助けを探し求めて
「すみません、遅れました」
「……誰だ!!」
俺たちがいなくなった途端、司令官の近くから声が聞こえた
「俺ですよ 司令官」
「杉田壮志……」
杉田壮志 2年前から司令官に協力するようになった能力者
茶髪のロングヘアが特徴的
スラリとした長身に、茶色の革ジャンを着ている
「司令官の仲間が解散して、もう3年になるんですね」
「そうだな… 早いものだ」
「いいんですか? 俺があの子達のリーダーになって 先程あなたの上司から連絡が入って、急だが、今度の新人の新しいリーダーになってくれ、と…」
司令官は戸惑う杉田壮志に、目線を向けて話す
「まだあの子がリーダーになるには早すぎる まだまだ知らないことばかりだし、能力者はなめてかかれば命取りだ そこで、去年引退したばかりの君が、リーダーになって欲しい」
杉田壮志の仲間は、去年まで戦っていたがそれぞれ解散した
「あなたのお仲間を呼ばなくて、いいのですか?滝さん」
杉田壮志に言われ、司令官は椅子にゆっくり座る
「もう、あいつらに迷惑をかけたくない まして私は司令官… いつまでも、あいつらに頼ってばかりでは、司令官になれない 私の軸がブレてしまう」
壮志はクスッと笑い
「そうですか 顔では、仲間に会いたいと見えますが?」
「……まあな、会いたくない訳じゃないさ でも、嫌でも会わなくちゃいけない時がそのうち来るな」
司令官はリモコンで大画面のモニターの電源を入れた
「どういうことですか?」
「俺の仲間、根口智嬉が、敵に攫われて1年経とうとしている いや、智嬉がアジトへ侵入調査をしているのか分からないが…とにかく、敵に攫われているんだ」
壮志は目を大きく開いて驚いた
「時々司令官がいう問題ですね 見つからない、だなんて…」
「これに関してはかつて仲間だったトヴァースや、私の妻、陽桜瞳も調査に向かっている その為に、新しい仲間を入れたんだがな…」
司令官はすっかり困り果てていた
「なにも、音沙汰はないのですか?」
「だから困っているんだ、なにもない以上、下手に仲間を増やすわけにもいかない」
司令官が悩んでいると、壮志はぱっと思い出す
「なら、情報支部を駆使して、何十個も防犯カメラを設置して、仲間の居所を…!!」
「もうとっくにやっている」
「ですよね」
司令官は冷静に答えた
「罠も仕掛けたが全く分からない 本人に電話をかけたが通じない」
「ならもう、行くしかないでしょうね アジトに 今もその敵が、町中をナワバリにしています」
司令官は顔を両手で覆った
「なんにも出来ない司令官で……ごめん……!!」
「司令官… あなたは特別強い力がある 下手に動いたらこれ以上悪化するかもしれない、でしょう?」
「……怪盗」
「え?」
悩みに悩んだ末に、思いついた答えは
「暗い場所が得意な能力、怪盗か、忍者かならいけるんじゃないか?」
「しかし、そんな能力を持ってる人物なんてどこにも」
能力者は基本的には運動能力は高い
しかし、忍び込んで調査ができる人物は意外と数が少ない
だからこれまでも戦闘がメインだったという
「……私に心当たりがある 」
「なんですって!?」
「今日は解散していいぞ 君のおかげで助かった」
「司令官、敵と戦う時、俺も聞いてみます」
「聞き出せるかは難しいが… やってごらん」
壮志が去ったあと、司令官は仲間に通信をした
「もしもし、私だ、蒼山滝だ ああ、みづき 頼みたいことがあるんだ」
(俺の仲間になるべく頼りたくないが…この時は仕方がない…)