逃げていく幸せ
「ロダ様、その術を使ったら、あなたは死ぬかもしれないんですよ!?私の命と引き換えに!!」
「司令官、それは本当ですか?」
「ああ…結局は、術を使った本人の力がいるんだ」
司令官と話しているとまたしても、亡霊の親父が現れた
「貴明」
『言ったでしょう?ロダ様 私は滝が窮地に立たされた時、私は現れる、って』
「親父、俺は大丈夫だって!」
ロダ様は微笑んだ
「滝、貴明は心配なんだよ 君は1度死んだから、余計にな まだ早すぎるよ 30歳での死は」
「ロダ様…」
「君は結婚しているが、まだ式をあげていないんだったな、どうだ?あちらの世界に帰る前に、この宮殿で式を挙げては」
俺は名案だ、と思ったが、嫌な予感が頭をよぎった
「それは大変嬉しいですが、式を挙げようとしたら、敵が襲ってきたのです!」
そう言うと、親父は申し訳なさそうな顔をした
『すまなかったな、滝 君の幸せを憎む敵がいたとはな』
「やはり俺が、親父や司令官の力を持つ以上、この戦いは終わらないんじゃないですか…」
「どうしてそう思うんだ?」
「俺が生きているから、強いから、敵が力が欲しくて俺を襲ってくる だから永遠に戦いが終わらない」
司令官は腕組みして俺に問う
「生きて欲しいから、私は君に力を与えた 死んで欲しくないのは、私以外にもたくさんいる なんの為に仲間がいるのだ?」
「……っ!!」
悩んでいると、俺たちの後ろにリメンバーズチーム全員が現れた
「み、みんな!?」
「司令官は、この戦いはもう終わるって言ってるぞ、ここで式を挙げようぜ、滝」
「純…」
次いで、智嬉が俺に話す
「式を挙げて、仮にまた敵が来ようとも、俺はお前や瞳を守るから 」
「智嬉…ありがとう…っ」
瞳も、俺に近づいてきた
「愛してるわ、滝 私たちは決してあなたを見捨てたりなんかしない!」
「瞳…俺も…」
個々の仲間の様子を見て、司令官は安堵した
「成長したじゃないか、私の仲間は…」
「シルヴァ」
「トヴァース、圭介!春希!」
「司令官にはこんなに仲間がいる、安心して、生まれ変わって、帰って来てください」
弟の圭介の言葉に、司令官は嬉しくて圭介に抱きついた
「ありがとう…ありがとう!」
「ふむ、覚悟は各々決まったな? シルヴァ、どちらがいいかね? 式を挙げてから生まれ変わるか、それとも」
「……決まってるでしょう」
司令官は今まで着ていた服を脱ぎ捨て、戦闘服姿になり、本来の自分に変わった
「この姿で滝を見守ってから、あちらに戻ります」
「司令官…」
「生まれ変われば、もう司令官とは呼べないぞ」
「名前も変えなくちゃな 日本人の名前を」
司令官はずっと日本人の名前ではなかった
「司令官…あなたは、どこの出身なのですか?」
俺は単純に知りたかった
「私はどう生まれたか、分からないのだ 両親も皆…とうの昔に死んでいる もちろん、能力者の戦いでな 能力者の戦いは、私の親から推測すれば、かなり長い戦いのようだな そしてそれが、ようやく終わる…」
司令官にしてみれば、長い長い歴史の能力者の戦いが、早く終わって欲しかったのだろう
俺は胸が強く張り裂けそうだった
「司令官、それは、痛い程分かります」
「君も、目の前で貴明を失ったからな 各々皆、辛い思いをしただろう すまなかったな 」
「司令官、あなたの責任ではないですよ!」
智嬉が身を乗り出しすかさず答える
「貴明の戦いもそうだが、古くからの戦いなのだ… なぜ能力者が生まれるようになったかは未だに解明されていなくてな 私たちは、全力で解明に当たっているのだ」
司令官は悲しい表情だった
「私もこの宮殿は古くからあり、私はもう10代目の国王となる 能力者が集まる宮殿… 私のような、国王を守る戦士が能力者 その者は、未だに沢山いる 」
俺はただただ、複雑な心境だった
(――そんな中で、俺は、簡単に死ぬだなんて言葉を口にしていた… 戦いを簡単に諦めて、逃げているだけ… 親父の強い力があるのに!!)
俺は拳を強く握り締めた
「俺は命を軽くみていた…こんな話を聞いたら、もっと生きなくちゃって思いましたよ…」
医者である純は、俺の言葉に感激していた
今まで、暗い考えで生きていたのを誰よりも知っていたから
「滝…やっと、やっと…!!」
すると、いきなり、大地震か!?と思うぐらい宮殿がズシン!!と揺れた
「な、何事だ!?」
「みんな!!伏せろ!!」
すると、見覚えのある敵が、コツコツと音を立てながらこちらに向かってきた
「幸せは訪れない…… 一生――」
<挿絵>
「お前は!!?」
春希は初めて見る敵に怯えていた
「久しぶりだなあ? 蒼山滝くん?」
「――お前は……カルテー二!!?」




