には何が出来る……?)



 繰り広げられる上空での戦闘、己の無力さに打ち拉がれる。

 サキノと同様に翼を生成することも可能だ。しかし創造と身体強化、別々の能力は同時解放不可だと言うことをルカは理解している。さらに創造は単一の条件が存在するように、翼を生成してしまえば身体強化はおろか、武器の創造も行えない。

 丸腰で敵前へと赴くだけで一体何が出来ようか。

 爆発を間一髪で躱し、加速度を増しながら果敢に戦うサキノを見据える。



「魔力を気にしてる余裕なんてないだろ。っふぅ……」



 ルカは思案していた。

 縦横無礙に飛び回るガルーダをどうすれば足止め出来るのか。

 百伶百俐のガルーダをどうすれば出し抜くことが出来るのか。

 答えは出ていた。




 視野広角――未来予知展開。



「何秒先だ……? 奴の速度と位置取りが合致する箇所(ポイント)は……?」



 深く、深く、深く。

 ルカは視野広角に没頭し、ガルーダの動きを未来視する。風を切り、爆煙を吹き荒らす怪物の動きを何秒先も追っていく。

 まだ、まだ、まだ。

 魔力が急激に減削されていく感覚と、のしかかる疲労感が身体を襲う。



「っ! 今!!」



 未来視によってガス欠寸前の魔力を翠眼解放に充てたルカは、高層ビルの壁面へ向かって跳躍を行った。

 サキノが幻獣バジリスクを追い詰めた行動を再現(トレース)し、感覚の狭いビル間で壁蹴りを行って更に上部へ。



「はぁっ、はっ、はぁ……ッ! 届けっ!」



 身体が悲鳴を上げていた。消耗し過ぎた魔力が体を鉛のように錯覚させる。

 呼吸が乱れ、がくっと膝から力が抜ける感覚がルカに最悪な結果(らっか)を想像させるが、それでも歯を食い縛り最後の一歩を踏み出させた。

 踊り出たるは上空約四十メートル。未来視した先はガルーダの直上。

 


『ガアァッッ!?』

「ルカっ!?」



 背後の少女のみに意識を割いていたガルーダは、眼前に飛び出てきた闖入者に面食らう。



「ああああああッッッ!!」

『ゲ――』



 ルカは右脚を振りかざし渾身の踵落としをガルーダへと見舞う。

 バキッッ、と鷲の頭部を粉砕する音とともに地上へ直滑降するガルーダ。だがしかしまだ息がある。

 初めて直撃した攻撃で仕留めきれるとは露ほども思っていないルカは、詰めの甘さなど見せない。



「サキノ!」

「っ! うん!」



 超速で自身へと突っ込んでくるサキノの名を呼んだルカは、左脚に溜めを作って待っていた。

 踵落としからの連動的な動作に、ルカの真意を瞬時に汲んだサキノは勢い殺さずルカの左脚に着脚。



「行けっ!!」



 速度を緩めることなく直角に曲がり切ったサキノは、ルカの脚力込みの加速で落下するガルーダへと肉薄していく。

 サキノの速度を貰い受けたルカは、追撃してくる爆撃の軌道から逸れ難を凌いだ。



『ガアッ……!? ガガガッァ!!』



 強烈な一撃を頭部に頂戴したガルーダの意識は混濁。虚勢の咆哮を上げるも弱々しいことこの上なかった。そんなガルーダの視界に純白の被膜(ベール)を全身、そして刀身に覆った少女が自身を凌駕する速度で上空から迫り来る姿が写り込む。

 翼を羽ばたかせ脅威から逃れようとするも、脳機能に大きな衝撃を受けた直後ではまともに体を動かせるわけもなく。その距離は無情にも埋められていく。



「終わりだよッ! はああああッ!!」

『ガッ――――!?』



 一刀両断。

 速度に乗りきり、白纏を付加した神速の一撃は容易く爆緋鳥ガルーダの首を断ち斬った。

 断末魔の声さえ上がらない幻獣の最後にサキノは終戦を確信。

 急接近する地上を避けるように滑空し、背後に幻獣の肉塊が落下する音を聞きながら再度上空へ。

 力なく落下するルカへ一目散に飛翔し、その体を優しく受け止めた。



「無茶、しすぎだよ。魔力が空になるまで酷使するなんて……それに私がルカの意図汲めなかったらどうするつもりだったのよ……」

「サキノならわかってくれるかなって思ってな。でもサキノはわかってくれただろ?」

「そんな調子のいいこと言っても駄目。まあ? 信頼してくれているのは嬉しいけれど……それでもやっぱり過信はよくないと思うな」

「ケルベロスを倒した時も見透かされてたもんな」

「そうだよ? ルカのことなら何でもわかっちゃうんだから。ってそれが駄目なんだってっ!?」 



 教誨するサキノの声は優しく、かつルカへの憂慮が込められていた。

 厄介な能力を持った強敵の有利を打破しようとルカが奮闘していたことはサキノにも伝わっていた。けれどやはり無茶はしてほしくないと願うのは欲張りだろうか、とサキノ自身も自制を利かせながら諭さずにはいられなかったのだ。


 自分で自分にツッコむサキノは地上へと帰還し、そっとルカを手放した。

 少し名残惜しかったのは内緒だ。絶対に内緒だ。


 魔力の枯渇にふらつくルカの姿に、サキノは手を貸そうとするもルカは気丈に振る舞う。

 ミュウとの一戦で、何度も死地を見て、庇ってくれたルカだからこそ不安が先立つ。



(きっとこの先、ルカは何度も無茶をする……)



 それは憶測などではなく、サキノには確信めいたものがあった。

 ルカ・ローハートは自分が無茶をしていることに気付いていない。

 他者が無茶と感じる行動も、本人が無茶だと感じていなければ抑止にはならないのだ。


 技量、思考、度量などの考え方、感じ方は個々によって異なるのは当然だ。

 ましてや異能力に至っては能力に個人差がある。戦闘が頻発する魔界のように比較対象に縁のない下界の人間にとって、許容範囲というものが判断し辛いのは否めないかもしれない。

 とはいえ、ルカの度量が人並みではないことは明白だった。


 他者には困難なことも、ルカにとっては身体能力が優れているだけに手を伸ばせば可能になってしまうのだ。

 それは他者にとって無茶というのだが、本人からすれば少し尽力しただけのこと。

 少し邁進すれば手の届く行為を、一概に無茶と断じて禁ずる事は難しいものであるのだ。何よりルカの可能性を狭めてしまう危険性も孕んでいる。



(ルカを巻き込みたくはなかったけれど、ちょうどいい機会なのかもしれないね)



 だからサキノはルカの可能性を潰すのではなく、広げる方法を選ぶ。



「あのねルカ、三日後に魔界で騎士団の任務(ミッション)があるのだけれど、一緒に受けてみないかな? 私が所属する騎士団【クロユリ騎士団】のメンバーで都市外の魔物を狩る内容なのだけれど、ルカにはそこで戦い方を身に付けて欲しいの」



 ルカの周りを絶対に譲らない小動物(ラヴィ)の存在もあり、提案を伝えるべきかこの数日間悩んでいたサキノは遂に決心をつけルカへと懇願した。

 サキノが取った方法は、無茶をするなと禁ずるものではなく、無茶をさせない方法を身に付けさせること。己の可不可を知り、限界を知り、立ち回りを知る。幸い戦闘に長けたレラ達もいることだと、サキノは存分にこの機会を利用しようと思ったのだ。



「騎士団に俺が関与してもいいのか?」

「うん、団長からの発案だから大丈夫。幻獣ほど強い魔物は都市近辺にはいないし、ルカも実戦経験を積めるいい機会だと思うの。どうかな?」



 腕組みをしながら部外者の関与を懸念するルカへ、サキノは全て了承済みの旨を伝えると「ああ、わかった」とルカは即快諾した。



「ルカも試したいこととかあれば、私もサポート――」



 急に歯切れが悪くなるサキノは小首を傾げながらルカのことを凝視する。

 そんなサキノのまるで小動物のような仕草にルカも首を傾げた。



「そういえばルカの能力って何……?」



 運命的に邂逅し、必然的に反発し、流動的に共闘し今に至る二人にとって、能力を話し合う機会などある筈がなく、ルカの能力に疑念を抱く。

 


「あれ、この話……は、いや。サキノには初めてだな」

「には?」



 喰いついてしまった。

 隠し立てするつもりはルカには別段なかったが、サキノの返答に己が口を滑らせてしまったことを悟る。しかし変に誤魔化すのも違うと感じたルカは、ありのままの事実を爆弾として振り落としていく。



「数日前の夜魔界に行ってたんだけど、その時にミュウ・クリスタリアとたまたま会って」

「みーちゃん!? 生きてた……ってなんで夜に!?」

「生きてたことより夜の方が大事!? ……魔界でたまたまだって」

「そんな逢瀬みたいなこと……そもそもなんで魔界に?」

「ココの御使いだ」

「みーちゃん関係ないじゃない!?」

「だからたまたまだって。まあ、その時に能力の話になって」

「ナンデソウナルノ!?」

「色々あったんだよ……」

「イロイロッテナニ!?」



 奇しくも敵方であるミュウが先にルカの能力を把握すると言った奇天烈な事態にサキノは頭が混乱していた。そんな様を小悪魔ミュウが大笑いしながら眺めている幻想をルカは見た。

 目を回し真っ赤になったサキノにあれよこれよと質問攻めにあうルカだったが、唸るサキノはぷいっとそっぽを向きながら先行し妖精門(メリッサニ)を探し始める。

 


「後できっちり尋問するからね! みーちゃんよりも詳しくっ!」

「なんで張り合ってんの!?」

「ルカの一番の味方が誰かってこと叩き込んであげるんだからっ! 学園戻るよっ! 講義始まっちゃう!」



 魔力が底を尽いた満身創痍のルカだということを忘却したサキノは駆け足でその場を去っていく。


 しかしサキノの速度についていくことの出来ないルカは置いてけぼりをくらい、サキノが慌てて戻ってくるのだった。




 勿論、認識はされていなかったが講義には遅刻した。


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