最終話
思えば、長い長い戦いだった
1番最初の敵カルテー二を倒せば、別に俺は戦いをやめても良かったんだ
だけど それだけじゃ終われない、ってどこかで思ってた
俺はあの頃より強くなれていたのだろうか
自分自身では、よく分からない
今までだって、戦いに逃げてばかりだった
司令官も嫌な思いをしていただろう――
俺は色んな事を思いながら、式を迎える――
「兄貴、親父と母さんの写真あったぜ」
「あ、ああありがとう やっぱりいるよな 」
「それはもちろん! …いくら親父が、能力者戦争を引き起こした一員でもさ」
「瞳も写真持ってくるの賛同してくれて良かった」
今日は式をやる1週間前
大体戦い終わった手続もすませた
俺はもう、リュザを倒したら能力者をやめると決めていたから、辞めますとは司令官にとっくに話していた
――回想
「もう、リュザを倒したら能力者を辞めます」
今年の春頃だっただろうか
俺は司令官室で、司令官に報告していた
「そうか 長い能力者だったな お前がいただけで、どれぐらい役に立ったか」
「本当に…長い長い戦いでした 司令官はもっと長く戦っていたでしょうけれど」
司令官もその時ボソリ言っていた
「私も…これを機に司令官を、いや、能力者をやめる もう力がなくなってきているのでね」
――回想終わり
式をやる前に、自然と俺の身体に入っていた能力は全部消えていった
俺だけでなく、一緒に戦っていた能力者全員
もう、戦わなくていいのだ
平和を取り戻した
そして、式をやる前日の夜
瞳の家で全員集まってから教会で式をやることにした
式で着る服装もみんな決まった
実は、まだ瞳の着るウェディングドレスがまだちゃんと見れていない
瞳には内緒、と言われている
そんなんありかよ!と内心思っていたが…
3日前ぐらいには大体リメンバーズチーム、陽仁チーム全員集まってくれたが、春希のチームは疎らだった
「滝さんすいません、彼らの中にはまだ学生の子もいて」
「仕方ないよ 俺もみんな仕事だったら来なくていいよって言ったんだが、みんな聞かなくてなあ」
「結婚式も楽しみだが」
客間で全員揃うとこれだけ人数がいたのか、と改めて驚かされる
ざっと15人ぐらいか
智嬉が重く口を開く
「……司令官、やっぱり来ないな 転生した姿だが」
司令官は見渡してもここにはいない
ロダ様の禁断の術、やはりうまくいかなかったのだろうか
「私たちと同じ身体を持って復活するんでしょう? 司令官は元々透明の身体だから…肉体がなければ…」
翔が話している通り、俺もそう感じていた
肉体がなければ、復活は無理なのでは?と
「式はやるって決めてんだ やらない訳にはいかない 司令官がいなくても式は成功させてみせる」
俺が顔を上げてハキハキとした口調で話すと、純は目をキラキラしていた
「滝…お前…成長したなあ…!!」
「純、俺が結婚したら、お前もここの召使いとして仕事するんだと」
「はあ!? 俺が!?」
陽仁と智嬉は苦笑していた
「やっぱり気づいていたんですね 瞳さん」
「ああ、もう分かりきってるだろ」
そうこう話しているうちに、就寝の時間になりみんなそれぞれの客室や個室で休んでいった
瞳の実家は、それはそれはとても大きくて、豪邸レベルの大きさだ
昔は宿屋もしていたらしい
俺はもちろん、瞳と一緒に寝ていた
「……とうとう来なかったわね 司令官」
瞳も気にしていた
「ああ、司令官が来なくても式はやらなきゃならんからな」
最初は瞳の目の前で服を着替えることも恥ずかしかったが、結婚間近になるとそんなこと全然気にならなくなっていた
「あなたほんと成長したわね 能力がなくなってから たくましいというか」
瞳は目を大きくさせて驚いていた
「成長、ねえ…俺は能力者やる前は、学校で生徒会長をやるかやらないかで実は悩んでてな、結局やらないで能力者で良かったって今は思ってんだ 」
「実はしっかりしてるほうだったのね!」
俺はずっこけた
「あ、あのなあ!!」
「ふふ、だって、いつもあなた、戦いたくないって逃げていたでしょう?」
「……いつも震えていたよ 怖かった リーダーやってたけど」
仲間の前ではしっかりしなきゃとばかり思っていたが、やはり自分の中では恐怖のほうが勝っていた
椅子に座ってつい瞳に背を向けると、瞳が後ろから抱きしめてきた
「…ありがとう、滝 私たちを、ずっと守ってくれて 」
「……これからも守るよ 戦いが、終わっても」
そうして、俺と瞳は一緒にベッドの中で眠りについた
そして、結婚式当日
やはり司令官は来ていない
インターホンも特に鳴っていなかった
まだ朝8時だが
「瞳!滝さん!急いで!!」
瞳の母、峰子さんはもう支度が出来ていた
すると突然インターホンが鳴った
「は、はい!!」
玄関の扉を開けると――
「きゃあっ!!」
峰子さんは悲鳴を上げた
「どうしました!?」
――まさか、まさか!!
俺は峰子さんの肩を支えて上を見あげると
薄いベージュの、スーツ姿で、スラリとした長身の茶髪の男性が目の前に立っていた
「……こちらに蒼山滝くんはいないかね?」
「その、その声は…!!?」
俺はびっくりして後ずさる
「すまないなあ、式当日に転生してしまって 」
「し、司令官!!?」
瞳も驚愕していた それに、泣きそうな顔をしていた
「あなたは、まさか…シルヴァさん…?」
峰子さんも驚いていた
「いかにも、まあ、シルヴァではないがね "徳田 翔仁" と申します」
徳田さんは、頭を下げて挨拶した
俺は感激のあまり涙を流した
「嬉しい…ほんとに、ほんとに復活したんだ…徳田さん…!!」
「さあ、急がねば 式をやるんだろう?」
「は、はい!!」
口調も、声も、変わっていなかった
それはそれはとてもみんな驚いて、みんなで徳田さんを歓迎した
転生したのち、身体に異変やどこか身体の1部がなくなってないかと心配したが
「私もそれは心配した しかし奇跡的にうまくいったな」
「しれ…いや、徳田さん、本当に口調も変わらないんですね?」
徳田さんは陽仁たちと同じ席になっていた
「ああ 意表をついて関西弁、とかが良かったか?」
冗談まじりに話している
陽仁は本気でつっこんだ
「なんでや」
そうこうしているうちに、式全体が終わった――
マイクを使っての挨拶は非常に緊張したが、何事もなく本番を終えた
「どこかで亡くなった親父も、きっと俺たちを見ていると思います 親父も、俺が結婚するのを賛同してくれました 親父、ありがとう そして――」
その時、俺は突然の号泣をしてしまい俺自身に驚いた
「!!」
「た、滝!?」
「2人で、頑張って行きます…!!」
情けなかった 今までの緊張の糸が切れたかのように とめどなく涙が溢れた
戦いばかりで、この戦争は終わらないかとずっと思っていた
式を終えた今でも、平和がきただなんて信じられない
式が終わった頃にはとっくに俺は泣き止んだ
「すまなかったな 瞳 」
式が終わった数日後、俺たちは俺の親父の墓参りへ向かった
「いい結婚式だったわ」
「本当にごめん!!」
俺は頭を下げた
「本当に、素晴らしい式だと思ったわよ だって、敵も来なかったし、無事に終わったんでしょう? 私はそれでも、大成功って思ってるわよ!」
「瞳…!!」
「ね?貴明さん 見ていたでしょう? 立派だったわよ、滝の挨拶」
そうして、結婚指輪を瞳につけた
「――滝」
「俺は、瞳も、仲間も、守りたい こんな俺で良かったら、ずっと一緒にいさせてくれ」
「もちろんよ!!」
今戦いの歴史に、終止符を打った
また戦いがいつか来ても、もう怖くはない
俺は一人じゃない ――
END
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