悲しみに暮れて
「兄貴!?兄貴!!」
弟の圭介さんが必死に滝さんの横たわった身体を抱きしめて話しかけている
「俺の力はもう、限界なのか…」
滝さんは、リュザと激闘した後に力尽き倒れた
肩で息もしていない
「兄貴!死ぬな!!死なないでくれ!!」
「ふ、ふふ ……かわいそうになあ たった1人の兄が自分の目の前で死んでいった」
「こんなことにならないように、必死に、俺は戦ってきたのに…俺はなんのために…」
圭介さんは1粒の涙を流した
「兄貴想いの良い奴だな しかし、お前も蒼山家である以上、お前も死ぬんだ」
リュザは圭介さんの横顔の目の前に、手のひらを翳す
「!! 圭介さん!!危ない!!」
俺が叫ぶと、テレポートで一斉に後ろから司令官達が現れた
「"雷拳"!!」
バリバリバリ!!!
純さんの雷の技がリュザを目掛けて攻撃する
「貴様ら……っ!!」
「"リメンバーズ"チーム参上!!!」
「滝を返してもらおうか!!」
純さんは怒りに震えていた
「遅いな もうこいつは 死んだ」
「死…? 死んだ……!? おい、嘘だろ!?嘘だよな!??」
「滝は不死身の戦士だ!!そんな訳が!!」
元リメンバーズチーム、純さんと智嬉さんは声を荒らげてこちらに向かってくる
圭介さんはすっかり戦意喪失で座り込んでいた
「兄貴は…息をしてないんだ もう、死んでるよ 人間としての」
「嘘だーーーっ!!!」
「許さない、許さない許さない!!リュザ!!」
純さん智嬉さんは半狂乱状態になっている
「はーっはは!! これで世界は滅ぶ 能力者のいない世界だ」
「――私も能力者のいない世界を望んでいたよ」
「シルヴァ!?」
司令官がそれまで黙っていたが、口を開いた
「蒼山貴明が望んでいた世界は能力者が生まれてこない世界だ しかし、またこんな風に人が死んで憎しみと悲しみで能力者が生まれる 私はそんな世界は望んでいない!!」
リュザは司令官に向かって長い爪を向ける
「こいつが力を解放すれば 人類は滅び 能力者も生まれてこない 貴明の願いなんだろう?」
「私は…そんなことをしなくても、世界が平和になればいいと思ってる!!」
「しかしどんなに平和を願っても」
リュザは滝さんの頭を靴で蹴飛ばす
「やめろ!!」
俺は滝さんの前に立って庇う
「こいつはもう目覚めない 終わりだ 」
司令官とトヴァースさんは、とてつもなく長い棍棒を繰り出し、リュザに技を放つ
「トヴァース、みんな!!私に力を与えて欲しい!!滝は目覚めなくとも!!」
「了解!!!」
俺はその時、確かに滝さんからの力を感じた
(滝さん… 滝さんも力をくれるの…?)
滝さんの眠っている顔をふと見やると、少しだが笑っているように感じた
「司令官!!トヴァースさん!!みんな!!やりましょう!!最後の力を!!」
滝さんがいない今、俺は最後はリーダーらしく号令を掛ける
圭介さんも力を司令官達に与える
「"平和をもたらせ… 光を照らせ…この戦いに終焉を!! 湖光聖剣"!!!」
司令官とトヴァースさんの力から、白い光がアジトを包む そして、声もあげることなくリュザは消滅した
しかし、滝さんは一向に目覚めない
アジトから戻った俺たちは能力者施設内では深い悲しみに包まれた
「……私はこの力を使えばもう二度と目覚めないかもしれない 滝が、みんなが無事でいてくれるなら…」
司令官は被っていたフードを脱ぎ捨て、司令官室のベッドで眠っている滝さんの手を握る
「滝 私は、もう戦えなくて十分だ 私がいなくても、ロダ様を守れる戦士だって沢山いる 私の力でどうか、目覚めてくれ 滝」
司令官の力を全力で滝さんに注ぎ込む
「――そなたの秘めたる力 目覚めたまえ――」
滝さんの身体はみるみる血色がよくなり、いつもの長い髪が短くなった
(いいのだ、これで 私は…)
司令官は滝さんに力を与えると、そのまま床に倒れた
「……ん… ここは…司令官室… 俺は死んだはず、なのに…」
滝さんはゆっくりと起き上がった
「髪の毛も、短くなってる… え…!?し、司令官!? そんな、どうして、……嫌だ…司令官!!」
滝さんが叫んでも、司令官は目覚めないままだった
「司令官!シルヴァ…シルヴァ・トラーズ!!」
必死に呼んだがそれでも、一向に目覚めない
そして、緊急用のベルを鳴らした
(助けて…お願い…司令官を…!!)




